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「建設で勝負しない」建設業
 横浜マンションの杭打ち問題で水を差された形にはなったものの、復興需要にオリンピック需要が加わり、建設業はどこも人手不足、大手ゼネコンは軒並み決算好調とのニュースを目にしました。
 そんなに業績好調ならば、建設業にも一過性ではなく、地力をつけた会社があるに違いないと思い、久しぶりに下記の条件で財務数値のスクリーニングをしてみたところ、ヒットしたのはわずかに2社しかありませんでした。

1.総資産経常利益率が過去5年間継続して10%以上(経営効率の持続性)
2.株式時価総額500億円以上(中堅企業以上の安定性と株式流動性)
3.  来期も増収増益見込(見通し良好)


「相続における節税ソリューション」
 
1社目は、皆様おなじみ、いい部屋ネットの「大東建託」です。
 全国津々浦々、猛烈営業マンが巡回しており、少しまとまった土地を見つけるとすかさず地主にアパート建築+一括借り上げを提案する、あの会社です。この会社のセグメント情報を見ると良くわかりますが、一括借り上げの不動産事業よりも、最初のアパート建築で圧倒的に儲けていることがわかります。
 相続税の課税標準が下がったことは、この会社にとっては追い風でしょう。大都市近郊にまとまった土地を持つ兼業農家や、後継者難の町工場の経営者向けに、ここぞとばかり、廃業・相続対策支援+アパート建築+賃借人付けの提案をしまくっているに違いありません。この会社が、税理士、銀行とタッグを組んで、相続税の節税ソリューションパッケージとしてアパート建築を提案し、その後の客付けまで引き受ける以上、地主は建築コストの値引きを迫るのは極めて難しいのでしょう。また、またアパート建築から一定期間後は、大東建託側に逆ザヤが継続しないような契約更改を行い、地主に賃料下落リスクが転嫁されることになります。
 大東建託は、アパート建設業を生業にはしているものの、実質的には「相続における節税ソリューション提供会社」といえるのかもしれません。


大東建託

 「インフラを長く使用するための保守・メンテナンス」
 
2社目は、橋梁・トンネルといった社会インフラの補修専門会社「ショーボンドホールディングス」です。正直、あまり知らなかった会社ですが、ビジネスモデルは調べれば調べるほどユニークです。
 もともと樹脂系接着剤の開発会社から始まったこの会社は、建設請負に比べ低単価であるが故に、大手ゼネコンが見向きもしなかったインフラの保守・メンテといった工事の将来性に気付いていち早く取組み、独自の工法、専門技術者の育成を通じて、「橋梁メンテナンスNo.1」の地位を築きました。
 日本全国には70万橋の橋梁が存在し、一般的な橋梁の耐用年数と言われる50年を経過するものが10年後には約半数に近づくとのことで、この会社には現在受注が殺到しています。また、トンネルや鉄道、河川や港湾といった分野でも、高度成長期に建設した物件の老朽化が進んでおり、同様に引き合いが強いそうです。
 「造らない建設会社」を自称する同社ですが、インフラのメンテナンス分野で長期に渡って磨き続けてきた独自の工法や資材、施工ノウハウを熟知した技術者と強固な協力会社ネットワークは、競合他社もそう簡単に模倣できそうもありません。当分この分野では、ショーボンドホールディングスとその協力会社の天下が続くのではないでしょうか。


ショーボンド
 
 どのような業界であっても、持続的な利益を計上している経営効率の高い会社には、ユニークなビジネスモデルがあるように思います。今回の2社に共通するのは、建設業でありながら、付加価値の源泉を「相続人の節税ソリューション」や「長く使用するための保守メンテナンス」といった建設以外の分野に見出したことではないでしょうか。まさに、「人の行く裏に道あり花の山」といったところでしょうか。

 12月21日に私が担当する日経ビジネススクールの「企業分析実践講座」では、「財務数値」の裏にある「ビジネスモデル」を読み解く力をつけ、企画提案に生かすことを目的として、カリキュラムを作成しています。
 取引先企業の事業を深く理解する必要性を感じている経営企画や財務担当者、法人営業担当者、与信管理担当者の皆様、定性分析の力を強化したいと感じている個人投資家の皆様の参加をお待ちしています。

 
| cpainvestor | 00:17 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「属人性排除」+「ローコストオペ」の最強モデル


 私が最近セミナー等でとりあげる元気な会社にアークランドサービス(3085)スタジオアリス(2305)があります。前者はかつ丼「かつや」の飲食チェーン、後者はショッピングモールに必ず入っている子供写真館として、ご存知の方も多いはずです。この2つのビジネス、一見何の関わりもないもないように見えますが、経営者目線で見れば、そのビジネスモデルが極めて似通っていることに気がつくでしょうか。

 誰でも揚げられるようになったおいしいとんかつ
 アークランドサービスのここ5年の業績は極めて堅調で、「かつや」を毎年、直営、FC双方の形式でハイペースで出店し、既存の飲食店、特に町のとんかつ屋さんから客を奪い続けています。
 このお店では、通常のかつ丼が一杯490円で提供されています。店舗に行ったことのない方は「安かろう、まずかろう」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。少なくとも私は町の(有名店ではない)とんかつ屋とそん色ない味とクオリティを実現していると思います。それもそのはず、豚肉は北米・カナダ産の高品質のものを大量購買して、タイムリーにチルド状態で店舗配送する体制を確立しており、衣は生パン粉にこだわっています。最も重要な揚げ工程ですが、こちらは、完璧に温度管理された独自開発の「オートフライヤー」のおかげで、アルバイトが揚げても職人とそれほど変わらないクオリティのものが提供されます。
 その結果、店長一人が正社員、残りはアルバイトという人員構成とシンプルなオペレーションで、十分においしいかつ丼を割安価格で提供できています。ちなみに正社員の平均給与は、平均年齢33歳で479万円です。

 誰でも撮れるようになった子供達のベストショット
 スタジオアリスのここ5年の業績もなかなか堅調です。多彩な衣装とディズニーキャラクター、従業員の巧みな接客で子供をあやし、デジカメを連写して、記念写真需要を総なめにしています。最近では、マタニティセミナーを全店舗で展開し、無料で妊婦さんの写真を撮って、台紙に貼ってプレゼントしています。当然この台紙は、半分以上が空白です。妊婦さんは、出産後に赤ちゃんを抱いて再びスタジオアリスに戻ってきます。そして子供が三歳になれば、今度は七五三でロックオンです。この「出産前からの囲い込みモデル」は需要創出という視点で見てもなかなか良くできていますが、肝心の写真のクオリティはどうなのでしょう。ちょっと前まで学生をやっていたような若い従業員に、写真館でこの道何年のプロと同じレベルのものが撮れるのでしょうか?
 心配するには及びません。ここでは日本が世界に誇る、高性能プロ用デジタルカメラが大活躍しています。細かな調整の必要はほとんどありませんし、とにかく何十回も連写して、モニター画面に全て並べて映せば、素人に近いカメラマンが撮った写真でも、ベストショットの1枚や2枚は必ず見つかります。
 その結果、平均年齢28歳、平均給与374万円の正社員と、子供をあやすアルバイトさんだけで、立派な写真館が運営できるようになりました。こうして町の写真館は次々に客を奪われ、廃業に追い込まれています。

 商店街ビジネスは、「属人性の排除」と「ローコストオペ」で大きく伸びる
 これまで商店街の中にあったような、店主の技量や個性(属人性)が売りだった商売ほど、技術進歩や環境の変化でその「属人性」が排除され、ローコストオペレーションモデルが確立されると、業界の先行者は一気に成長し、商店街の個人商店は没落します。
 経営者目線で見れば、「属人性の排除」と「ローコストオペレーションモデル」の組み合わせをいち早く実現することは、事業拡大の王道であるといえるでしょう。また、投資家目線で見れば、旧態依然の業界において、こうした企業をいち早く見つけて投資するところに、その「目利き力」の真骨頂があると言えます。メガネトップしかり、QBハウスしかりです。

 マックジョブ化の流れの中でこだわるべき属人性とは?
 ただ、従業員目線ではどうでしょうか。これまで苦労して技術を身につけ、誇りを持って続けてきた自分の仕事がある日突然、「誰でもできる仕事(英語ではマックジョブというみたいですね)」に変わり、家族を支えるほどの稼ぎは得られなくなります。技術革新に人件費の安い新興国の台頭が加わり、今、多くの業種でこの「マックジョブ化」が進んでいます。誰もが経営者にはなれない以上、私達は、生き残るために、自分の専門領域の中で、「徹底的に属人性にこだわれる分野(ずっと個人の差別化要素が残る分野)はどこなのか?」ということを日々考えて、仕事をしていく必要があるということなのかもしれません。

 まずはビジネスの肝を見抜く眼を養いませんか
 余談ですが8月に、究極のローコストオペレーション小売業とも言える百円均一ショップの事例を用いた企業分析研修を日経ビジネススクールにて実施します。単純な財務分析に留まらない総合的な企業分析のスキル(私はこれをビジネスの肝を見抜く眼と呼んでいます)を基礎から身につけたいと思っている法人営業担当者、取引先の審査担当者、個人投資家の皆さんにはうってつけの内容になっているかと思いますので、ご興味のある方は是非ふるってご参加下さい。普段、本業が忙しくてなかなか公開講座を担当できないのですが、私は年に1回、こちらの講座で「ブログ見ました」と声をかけてくれる皆さんとお話できることを楽しみにしています。

| cpainvestor | 06:49 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
木を魅せて、あえて森は見ない




由比ヶ浜から稲村ケ崎、江の島を望む(フリー画像より拝借)

一度は住んでみたいアーバンリゾート
 
先週の日曜日、三浦半島を横切って逗子⇒鎌倉⇒江の島と湘南の海岸沿いをドライブする機会がありました。晴天でしたが、さすがに真冬のシーズンオフ、道路もすいているだろうから、ゆっくり湘南の海でも見ながら帰ろうと思ったのですが、これが大間違いでした。このあたりは冬でもサーファーで混雑しており、道沿いのレストランも老若男女のカップルで満杯、稲村ケ崎の手前では、どっぷりと渋滞にはまってしまいました。
 逗子・鎌倉・藤沢といった湘南の海沿いエリアは、東京から約1時間と交通アクセスも良く気候も温暖、昔ながらのしゃれたお店も多いことから、「一度は住んでみたいアーバンリゾート」として今も人気が高いのではないでしょうか。当然、そういった場所に居を構える方々のこだわりは強く、個性的な設計の家が目立ちます。

こだわり物件を徹底的に魅せるマーケティング
 個性的な家は、その人にとっては最高の棲家と言えますが、何らかの事情で売却せざるを得なくなった場合、買い手を見つけるのは難儀します。2月21日号の日経ビジネスの特集「完熟・国内市場に適応する新カンパニー」にとりあげられていた東京R不動産は、こういったこだわり物件の世界観を「物語」によって徹底的に魅せることで、日本、もしくは世界のどこかにいる「超こだわり潜在顧客」をマッチングさせようとしています。
 例えば、湘南地域に特化した稲村ケ崎R不動産がとりあげている紹介物件のエントリーを読むと、どこもこったタイトルのエッセイのような物件紹介ストーリが記されています。こだわり物件の長所も短所も示した上で、その場所で繰り広げられるであろう生活が語られています。この会社の社長さんは、日経ビジネスのインタビューで、「一人でも顧客に刺さる世界観があればいい」と語っていますが、デフレ不況を言い訳にせず、個性ある個別物件にフォーカスして、特定少数の潜在顧客の心に深く入り込む物語を綴るデザイン誌のような販売手法は、この業界では確かに斬新で、月間300万PVというのも頷けます。

超ニッチマーケティングを可能ならしめる高単価・ネット・ローコスト運営
 
インターネットの普及は、顧客が情報流通・検索にかかるコストを劇的に下げました。このため、運営側のオペレーションコストさえ最小限度におさえられれば、たとえ全世界で5人の顧客にしか適正価格で買ってもらえない商材であっても、その5人を確実に見つけることができ、オペレーションコストを回収できる売上が確保できれば、ビジネスとして成立します。
 その意味で、「こだわり不動産仲介ビジネス」は、\約単価が高い、▲優奪噺〆と物語による顧客訴求が可能、コンテンツ作成や在庫にかかる資金負担もなく、宅建資格保有者一人で最低限の切り盛りが可能という超ニッチマーケティングビジネスに適した特性を備えています。

木を魅せて、あえて森を見ないプロフェッショナル・サービスの発想
 
私が本業としているプロフェッショナル・サービスも、分野によっては上記 ↓◆↓の特徴を備えた形で「木を魅せて、あえて森を見ない」エッジの効いたサービスを展開することが可能だと考えています。
 内需マーケットが縮小していく中、大量に人員を投入できる大規模プロジェクトの機会はますます減少し、今までの延長線上の発想や品質改善ではどこかで思考が停止するはずです。ここはあえて発想を転換し、「一人一人が自分の食い扶持を稼げる」新たな分散型サービスの開発に知恵を絞りたいと思います。
 まずは、アクセス数など意識せず、このブログの古くからのコア読者層に刺さるエントリーを書き続けることを心がけることとします。

| cpainvestor | 23:10 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「究極のアジフライ定食」にみる試供品マーケティングの妙


 先日、久しぶりに、「究極のアジフライ定食」で評判の京ばし松輪のランチに行ってきました。三浦半島の松輪漁港から直送した新鮮なアジ2匹をフライにして、ご飯、お味噌汁、小鉢をつけて1,200円で提供しています。さすがにTVや雑誌でよく紹介されるだけあって、一度は食べる価値がある美味な一品だと思います。

 ところで、このお店のランチのオペレーションを見ると、「高級飲食店経営のお試しマーケティングはかくあるべし」というお手本を見せられているようでいつも感心させられます。

看板メニューの一点集中、一度聞いたら忘れない絶妙なネーミング
 
お昼のランチは、「究極のアジフライ定食」一種類のみです。肉厚の新鮮なアジのフライを大根おろしとワサビ醤油で頂くのがこのお店の特徴です。アジと言うと、タイやヒラメと違ってそれほどの高級魚ではありませんので、客の期待値も食べる前からものすごく高いわけではありません。そこに、首都圏近郊の地場漁港との強力なコネクションを生かして調達した新鮮なアジを、丁寧に下ごしらえして揚げたてホクホクの一品として出せば、ほとんどの客の期待値を上回ることができます。「究極のアジフライ定食」という抜群のネーミングとあいまって、一度食べたら客の記憶に間違いなく焼きつきます。

物語を作り、希少性を煽る
 
毎日提供される「究極のアジフライ定食」は限定60食、11時半の開店前には、店前に客の長蛇の列ができ、開店から1時間、座席2回転で確実に売り切れます。これだけ次から次へと客が来ており、保存がきくはずのフライなのだから、大漁時に冷蔵なり冷凍しておいて、もっと数を出せば良いのにと素人考えでは思います。
 ところが、このお店は違います。「アジフライに適した大きさのアジは、漁獲数に限りがございます。しかも毎日の下準備の時間を考えると、大変申し訳ありませんが、お客様に美味しく出せるのはこの数が限界です。」という風に店内看板で物語として主張されると、客は納得し、しかも飢餓感を煽られます。皆、一食あたりわずか二匹のアジフライを食べることができることに、ものすごい有難味を感じるようになるわけです。

ランチの鉄則は徹底したローコストオペレーション
 
多くの飲食店の稼ぎ時は夜のディナーであって、ランチは新規顧客獲得のための認知度向上マーケティングの一手法に過ぎず、言わば「試供品」のような存在です。このお店は、メニューを一品に絞ることで調理人の負担を極力抑え、限定60食、強気に相席を迫ることで座席回転率を高め、昼の営業時間を極力短縮させてホールスタッフの負担も抑えています。その上、食材のアジも築地などを通さず、地場漁港からの直接調達しているわけですから、原価も相当に安く抑えられているでしょう。しかも、毎日売り切れ御免で、在庫ロスはありません。ついてに、店舗は地下にあって、たいして広くもないことから、家賃も近隣相場よりはかなりお安くなっていることでしょう。

 絶妙な試供品マーケティング
 このお店にとって、ランチ限定の「究極のアジフライ定食」というコンテンツは、まさに最小限のコストで最大限の認知効果をあげているすぐれた試供品と言えそうです。その上、アジフライ定食が提供されるまでの待ち時間には、客にコースメニューの紹介文などをじっくり読ませて、夜の来店を促しています。

 不景気の深刻化で消費者の財布のヒモは固いままです。このような経済環境の下で、比較的高いプライシングをしているモノやサービスほど、その購買の呼び水となる試供品の役割が重要だったりします。ところが、多くの企業で、本来売りたい自社のモノやサービスを単純に値下げして試供品にしてしまっている会社も少なくないような気がします。
 呼び水にすべき試供品はどんなものが良いのか、そこからどうやって本来売りたい商品やサービスの購買につなげるのか…「究極のアジフライ定食」はその一つのヒントを教えてくれているような気がします。

| cpainvestor | 01:05 | comments(5) | trackbacks(0) | pookmark |
時持ち族向け射幸心煽り型ビジネス


 少し古い話になりますが、昨年12月中旬、客先を訪問した際に、JR神田駅の近くを通ったのですが、朝からとても長い行列ができていました。「何だろう?」と思い、行列の先を見てみると、あるパチンコ屋の入り口につながっていました。パチンコ屋の入り口には、「1円パチンコ台、本日より大幅増加します!65歳以上大歓迎!」といった趣旨のメッセージが書かれた横断幕がついていました。
 パチンコ屋さんは、学生時代以来ご無沙汰しておりましたので、最近事情に疎かったのですが、通常4円の貸し玉料が1円というパチンコが流行しているらしいですね。ネットで少し検索したところ、「これまでよりも低予算の金額で長く遊べる」というのがメリットのようです。「65歳以上大歓迎!」の文字も、その前日が2ヶ月に一度の年金支給日であったということを後から知って、合点がいきました。どおりで行列の中の高齢者の比率が異常に高かったわけです。このようにして、2ヶ月に一度、多額の金銭が国庫からパチンコ業界(さらにはもしかすると別の国に)移転しているわけですね。毎月多額の社会保険料を給与天引きさせられている身としては、何ともやるせない気分になります。

 また、私はたいがい片道500円のライナー券というものを購入して通勤しているのですが、最近朝の通勤ライナーの中で新聞を読んでいる人の数がめっきり減りました。新聞の代わりに大半の人が見入っているのが携帯電話です。多くの方が新聞を購入せずに、Webでニュースを見る時代になったのだなあとこれまでは漠然と思っていました。ところが、ここのところ隣に座る方をチラチラと観察していると、自分と同じ世代かもしくはそれより若い方に限って言えば、WEBを見るより、ゲームをしている方が相当多いことに気が付きました(読者の皆様からは、気付くのが遅いとつっこまれそうですが…)。DeNAやGREEの爆発的な高業績とTVCM広告料は彼らによって支えられているということなのでしょう。ゲームアイテム料が課金された多額の携帯電話代をもし彼らの親御さんが負担していることがあるとすれば、これもまたやるせない気分になります。

 この2つの事例、私の中では表題のタイトル「時持ち族向け射幸心煽り型ビジネス」としてつながっています。いずれも比較的時間に余裕がある方々を主なターゲットとして、彼らの射幸心を段階的に煽って、欲望がエスカレートすればするほどオカネと時間が胴元に吸い込まれるBtoC型ビジネスモデルとなっています。投資家目線で見た場合には、これはなかなかよくできたビジネスモデルであるわけですが、こういう産業以外に目立った成長セクターが見つからないというのもまた、現在の日本を象徴しているようにも思います。

 団塊世代の年金受給者入りで、「時持ち族向け射幸心煽り型ビジネス」は今後益々隆盛を極めるかもしれません。FXもその候補かと思いますが、他にも「このビジネスもそうではないか?」というアイデアがある方はコメント欄への投稿をお願いいたします。今後の投資戦略の参考にしたいと思います(笑)。

| cpainvestor | 20:44 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ためす、たのしむ、たしかめる


 いくつになっても、女性にとって「美」というのはプライスレスの存在のようで、この不況下においても化粧品業界には高収益の会社がゴロゴロしています。
 特に、日々のお肌のお手入れに欠かせない基礎化粧品群(クレンジング、洗顔料、化粧水、乳液等)の分野においては、TVや雑誌、ネットなど多くの媒体に湯水のように広告費を投入して自社製品の特徴を訴求し、ダイレクトマーケティングによる無店舗販売で多くの顧客を獲得して囲い込むという「勝ちパターン」が存在するようです。
 上場している中堅化粧品会社の中では、「皮膚の専門家がつくったメディカルコスメ」というコンセプトを打ち出して、看板製品「アクアコラーゲンゲル」をひたすら売りまくって成功しているドクターシーラボ(4924)がその代表例でしょう。2010年7月期のドクターシーラボの業績は、売上高31,789百万円(対前期比22.7%増)、営業利益8,370百万円(対前期比54.9%増)、営業利益率は26.3%に達しており、株価も含めて絶好調です。(ちなみに、参考のためにこの会社の粗利益率を載せておきますと、81.6%もあり、製造にかかったコストとは関係のない「プライスレスな価値」を多くのリピーター顧客(信者?)の皆さんに提供しているようです。)

 ただ、本日ご紹介したいのは、上記の「アクアコラーゲンゲル」と双璧をなすと思われる基礎化粧品「ドモホルンリンクル」の会社の方です。「0120444444」のメッセージで終わるTVCMを見ない日はないと思えるほど、大量の広告を打って世のおばさま方を刺激し続けております。例えば、このCMでは、「ためす、たのしむ、たしかめる」をキャッチフレーズに、まずはその効果を実感してもらうべく、「お試しセット」の取り寄せをひたすら訴求しています。
 「ドモホルンリンクル」を販売する再春館製薬所は熊本県の片田舎にある未上場企業であり、その財務内容の詳細はベールに包まれております。しかしながら、会社四季報−未上場会社版を見ると、損益情報だけは出ております。若干、業績の頭打ち感はありますが、こちらもドクターシーラボに負けず劣らずの高収益企業であるようです(下図)。

再春館製薬.jpg

 熊本県上益城郡の約9万坪の敷地には、工場と巨大なワンフロアオフィスがあり、間仕切りのない広い空間の真ん中に400人以上の顧客窓口担当者からなる巨大コールセンターが陣取っています。無店舗販売形態をとる再春館製薬所にとって、このコールセンターこそが販売の最前線であるといえます。
 「ドモホルンリンクル」は、そのお試しセットを取り寄せた顧客の約25%が初回購入し、その後2回目の購入する人は約60%、更に3回目の購入まで至るのは約75%、購入履歴が多い方ほどその再購入率は高いようで、8回以上の購入実績がある人に限ると、実に90%が再購入するという実証データが社内にあるそうです。
 コールセンターは、お試しセット入手者に初回購入を促す「サンプル隊」、初回購入した顧客に2回目の購入を促す「育成隊」、3回以上購入したリピーターを会員として継続的にサポートする「会員隊」の3つに分かれて組織されています。この会社の社内には、上記3隊がうまく連携して「お試しセット利用者」に、担当者の顔写真入りのDMを定期的に送り、絶妙なタイミングで電話をかけて、お肌の悩みを聞きながらリピート購入を促すしかけが、最新のIT環境と共にできあがっています。

 再春館製薬所は、漢方薬も作っているそうですが、売上の大半は、「ドモホルンリンクル」なのではないかと推測されます。ほぼ単一の商品をこれだけ徹底して売り込み、リピート顧客(信者)を生み出すしかけを構築した創業社長は偉大です。経営は2代目の息子さんに移っているようですが、先代と同じやり方であと何年成長できるのか、やがて来る成長の踊り場を乗り越えるために、どのような新基軸を打ち出していくつもりなのか、興味を持ってウォッチしていきたいと思います。意外にそのうち、上場するなんてこともあるかもしれませんね。

 もし、このブログの読者で「ドモホルンリンクル」の信者様がいらっしゃいましたら、他の基礎化粧品と一体何が違うのか、男性にもたしかめられるように説明して頂ければ幸いです。

追伸
 再春館製薬所の事業内容や営業戦略の詳細については、杉田浩章著「思考する営業―BCG流営業戦略」(ダイヤモンド社)の事例紹介部分を参考に記述しました。 この本も、営業系の仕事をしている方には、参考になる事例が豊富な良書かと思います。

| cpainvestor | 19:08 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Curvesのビジネスについて考える
  
  最近、私の妻が、「健康に痩せる」ことを目標に、Curvesというスポーツジムに通い始めました。このアメリカ生まれのスポーツジム、シャワーもない部屋にフィットネスマシンが置いてあるだけの簡易な施設のようですが、「30分で、筋トレ・有酸素運動・ストレッチが手軽にできる」、「女性専用」を売りにフランチャイズ(FC)方式で急成長(現在全国に600店舗を展開)しているようです。
 
  このような急成長ビジネスを見るにつけ、「ビジネス分析」をしたくなるのは会計士兼投資家としての私の性ですので、しばし、この女性専用スポーツジムのフランチャイズ本部(FC本部)になったつもりで簡単にビジネス分析をしてみましょう。

 市場及びターゲット顧客 
  このスポーツジムのターゲット顧客は、会社帰りや、ちょっとした空き時間に運動して痩せたいと考えている若年〜中年の女性でしょうか。(フィットネス機器を使った筋トレもありますから、あまり高齢の女性はターゲットではないでしょう)
  女性にターゲットを絞り込むということで、従来のフィットネス市場の半分しか抑えられないのではないかという懸念は素人考えのようです。今まで「男性にスッピンで運動しているところ(ダイエットしているところ?)を見られるのは嫌だ!」、「遠くまで行って何時間もかかるものではなく、もっと近所で手軽な運動をこまめにしたい!」という女性顧客のニーズをとらえて、従来のフィットネスクラブからの特定セグメントの顧客収奪に加え、更にこれまでフィットネスクラブに行ったことがない女性の潜在顧客の掘り起こしにも成功しているようです。

  競合状況
  価格帯(5,000〜7,000円/月)から考えて、従来型のフィットネスクラブ(フィットネス機器やテニスコート、プールなどの施設を備えたセントラルスポーツクラブや、コナミスポーツクラブなど)は当然、競合と考えられるとは思われます。ただ、こうした従来型フィットネスクラブが半径1Km圏内に林立しているところにも、果敢に出店しているところから考えて、「もっと手軽にリーズナブルな値段でコマメに運動したい、という絞り込まれた顧客のニーズ」のみを拾い上げることで、真正面からの競合は避けている感じです。
  むしろ、「フィットネスクラブは高いので、通販で購入したエアロバイクなどを家の中でこいで、ひたすら隠れて痩せようとしていた主婦」などをターゲットにしていると思われることから、家庭内フィットネス器具販売企業の方が競合度合は高いかもしれません。

  この企業のビジネスモデル
  女性専用小規模スポーツジムの運営ノウハウを提供するかわりに、フランチャイズ加盟者(以下FC加盟店)から、加盟金収入、ランニングロイヤリティ、フィットネス器具や店舗で販売する商品、店舗で使用する消耗品などの卸売による利益などを得る仕組みだと思われます。
  FC加盟店オーナーの立場から考えてみると、シャワー等もなく、数台のフィットネス器具を設置するだけで、あとは主にアルバイトスタッフが指導するだけですので、初期投資負担が飲食店ビジネスなどに比べて、比較的少なくて済むものと想定されます。
  また、オペレーションコストについて考えてみると、食材仕入などがなく、人件費と賃料、FC本部へのロイヤルティだけですので、ロイヤルティ率さえそこそこなら、比較的低いものと想定されます。その意味で、うまく顧客を募集し、定着化させるノウハウさえ持ち合わせていれば(本部が指導してくれれば)、従来のフィットネスクラブに比べ、より小さな商圏でも成立するストック型ビジネスモデルであると考えられます。(フィットネスクラブ業界におけるゲリラ的存在といえるかもしれません)
  上記の特徴は、FC本部側にとっては、出店余地が極めて大きい(従来型フィットネスクラブが林立するところでもそれなりに出店できるし、これまで、従来型フィットネスクラブが出店できなかった田舎の地域にも出店できる)ということになりますから、短期的には成長可能性もそれなりにあると思われます。「メタボ関連」の有力候補かもしれません(笑)。

  リスク分析
  ただし、ちょっと考えただけでも以下のようにビジネスモデルは穴だらけです。
○ 初期投資額が低く、似たようなフィットネス器具もそろえられないことはないでしょうし、指導ノウハウもそれほど特殊なものではないようですから、参入障壁は極めて低く、真似されやすい。
○ 利用会員は銀行引き落としなどのストック型であるとはいえ、一定期間の実質的な解約禁止条項はつけづらく、近隣に「シャワー付きお手軽フィットネス」が同値段で出てきたら、すぐに顧客離反が起きそうで、スイッチコストは高くない。
○ 施設型ビジネスであり、新規会員を何人獲得しても、基本コストはほとんど固定費のみで、追加コストはかからないものと推測されることから、FC本部は、売上の捕捉をしっかり確認できる仕組みを作らないと、FC加盟店の会員数のごまかし等に対処できず、ロイヤルティの回収漏れ等が生じる可能性がある。
○ FC本部に、「一定期間で教え込める指導ノウハウ」以外の「売り」がなく、FC加盟店がずっと加盟し続けるメリットが少ない。(一般的に、FC飲食ビジネスなら、独自食材、FC小売ビジネスならPB商品や緻密な需要予測にも使えるPOSシステム、FC中古車販売なら、適正な値段での中古車買取を可能ならしめる市場売買情報など、FC本部には、FC加盟店が離れたくてもずっと離れられない「キラーコンテンツ」があるものですが、このビジネスにはそれが見当たらないような気がします。)ということは、元FC加盟店の経験のあるオーナーなら、他人名義などを借用して簡単に競合店舗を作ることができる可能性があります。

  結論
  このビジネスに関する数字はまだほとんど見ていませんが、どう見ても、「スピード命」の先行者利得獲得型体育会系ビジネスモデルとしてしか見えず、短命のような気がして、投資する気は萎えます。(妻にはがんばって続けて欲しいですが・・・)

  何か、別の参入障壁のようなものに気がついた方がいらっしゃいましたら、ご意見下さい。
| cpainvestor | 22:42 | comments(5) | trackbacks(0) | pookmark |
化粧品のビジネスについて考える
  
  自宅の風呂場に「白TSUBAKI」のシャンプーが置いてありました。毎日テレビでギャラの高そうな美女を大量動員してガンガンCMをしていますから、妻も影響されて購入したのかもしれません。

白TSUBAKI  有名美女てんこもりCMはこちらの動画の後に出てくるCM欄から

  TSUBAKIを市場に送り出した日本の最大手化粧品会社、資生堂の財務諸表を見て見ましょう。

  業績は拡大基調にあり、07年3月期は、売上高694,594M、売上総利益509,062M(粗利益率:73.2%)、営業利益44,308M(営業利益率6.3%)となっています。

  驚くべきは、粗利益率と営業利益率の差です。粗利益率が73%ということは、ものすごく単純に言うと、10,000円のファンデーションの製造コストは、2,680円に過ぎないということです。(当然製品によって、粗利益率は違うでしょうから、原価率がもっと低い製品も多々あるでしょう。化粧水とか・・・)

  2,680円の原価で作ったファンデーションを売るのに、この会社は、6,690円も販管費を使っています。この中身は、デパート1階の一等地の賃料、その店にいるやたら化粧栄えするお姉さま方のコスト、それから莫大な広告宣伝費や販促費、それにちょっぴりの研究開発費などでしょうか。「化粧品はイメージが大切」とは言え、ここまで、莫大な販管費を使わないと高く売れないのだろうか・・・疑問に感じてしまいます。

  少し気になったので、資生堂の07年3月期の営業人件費(お姉さま方の費用)、広告宣伝費(CMや媒体広告の費用です)と売出費(店頭での各種販促費用です)の合計額を注記から拾ってみました(括弧内は対売上高比率)。営業人件費122,696M(17,7%)、広告費50,314M(7,2%)、売出費118,264M(17.0%)でした。

  つまり、1万円のファンデーションを売るのに、1,770円の人件費を使い、720円の広告費を使い、1,180円のキャンペーン費用を使っているわけです。百歩譲って、営業人件費は許すとしても、そもそも、女性にとって、化粧品は、ある程度、必需品に近いぶるいに入る方も多くいらっしゃることでしょう。ギャラの高い有名美人タレントを多数使って、店頭で沢山キャンペーンをやらないと、この売上は維持できないのでしょうか。いくらなんでも、費用対効果の認識が甘く、商売の効率が低すぎる気がします。(投資したくないなあ・・・)

  世界三大化粧品・トイレタリーメーカーのP&G、ユニリーバ、ロレアルのPLの売上高原価率、営業利益率も見てみましょう。

P&G
ユニリーバ
ロレアル

粗利益率 (P&G:52.0%、ユニリーバ:49.7%、ロレアル71.1%)
営業利益率(P&G:20.2%、ユニリーバ:14.2%、ロレアル16.4%)
 
  上記データを見る限り、会計ルールの違いなどで、日本では販管費に区分される費用の一部が売上原価に入っている可能性はあるかもしれませんが上記3社の営業利益率と資生堂の営業利益率6.3%とは天と地ぐらい差があります。
 
  もちろん、上記3社は、化粧品とトイレタリー商品の販売比率の違い、企業規模が異なることによる「規模の経済」の影響度の違いはあるでしょうが、例えば、化粧品販売比率が大きい(小さい)こと、製品単位当たりの固定費低減効果を考慮に入れたとしても、資生堂は、販管費、とりわけ、「広告費、売出費の使い方がうまくないのではないか?」という気がしてなりません。「マーケティング部の思い入れ」や「役員の好み」だけでギャラの高いタレントを使っていたり、販売予測の精度が甘すぎて、大量に在庫が余ってしまってキャンペーン打ちまくって処分を急いでいるなんてことはないでしょうか。

  有名美人を沢山使う広告は、男性的には大歓迎ですが、化粧品の主要ユーザーである女性は、大変失礼な言い方かもしれませんが、全員があんなに美人なわけではないですよね。化粧品の効果を強調するならむしろ、ぱっとしない女性が、その化粧品を使うことでどれだけ変身するかを強調した方が、効果的なような気がするんですが、例えば、こういう実利的な映像を使ったCMではダメなのでしょうか。

  数少ない女性読者の皆さんのご意見をお待ちしております。
| cpainvestor | 00:12 | comments(13) | trackbacks(0) | pookmark |
テイクアンドギブ・ニーズの赤字転落に思う
 
  破竹の勢いで成長してきた邸宅風ウェディングのテイクアンドギブ・ニーズ(T&G社:4331)が2008年3月期業績予想の下方修正を発表しました。上場以来、初の赤字転落となるということです。

 これまで、体育会系名物社長の下で、「気合と根性」、「感動挙式」で成長してきたT&G社ですが、ついに壁にぶち当たったようです。

 業績大幅下方修正の理由として、T&G社は、以下のような理由を挙げています。
集客力の減少による低下による受注数の減少
(ア) 規模拡大を最優先したことによる個店の体制作りの遅延に伴う集客力の低下
(イ) 地元密着のメディア対策が不十分であったことによる訴求力不足に伴う集客力の減少
成約率の低下による受注数の減少
(ア) 営業推進がマニュアル化したことによるプロデュース力の低下に伴う成約率低下
(イ) プロデュース力を重視する営業方針の転換が円滑に進まなかったことによる現場の混乱に伴う成約率の低下

  結婚式場のビジネスは、いわゆるハコの稼働率を最大限に押し上げることで稼ぐ典型的な稼働率ビジネスです。言い換えれば、ホテルや航空会社と同じく固定費が重く変動費の軽いビジネスですから、施設が適正価格でフル回転(高稼働)することで、売上が固定費を回収する水準(損益分岐点)を上回ると大きく利益が出ますが、思ったような稼働率を確保できず、売上が損益分岐点を下回るようになってくると、とたんに大きな損失が出るというハイリスク・ハイリターン型の収益構造を持つビジネスの典型であると言えます。

  その意味で、利益のトリガーは、低コストオペレーションではなく、適正価格で、目標とする施設稼働率を達成し、目標売上を確保できるかどうかにかかっています。ここで、結婚式場の売上高をもう少し要因別に分解すると、以下のような式が成立するはずです。

結婚式場一店舗あたり売上高=客単価×受注客数=客単価×下見客数×成約率

  今回のT&G社の発表を見ると、売上が著しく減少した理由は、下見客数の減少と成約率の低下が同時進行的に発生したことにより、受注客数が大幅に減少したことにあるようです。

  下見客数の増減に影響するトリガーとは何でしょうか。これはおそらく、広告宣伝費の金額とその使い方となるでしょう。結婚式場というビジネスの最大の特徴は、顧客のリピートが全く見込めないということにあります。このため、広告宣伝費という「撒き餌」をいかに効率よく使って、潜在顧客である下見客を確保するかが、極めて重要となります。今回のT&G社の発表を見る限り、広告宣伝費用の費用対効果が落ちていることは明らかだと思います。(彼らはそれを地元密着型のメディア対策の不十分性と表現しています。)

  成約率の高低に影響するトリガーとは何でしょうか。これはおそらく、各店舗の営業マンの人員数とスキルとなるでしょう。急速な店舗展開で人材育成が追いつかず、下見客を着実に成約に持ち込むという営業マンのスキルレベルが低下しているのだと思います。(彼らはそれをマニュアル化によるプロデュース力の低下と表現しています。)

  こうして見ていくと、下見客数の回復には、個別の店舗の商圏ごとにきめ細かい広告宣伝戦略を立案していく必要がありますし、成約率の回復には、地道に営業スキルレベルの向上を図るような人材育成を行う必要がありますから、いずれも一朝一夕には片付かず、それなりの時間とコストがかかるように思われます。その意味で、T&G社は一時的な業績の減速が起こっているという単純なものではなく、その収益構造をゆるがすような「正念場」を迎えているのかもしれません。

  このように売上を要因別に分解してみると、その会社のビジネスの損益構造の本質が見えてくることがよくあります。

  広告宣伝費をジャブジャブ使って集客し、高度な営業スキルを使って毎回毎回、多額の客単価を負担してくれる新規顧客を獲得し続けることで、売上を作っていかなくてはならないビジネスって、えらく不安定で非効率だと思いませんか。しかも、邸宅風挙式なんて、簡単にパクられそうで、差別化は本当に難しいと思います。

  上記のようなことから、結婚式場などの「差別化のしにくいリピートなし稼働率ビジネス」は、個人的に「最も投資するのを避けたいビジネス」の一つとなっています。

  T&G社の経営戦略などを見ると、なんとか挙式をしてくれた顧客との関係を維持して、別のサービスや商品を売り込もうとしているようですが、やはりうまくいっていないようですね。

  同社が今後、どのように体制を立て直すのか、もしくは落ちていくのか、興味を持ってウォッチしていきたいと思っています。


| cpainvestor | 02:21 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |

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