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葛藤


 身内に不幸があってから、はや2ヶ月が過ぎようとしています。猛烈な量で押し寄せて来る仕事を打ち返しながらここまで突っ走ってきましたが、当然そのほころびはいろいろなところに出てきています。
 

 「もうここで十分、階段を降りるべきだ」という声と「ここまで来たのだから、もう少しがんばるべき」という声が自分の中で交錯しています。


 そんな状況ではありますが、今年も年初に引受けた日経セミナーの時期がやってきました。今年は、8月26日、27日の2日間に渡って、企業分析と価値評価の基礎をみっちり解説します。ここ数年あまりに短い時間の1日セミナーで受講者の満足度を十分に高めることができず、私自身フラストレーションがたまっておりました。

 今年は2日間もらいましたので、M&Aの最前線にいる実務家ならではの知見を織り交ぜた講義と演習を行いたいと思っています。組織のためではなく、自分の今後のために、バテ気味の心と体に鞭打ってがんばりますので、ご興味のある方は奮ってご参加ください。今年は、個人投資家の皆様にも参考になるお話も混ぜていきたいと思っています。

| cpainvestor | 00:54 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
こんな時こそ見直したいストック型ビジネスの中小型株


 ドル・ユーロとの通貨安競争で、更なる金融緩和の打ち手が限定されている日本円の独歩高が止まりません。そのせいか、アジア需要で受注が戻ってきた輸出型製造業の業績の回復も思ったほど順調ではないようです。
 私の個人運用ファンドも、米国株はここのところの金融相場でかなり上昇しているものの、円高ドル安でその効果は打ち消され、日本株は5月のギリシャショック以降、だらだらと下落が続いています。
 しかしながら、個々の企業の決算内容をよくみると、デフレ不況の中でもストック型のビジネスを展開して着実に増益を確保し、純資産を増やしている中堅企業は数多く存在します。こうした会社も相場の下落によって大きく売り込まれPBRは1倍をゆうに割れて、配当利回りは4%近くに達していたりします。真の投資家はこういう時こそ、中長期的視点で淡々と優良日本株を買っているのではないでしょうか。少なくとも、竹田和平さんは買っているでしょう。
 
 マネー誌というものは、大抵その時流行の金融商品を特集するので、バリュー投資家の間では、「逆張り指標」として活用されることがあります。例えば今だとFXだとか新興国株を特集するのがトレンドなのかもしれません。ところが、今月の日経マネーさんは、あえてこの時期に日本の中小型株を特集しています。マネー誌も以前より「へそ曲がり投資家的なセンス」を磨いてきているのかもしれません。
 ただ残念ながら、生き残っている中小型株のバリュー投資家の方が少ないからでしょうか。私のところにまで取材に来られ、丸々1ページ、「ビジネスモデルで考えるバリュー投資入門」のような記事にして頂きました。これまでの取材経験でもこのように大きく取りあげてもらったのは初めてかもしれません(笑)。そして、私の話した内容に沿って、いくつかのストック型ビジネスモデルの地味銘柄を日経マネー編集部の方で選定して頂いたようです。ご興味のある方は、書店で日経マネーを購入してみて下さい。

| cpainvestor | 00:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
若者から受けた刺激


 先日、新人研修の講師をつとめた某金融機関の受講者の方々と会食する機会がありました。さすがに10歳以上も歳が離れた若者20名弱と飲む機会は久しぶりだったので、なんだかその熱気に圧倒されるものがありました。
 ある受講者が真顔で「開発途上国の経済を支援する仕事がしたい!」などと話しているのを聞くにつけ、「自分は新人の時にそんな大きなこと、考えもしなかったなあ・・・」と彼我の器の差を感じて反省させられました。
 教育研修の仕事をしていて感じるのは、会社のカラーによって採用されるキャラクターはまちまちですが、どこも新人が、一番威勢がよくて目が輝いているということでしょうか(だから話していて面白いというのもあります)。それが、3年、5年と経ってくると、社会人として落ち着いてくるのは良いのですが、同時に「目の輝きが失われている人」の割合もどうしても増えてきてしまいます。大企業になればなるほど、入社して最初の5年くらいは、ほとんどの人が滅私奉公系の退屈な下積み仕事の担当となるので無理もないことだとは思うのですが、退屈な仕事もなるべく楽しんでやろうという気持で、一歩一歩地道に力をつけていって欲しいなと思います。キーワードはABC(あたりまえのことをばかせにせずにちゃんとやる)でしょうか。

 最近、職場でぐんぐん力をつけてくる若手や、息子達の成長スピードを見るにつけ、私自身も、「自分は今年も成長できているのか? 守りに入りすぎてやしないか?」ということを、日々自問自答しています。新しい職場に来て3年が経過し、若干マンネリズムが出てきたのかもしれません。ここのところ下降気味のモチベーションをもう一度引っ張り上げる起爆剤がいくつか必要だなと、感じています。

 そんなモヤモヤ感を振り払うために、今年も、日経ビジネススクールの夏の講座をお引き受けしています。昨年は、「利益の質分析セミナー」というものを開催して、かなりマニアックにテーマを絞り込みすぎました。そこで、今年はその反省を生かしてもう少し間口を広げ、企業分析を基礎から学びたい方々のために、「企業分析セミナー(8月25日)」を開催することに致しました。事例企業としては、皆さんおなじみの、カゴメ・キユーピー・キッコーマンの3社の食品企業をとりあげる予定です。

 日常業務の中で取引(候補)先企業の下調べが必要な方、与信調査等に従事されている方、また、企業のファンダメンタル分析を基礎から学んでみたい投資家の卵の方々のために、「開示資料だけでここまで分析できる!」ということを体感してもらう研修にしたいと思っています。ご来場の皆様には、どこの会社の分析にもある程度使える私のオリジナル分析テンプレートをエクセルファイルにてもれなくプレゼント致しますので、ご興味のある方はぜひご参加下さい。(お申込みはこちらからどうぞ。)

 私自身の能力開発のために、これから夏休みを半分返上して、気合いを入れ直して準備をしたいと思っています。私も真剣勝負でがんばりたいと思いますので、多くの方のご来場をお待ちしております。

| cpainvestor | 00:57 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
会計制度は投資のインフラ


 2009年12月に金融庁から国際会計基準(IFRS)に基づく連結財務諸表の開示例が公表され、日本の上場企業に対する国際会計基準導入も、すぐそこまで迫ってまいりました。監査法人や会計事務所、情報システム会社、開示書類印刷会社、会計本出版社などは、「IFRSは内部統制に続く次のビジネスの柱」ということで、積極的なプロモーション活動を展開しています。

 最近行われているIFRS関連セミナーの内容を見ると、 峭餾櫺餬彜霆爐撚餬彌萢はこう変わる」系か、◆峭餾櫺餬彜霆爐瞭各を機に会社のマネジメント体制やインフラを変革しよう」系に大別されるような気がします。,浪餬彁務所系が、△肋霾鵐轡好謄牴饉劼筌灰鵐汽覯饉匏呂積極的にセミナーを開催しており、集客状況もなかなか良いようです。

 私も会計士業界に属する人間として「会計処理がこう変わる」系の知識は、必要に応じて原典にもあたってキャッチアップしているつもりですが、正直言って、この作業はあまり面白くありません。なぜなら、企業活動の経済的実態は変わらないのに、そのパフォーマンスを測る定規の解釈(世界の会計士業界の申し合わせに判断をゆだねることを含む)だけを単純に変えているに過ぎない印象が強いからです。
 ですから、新しい定規の解釈にいち早くキャッチアップして、「皆さん、これからはこうなりますよ」的な制度解説セミナーを、私自身が担当する意義をあまり感じることができず、これまでは照会があると、同じ社内にいるもっと知識経験豊富なIFRSマニア会計士にお任せするようにしてきました(そもそもこの手の単純な制度解説セミナーをやる際には、社内の原稿チェックが非常に厳しく、資料を作る気そのものが起こりません)。

 そこで、今回、いつもお世話になっている主催者様から、セミナーのお話を頂いた際には、改めてもう一度、「上場会社にとっての会計制度の役割とは何だろう?」と、原点に立ち返って考えてみることにしました。
 この問いに対する私なりの答えは、「上場会社の会計制度の最も重要な役割とは、投資のためのインフラとして機能すること」にあると考えています。
 この「投資のためのインフラとして会計制度を機能させる」ということを念頭に置いて、2008年10月に公表された国際会計基準審議会(IASB)が提案した財務諸表開示案(以下、IASB開示案とする)を改めて眺めてみると、この開示案が「徹底した投資家目線」で作られており、「事業活動の将来を見通すための過去情報の表示」を意識していることに気がつきました。
 ここに、IASB開示案の本質があると睨んで、今回はこれをテーマに、バランスシート管理というキーワードをからめてセミナーを組み立てることにしました。IASB開示案は未だ「討議資料」の段階で、本採用が決まったわけではありませんので、これを紹介するのは、勇み足かとも思いました。ただ、この「開示案にこめられた本質」は、おそらくどんな形であれ、今後継承されるでしょうし、このテーマこそ、「投資家兼会計士」の人間にしか解説できないのではないかと考えました。

 このセミナー、主催者の会社様の強力な集客力にも支えられて、既に東京、横浜にて開催し、満員御礼で300名近くの方に足を運んで頂きました。このたび、キャンセル待ちの方が多数いらっしゃるということで、3月5日(金)に東京にて追加開催が決まりました。まだ、お席が若干残っているようですので、もしこのブログ読者の方で、ご興味がある方がいらっしゃいましたら、ぜひお越し頂ければと思います。業績堅調な主催会社様のおかげで、今回もまた、無料にて聴講できます。お申込みはこちらからどうぞ。コメント欄にて受講の感想もお待ちしております。

追伸1
 既に何名かいらっしゃいましたが、同業者の方のご来場はどうかご勘弁下さい(笑)。セミナーの内容の2/3は単なる私見です。会計専門家の皆様は、私なぞの解説を聞くより、より詳しい情報ソースにコンタクトされた方が良いように思います。

追伸2
 国際会計基準(IFRS)について、さらっと勉強されたいという方には、下記の日経BP社さんのムックがコンパクトにまとまっていて、現時点では最も良いように思いますので、お勧めしておきます。

                         

| cpainvestor | 01:23 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
今年の研究開発活動


 最近、社内や顧客との調整業務や、コミュニケーション業務、さらには人の作ったもののチェックに時間を費消されることが多くなり、「自ら考え抜いて何かを生み出す」という時間が減っています。組織の中間管理職としてずっと生きていくということであれば、インフラに乗っかって、調整能力とコミュニケーション力だけ磨いていればなんとかなるのかもしれません。ただ、ここのところ、組織内アレンジャー業務に没頭させることで、「個の職人としての能力」に磨きをかける時間を意図的に削られているような気もしており、なんだか組織に完全に依存しないと生きていけないように飼いならされているようで、日々危機感を感じております。

 そういったこともあって、年に数回は、新たなテーマのセミナー講師や原稿書きを引き受けたりして、「考え抜く時間を意識的に増やす」ということを心がけています。この手の仕事は、組織内で定められているチャージレートからすると明らかに不採算な仕事だったりするので、組織に迷惑がかかることがないよう、組織内の肩書は使わず、届け出を行った上で、休日や有給休暇を活用しながら準備を行い、実施するようにしています。
 講師業務や執筆活動は「組織レバレッジが利かないし、不採算なのでやりたくない」という同僚も多いですが、私は「外から声がかかるうちが花だ」と思いながら、「自分自身の研究開発活動」と割り切って、本業に支障が出ない範囲でお引き受けするようにしています。

 最近多いお問い合わせは、圧倒的に国際会計基準(以下IFRSとします)がらみのセミナー講師業務(特に現行の日本基準との相違点に関する勉強会ですとか、実務上どのようにAdoptしていくかというスケジューリングがらみのもの)ですが、この辺りは、私が所属する組織でも「内部統制の次の稼ぎ頭」として力を入れている分野で、個人の一会計士が簡単に仕事を引き受けると、組織内からも刺されかねませんので(笑)、組織内の専門部署を紹介するようにしています。

 米国会計基準(以下USGAAP)に関しては、私もこれまで監査業務で何社が遭遇したことがあるのでそれなりに勉強したことがありますが(これもその分野のプロの先輩からすると、「そんなの知っているとは言えない!」と刺されそうですが)、IFRS自体は、私も実務で触ったことがありませんので、現在、時間を見つけては、関連書籍等を読んで勉強している最中であります(とはいっても、会計基準を頭から読むのはつらいので、もっぱらダイジェスト本や、欧州のIFRS開示会社の注記なぞを読みあさる感じです。)

 IFRSに関しては、また機会にその所感を詳述したいとは思いますが、私は、内部統制の時もそうであったように、基本的に「制度モノに早くキャッチアップして稼ぐ」という「典型的会計士モデル」があまり好きではありません。最新制度の動向は、専門家としてある程度はケアしていなくてはならないとは思うのですが、「その変更が当社の経営に、キャッシュ・フロー創出力にどうインパクトがあるの?」というクライアントからの問いに即答できないのであれば、制度を逐条解説できたとしてもあまり意味がないと思っています。(別に制度を軽視しているわけではなく、自分が会計監査業務から離れたことで、昔と今のクライアントさんのニーズが明らかに異なることが、このように思うようになった最大の理由であるような気もしています。)

 そんなこともあって、今年の日経ビジネススクールの研修テーマは、「内部統制」にも、「IFRS」にも背を向けて、あえて「利益の質」と致しました。ここで言う「利益の質」とは、単に「キャッシュ・フローの裏付けがあるか否か」といった粉飾チックな視点だけではなく、「その利益に再現性はあるか否か」といった経営的な視点を含んでいます。徹底的に「投資家目線」、「企業審査担当者目線」に立ちながら、いくつかの事例企業の「利益の質」について、私なりに考えてみたいと思っています。

 このようなマニアックなテーマの研修は、この不況の最中では、日経ブランドをもってしても集客できるかどうかはかなり不安なのですが(笑)、通常の決算書分析セミナーでは、同じく日経ビジネススクールで講座を持つ「美人すぎる会計士」さんに集客力で勝てそうもない以上、このテーマでM&Aの現場の第一線の知を受講者の皆様にお届けしたいと思っています。

 ご興味のある方は、日経ビジネススクールのサイトから、お申込み下さいませ。受講者の方々には、「参加して損をした」と思わせることがないよう、開催は既に今月ですが、これから毎晩自分を追い込み、必死に考え抜いて原稿を完成させたいと思っています(笑)。

| cpainvestor | 00:37 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
セミナー屋ではなく、実務家たれ
 
 私も専門家のハシクレとして、個として何かの機会毎にアウトプットを残すことは、「自分自身を鍛える」という意味で、とても大切なことだと思っています。その思いもあって、時々、企業様のセミナー講師なども可能な範囲でお引き受けしているのですが、何件か立て続けに講師業務が続いたりすると、「さすがにこれはまずいだろう」という不安がよく頭をもたげてきます。

 世の中には、とてもお話の上手な売れっ子セミナー講師という方々が各分野にいらっしゃって、会計専門家の世界にもそういう方が何名もいます。そういう方々の講演を聞く機会に恵まれると「こういうつかみネタはうまいな。」とか、「こういうロジックで話を持っていくのか。」と、プレゼンセオリー的に参考になることも多いのですが、正直なところ、「話の中身はすっかり忘れ、話の仕方が上手だった」という印象しか残らない人がかなりいます。

「なぜ、話の仕方しか印象に残らなかったのか?」ということを考えてみると、いくつかの問題点に行き着きます。

相手の話を聞くばかりで、講演の中で自分自身が考える機会がほとんどなかった

事例が陳腐化したありふれたものばかりで、インパクトに欠けた

沢山のテーマが盛り込まれすぎていて、どのフレーズも印象に残らない


 ,蓮△そらく「問いかけ」と「間」の問題のような気がしています。講演者が一方的によどみなく話すと、聴いている側は「なんとなくそんなものかな」と聞き流してしまうのです。聴衆に対する「問いかけ」と聴衆が考える「間」があることで、聴衆は自分自身の問題として考える時間ができます。(もちろん、演習などができれば、なお良いのですが、多人数ですとそれはできないことも多いです。)話の内容を相手の記憶に残すために「問いかけ」を意識的に行い、「間」を作ることは、「笑い」をとることよりもずっと重要であるような気がします。

 △蓮△笋呂螢廛蹈侫Д奪轡腑淵襪箸靴討亮駄海おろそかになっていることが最大の原因なのだと思います。効率良く同じテーマ(もしくは自分の著書の内容)の講演ばかりやって、顧客の問題解決を一緒に考える時間が減ると、どうしても新しいヒントが得られなくなり、自分の持っている情報が陳腐化します。また、実務経験の不足を補うために、本や新聞・雑誌のネタを仕込んでそれを基に一般的なコメントする評論家のようなことばかりやるようになると、勉強熱心なレベルの高い聴衆は、そっぽを向きます。「そんなの本を読めばわかる」となってしまうのです。不況の中でも元気の良い企業として「任天堂」をとりあげるのではなく、「自分がコンサルしている不況知らずのとある美容室」の話の方がずっと面白く聞けます。
 この問題を回避すべく、多くのセミナー講師は、聴衆者のレベルをより入門者レベルに下げるなり、自分のファンとなってくれた方々だけに聴衆者を絞るといったマーケティング手法をとるわけですが(しかもその方が短期的にはものすごくプロフィッタブルだったりします)、残念ながらこれだと二度と以前の高いレベルの聴衆を新規顧客にすることができなくなります。
 前々回のコラムでとりあげた、ランチェスターの弱者戦略に従うと、「商売に徹する以上、自分の組しやすい相手だけに顧客を絞り込むのは当然だ」ということになるのかもしれません。しかしながら、私の場合は、要求の極めて厳しい顧客の要望にも応えられる「第一線の専門家・実務家」としてもうしばらくやっていきたいと思っているので、あまり若いうちから、安易に登るべき山を下山しはじめて裾野展開をしてしまうことに不安を感じます。冒頭のタイトル「セミナー屋ではなく、実務家たれ」というのは、私が師匠から頂いた言葉ですが、多少目先の効率が悪くなろうとも、この言葉を肝に銘じて、現場の実務優先でもうしばらく仕事をしていきたいと思っています。
 
 は、よく私もやってしまうミスなのですが、聴衆へのサービス精神を全開にして、あれもこれもとコンテンツを盛り込んでしまうと、結局、時間切れになってしまい、聴衆に何も印象に残すことができなくなってしまいます。これを防ぐには、テーマを「ちょっと少ないかな」と思うほど絞り込み、講演を「ちょっと話し足りないかな」と思うくらいに留めて、「印象に残るワンフレーズ」をゆっくり何度も「想い」をこめてリピートするのが効果的だったりするわけです。わかってはいるのですが、本当になかなかできないんですよね。これが。

 私自身、まだまだ修行中の身ではありますが、´↓の問題点で地雷をできる限り踏まないよう日々訓練を重ねながら、機会のあるごとに、少しでも「第一線の現場の知」を聴衆の皆さんにうまくフィードバックしていきたいと思っています。

 6月は、「業績の先行管理」というテーマで少し話をする予定です。「なんでお前らの立てた事業計画はいつも大きくぶれるんだ!」「リスクばかり指摘するのではなく、次の打ち手を考えて来い!」と上司から叱責されたご経験のある中堅・中小企業の実務担当者の皆様、マスク着用での参加をお待ちしております。ちなみに、こちらのセミナーは公募型でかつ無料です。ただ今、夜な夜な原稿作成中です(笑)。
| cpainvestor | 11:57 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
リカバリーストック投資法
 
 本日発売の日経マネー7月号の巻頭特集は、「決算の中に宝の山 日本株底値買いのラストチャンス」だそうです。これだけ上場企業の決算がボロボロだと、来期は、リストラによる固定費削減効果も出て、業績も回復、株価も上昇するだろうというマネー誌の皆様の読みです。「未曾有の不況、これからの生活防衛はどうする?」みたいなネガティブな情報が氾濫する中、こういう前向きな逆張り企画、私も大好きです(笑)。確かに業績が大きく落ち込んだ企業の株式は、業績予想の下方修正の過程で叩き売られていますから、ここから、本格的に業績回復軌道に乗る企業は、株価は大幅に上昇することも多いです。このような「業績回復と共に驚異的に株価が上昇する銘柄」をリカバリーストックと言いますが、今日は、このリカバリーストック狙いの投資法について私なりに考えてみたいと思います。

 多くの業績悪化企業の中から、リカバリーストック候補を選択するにあたっては、実際の企業再生の現場で考えられているような手法というのがひとつの大きなヒントになると思います。以下では、一般的な企業再生のプロセスに従って、「買うべき銘柄とそのタイミング」というのを考えてみたいと思います。

<企業再生の一般的プロセスとリカバリーストック候補の発掘法>

再生可能な事業の強みが残っていることを確認する。

 不況の深刻化と共に、世の中に業績が悪化している企業は多数ありますが、企業再生を可能ならしめるためには、「再生可能なビジネスもしくはその種」が企業内に残っている必要があります。私達のような実務家は、デューデリジェンス(企業精査)というプロセスでこの「再生可能な事業が残っているかどうか」ということを、まず診断するわけですが、一般的に再生可能性が高いビジネスというのは、以下のような特徴があります。

(ア) ブランドや優良な販路(取引先)を依然として確保している(顧客にとってなくてはならない製品やサービスを提供している)
(イ) 事業のコアとなる希少性ある技術・人材・許認可等が社内に留保されている。
(ウ) 国策的にどうしても潰せない事業である(インフラ・防衛等)


 上記、(ア)、(イ)、(ウ)のいずれかの特徴を持っていれば、企業はともかく、事業としては、再生の可能性が多少なりともあると判断するのが一般的です。リカバリーストック銘柄候補を選択するにあたっても、事業内容を見て、上記(ア)、(イ)、(ウ)の要素がより大きい銘柄を探すのが良いでしょう。例えば経営不振に陥っている銀行や電力会社などは、完全に(ウ)の要素が強いですし、航空会社はパイロットや空港発着枠という経営資源を考えると(イ)の要素が強いので、有力なリカバリーストック候補になりうるといえるでしょう。

資金調達手段の確保(信用補完を含む)

 次に、上記,里茲Δ併饉舛鬚發鳥業が残っている企業については、不要な資産や、見込みのない不採算事業をリストラすることで生き残りを図るような企業再生計画を立てていくわけですが、このリストラを敢行するにあたっては、割増退職金原資や運転資金原資となる手許資金が必ず必要になります。また、実務上は、そういった手許資金を確保するため、有利子負債の返済棚上げ、減額、株式化、第三者割当増資といった財務的な支援が必要になることが多いです。そのため、再生可能性を追い求める企業は、何らかの形で資金調達力を確保する必要があります。具体的には、以下のような企業はこのリストラ資金が確保しやすいと考えて良いでしょう。

(ア) 目先業績は悪いものの自己資本比率が高い(キャッシュリッチであったり、優良不動産などを持っていれば尚可)
(イ) リストラの原資を出してもらえるスポンサーが確保されている(資金融通を通じて信用も供与してもらえるスポンサーが確保されていれば尚可、国内の間接金融がつけば、信用状況はかなりましであるといえる)


 目先業績が悪くても、リストラ原資の資金や担保不動産がある企業は強いですし、たとえ過剰債務企業であっても(こちらの方が圧倒的に多いわけですが)、系列グループ企業や政府等の強力な支援が得られれば、資金調達能力は高いといえます。その意味で、上記,隆霆爐鬟リアした企業であることが前提にはなりますが、系列の結束力がまだ高く、増資に応じてくれそうな仲間がたくさんいる財閥系企業や、政府系金融機関がジャブジャブオカネを投入してくれそうな原発メーカーなども、リカバリーストック候補であるといえるでしょう。
 ただし、ここで投資家として注意しなければならないのは、あまりに財務基盤の脆弱な企業は、事業と雇用を救うために、株主に大きな負担をかけることがあるということです。事業と雇用は救われたとしても、政府の増資引き受けで、株式が滅茶苦茶に希薄化したAIGなどの株主であっては意味がないわけです。このため、業界全体が疲弊している場合には、その中でも比較的財務基盤がマシなトップ企業を狙うと良いかもしれません。

一気呵成のリストラクチャリングと将来のオペレーション固定費圧縮

 リストラ原資を確保した上で、いよいよ企業はリストラに励むわけですが、従業員の立場を離れて、株主の立場からすると一気呵成にできるだけ大胆に特別損失を出してもらった方が翌年以降の固定費が軽くなります。固定費削減効果が大きい施策としては、以下のようなものがあるでしょう。

(ア) 不採算事業の整理…事業丸ごとの再編、売却等
(イ) 不要資産の整理…遊休固定資産、不採算関係会社株式の減損、除売却、不良在庫の評価減、除売却
(ウ) 将来のオペレーション費用の大幅削減…人件費削減(特に高齢従業員の早期退職、退職給付制度の見直し)、系列企業の集約化による購買コスト削減


 投資家としては、不採算事業を早々に切るとか、多少非難されても高齢社員をバンバン切り債務返済棚上げ交渉もできるような、しがらみのない外人コストカッターが任命された企業などは狙い目かもしれません。構造改革費用をできるだけ前倒しにして前社長に責任を負わせ、来期の業績V字回復を演出する手はずとなっている企業などは、BSの負債項目(特に引当金や未払金)が大幅に増加していますから、要チェックです。

受注の回復

 本業の足腰が強い企業で、徹底したリストラをやって身軽になった企業は、生き延びる可能性が高まりますし、外部環境の好転による追い風をいち早く受けて、業績回復軌道に乗りやすいといえます。一般的に決算書(PL)に業績回復の傾向が見られるのはかなり後の方(従って株価もかなり上昇してしまっている段階)なので、投資家としては、決算書数値より前の以下のような兆候に敏感になる必要があります。

(ア) 外部環境の好転・・・統計指標の改善、ターゲット企業の顧客企業の受注(需要)回復
(イ) 各種の企業内先行指標の好転・・・問い合わせ数(引き合い数)、来店者数等の増大など
(ウ) 受注の回復・・・受注金額は四半期情報に開示されるので要チェック


 上記のような前向きの傾向が見え始めると、マスコミなども、だんだんポジティブなことを書き始め、株価も本格上昇してくるので、株本が本屋に並び始めるでしょう。ただ、今回の不況の場合は、日本よりも海外市場の方が先に動意づきそうですね。海外のあるマーケットが回復してきたら、そこの恩恵を受ける企業はどこなのか、またその恩恵を受けた企業の恩恵を受ける企業はどこなのか、そうやって「投資家得意の連想ゲーム」を実践することで、業績の先行指標を探ると良いでしょう。

業績の拡大

 この段階になると、企業業績の回復は財務数値にも表れるので、来期見通しも強気なものが出てくる企業もあり、設備投資意欲も高まります。財務数値上は、具体的に以下のような形で、業績改善傾向がより鮮明となります。

(ア) 月次業績の改善(対前年同期比での売上下げ止まり)
(イ) 四半期業績改善(対前年同期比での下げ止まり、BS在庫水準の低減、粗利率の改善、特損項目の減少)
(ウ) 業績上方修正


 ここで注意しておくべきなのは、普段から、業績見通しが手堅い企業かどうかは過去予想・実績の乖離度チェックで確認しておく必要があるということです。見通しを保守的に立てる会社ほど、ダウンサイドのリスクはおさえられ、業績改善時のサプライズ期待は大きく膨れます。


<投資タイミングと投資手法>

 このように見てくると、「リカバリーストック狙い」の投資では、目先の株価と財務諸表(過去情報)を見ているだけでは、悲観的に感じすぎて、投資するタイミングを逸します。その意味で財務諸表の数字には、ある程度目をつぶり、「その事業が生き残るだけの価値がありそうな資質を備えているか」という原点に返って、上記△らの間のタイミングぐらいで投資を検討してみることが必要となるでしょう。なお、「投資を検討する」とは言っても、株式が紙切れに近い状況になる可能性もある、かなりリスクの高い逆張り的な投資手法ですから、投資初心者にはあまりオススメできないことも確かです。リカバリーストック狙いの投資を行うにあたっては、ギャンブル大好きという方でない限りは、言わずもがなだとは思いますが、以下のような投資ルールを遵守することをオススメします。

レバレッジ(借入)は使わず、リカバリーストック候補の持分残高も自分のポートフォリオの一定範囲内におさえること
一度に買い付けず、時期を置いて少しずつ、買い付けること
一定比率以上の株価下落におそわれたら、つらいと思っても損切りすること(撤退基準は超重要だと個人的には思っております)
取得原価を上回るある程度の株価上昇が実現したところで、持ち高の半分は利益確定すること


 以上、久しぶりに長くなりましたが、「私の考えるリカバリーストック投資法」について書いてみました。

(久しぶりの取材で上記のようなことを長くお話したわりに、私の記事の扱いは小さいですが・・・)今月の日経マネーさんは、その総力を挙げて、「底値買いの決算書シグナル」を有名銘柄を題材に特集しているようですから、ぜひ書店で手にとってみてはいかがでしょうか。

 私も年末からのリカバリーストック狙いで、バフェット様後ろ盾のこの銘柄を半分売却し、今年の運用成績はプラス転換です。昨年の大敗を取り戻すのは、まだまだ先にはなりそうですが、慰めにはなりました(笑)。
| cpainvestor | 00:48 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
スプレッドシートそのものよりもその前提条件の検証にこそ価値がある
 
 お客様とのサービス内容と価格交渉に関する折衝をしていると、予算の関係からどうしても折り合えないことがあります。そのような時のお客様にとってのコスト削減のための打開策として、結果に大きな支障のない範囲で、調査対象の範囲を絞ったり、調査手続そのものを簡略化したり、お客様の方でできる作業はなるべくお客様の方でやってもらい、私達は口頭アドバイスに徹するというアイデアを提案することがあります。

 今現在私が本業として行っている財務調査業務との関係上、「企業価値評価業務を実施して頂けないか」という依頼を受けることも多いのですが、私の場合、それほど複雑な案件でなければ、なるべくこの手の業務は引き受けず、お客様自身にやってもらうようお願いすることが多くなっています。その理由は以下のような事情からです。

企業・事業への投資意思決定にあたって、価値算定業務は極めて重要な業務の一つであり、そのシミュレーションも含めて外部の専門家に丸投げしているようでは、投資に必要な「割安感・割高感」を直感的に理解する発想・ノウハウ等が当事者に身につかない可能性があること。
そもそも、組織内コンフリクト(自社グループ企業がお客様に対して監査サービスを提供している等)の関係で実施できない可能性があること
自分達が算出した数値は、「特定の前提条件に基づき試算した数値」であるにも関わらず、それが一人歩きして、いろいろな場面で、「会計士が算出した公正な価値算定結果」として転々流通して勝手に使われる可能性があること
リスク料込みとはいえ、価値算定作業の内容、アウトプットの割に、フィーの値段が割高だと思うことが多いこと。

 企業価値評価を専門にやっているチームの方々は、特にのリスクがあるのと、自分達の精緻なスプレッドシートに絶対の自信を持っているためか、かなり強気なサービス料金設定をしてくることが多いわけですが、私などは出てくるアウトプットを見るにつけ、「彼らがそんなに高尚なことをやっているのかなあ?」と思うことが多いです。(もちろん、企業同士が合併する際の合併比率などを算定するため使用する基礎数値などを中立的な第三者の意見として提示する場合や、配当優先条項などがついている特殊な株式などを評価する場合には、リスクや難易度が高いので値段が張るのは理解できます。)
 
 最近、企業価値評価の場面で、使用されることがかなり一般的になってきたDCF法などは、その手法について解説する書籍が多数出ており、少しファイナンスの知識を独学で勉強すれば、どんな方でも算定することができるようになります。その意味で、DCF法のロジックそのものは、事業投資などに関わる方々にしてみれば、既にコモディティとなっている知識だと思うのです。

 DCF法のスプレッドシートをマニアックに作りこむことを専門にしている方々の「職人魂」には、同業者として尊敬することはあるものの、「顧客受け」するかどうかは、別問題であったりもします。私自身は、スプレッドシートそのものよりも、想定されるビジネス上のリスク要因をどのように洗い出し、これを価値評価の前提条件にどのようにして織り込み、定量的に評価するかを顧客に分かりやすくアドバイスできることの方がずっと重要だと思っており、そのためにこそ、スプレッドシートの作り、特にビジネスモデリングの手法そのものを最低限理解しておく必要はあるのだとも思っています。ただ、最近感じるのですが、自分のところのスタッフも含めて、未だ「価値計算のスプレッドシートそのものに、ものすごい価値がある」と考えている同業者がかなり多いような気がしてなりません。

 私自身は価値計算シートそのものはリスク回避の観点からなるべく作りたくないですし、超マニアックなスプレッドシートを作りこむ根気も能力もないですが、価値計算プロセスを意識した財務調査を通じて、実践的なアドバイス業務は行っていきたいと思っています。そのために、DCF法に基づく企業価値評価を「意思決定当事者自身が使えるポピュラーな手法」としてこれまで以上に定着させたいと思っています。

 そんな思いもあって、昨年に引き続き、今年も日経ビジネススクールでの上記テーマの研修講師を引き受けています。「業務の必要上、もしくは、個人投資家としてのスキル向上?の観点から、DCF法を基礎からざっとマスターしてしまいたい」と思っている皆様がいらっしゃいましたら、是非、ご参加頂ければと思います。手を動かして頂く基礎的な演習が中心ですが、なるべく実務的な話も取り入れて解説していきたいと思っています。

 最後は宣伝になってしまい、すみません。
| cpainvestor | 21:57 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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