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「値決め」にもっと真剣になる

 いつも会計にこだわらない、ユニークな視点で世相を切る田中先生の新刊「良い値決め 悪い値決め ―きちんと儲けるためのプライシング戦略 を読みました。私も8月から自分の時間を切り売りする商売となり、サービスの値決めをどうするかということに、日々悩んでいますので、タイムリーな良書でした。中小企業の社長、士業やデザイナーなどの個人事業者、営業担当者の皆様にはオススメです。

 田中先生曰く「Digital Online Global(DOG)」な空間で勝負すると不毛な価格競争に巻き込まれる可能性が高いので、中小企業者ほど「Cozy Analog Touch(CAT)」な空間で勝負せよとのことでした。私もまったくそのとおりだと思います。DOGマーケットで大企業と戦っても勝ち目がありません。

 今回、起業にあたり、法務や税務をはじめ様々な手続を行いましたが、世の中の士業の皆様(弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士、行政書士)が、懇切丁寧な解説記事をWeb上で書いてくれているおかげで、ほとんどの手続を問題なく済ますことができました。これらは全て、無料の助言です。一生懸命書いてくれている方には、Google AdSense の広告収入くらいは入るのでしょうが、まったくその労力には見合ってないのではないでしょうか。

 近年、調べてわかる知識の提供や、手続代行系サービスで専門家が報酬を得るのは、どんどん難しくなっています。また、これだけ電車の中で本を読んでいる人が少なくなっている現状を見ると、活字を書くだけで収入を得るというのも至難の業だと言えます。だからといって、WEBで書けば書くほど、コピペされ、パクられることになります。その結果、私も本業系のセミナーなどでは、録画は断りますし、極力資料に文字を書かずに話すライブスタイルが中心となりました(笑)。
 サービスプロダクトの方は、田中先生の言うように「Cozy Analog Touch」なOnly Oneなものを目指すとしても、問題はプロダクトの「値決め」です。情報サービス業の場合、コストの大半は、固定費である人件費で、変動費が少ないですから、下げようと思えば、いくらでも下げることができます。ただ、ここで値段を下げてしまうと、自分の首が絞まり、生活が立ち行かなくなります。 田中先生は、「コストを基準に価格を決めることをやめて、顧客の心地よさを基準に価格を決めよ」と言います。

 「言うは易く行うは難し」ですが、サービスの値決めにあたっては、私を含めた世の中小企業者の皆様は、書籍に書いてあったことも含め、以下の視点には留意して、もっと真剣に考えた方が良さそうです。

1.アンカーリング効果に留意
 最初が肝心。最初の報酬単価が常にアンカーとなり比較される。サービスラインに松竹梅を示して、竹に誘導する、レンジで価格帯を設定し、目標価格を下限値として設定するなどの工夫は必要。やむなく値下げをする場合にも、必ず理由(期間限定、初回●名様限定など)をつける。

2.QDSで訴求
 安心安全の品質、歴史と伝統のブランドの訴求(Quality)、多品種小ロット、短納期での訴求(Delivery)、アフターサービス保証の充実(Service)など、価格以外の訴求点を今以上にもっと明確にする。究極的には、BMWの林さんではないが、「車を売る」のではなく「車と共に歩む人生を売る」と言えるくらいの価値転換の発想が大事。

3.内容量の増減
 お値段は据え置きで、サービス内容をしれっと減らす、もしくは目立つように加える形の交渉でする方が値段を下げられるよりはましである。

4.セット/継続販売
 製品本体+消耗品、定食などのセット販売、オンラインとオフライン、継続契約の約束など、利益率の高い単品をいくつか組み合わせて売ることで、購買単価を上げ、利益を確保する。

 世の中小企業者の皆様、お互い泣き寝入りすることのないようがんばりましょう。
| cpainvestor | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
読書の秋

 ふだん忙しくて、なかなか仕事に関係ない本を読む時間がとれませんが、ここのところ出張が続いたため、久しぶりに長い移動時間が確保できました。前からずっと気になっていた本屋大賞のベストセラー作品、「天地明察」と「海賊と呼ばれた男」ようやく読み切ることができました。

「天地明察」



 江戸時代の「改暦」というマニアックな事業を成し遂げた渋川春海という囲碁侍をテーマにした小説ですが、抜群に面白かったです。時代小説というと、戦国や幕末の英雄、その参謀などが書かれることが多いわけですが、天下泰平となった江戸時代の一学者をとりあげ、そこに同時代の傑出した数学者、関孝和をからめたストーリー設定は見事という他はありません。また、男子理想の「ツンデレヒロイン」もお約束のように登場し、恋愛をからめるあたりは、小説の王道といえます。
 それにしてもすごいのは、冲方丁という作家の圧倒的な知識量です。この小説を読むだけで、江戸時代の世相や数学・天文学のレベル、神道や陰陽師の歴史、当時の政治体制など膨大な量の知識が入ってきます。この小説を書くために、どれだけの時間を文献収集や取材に費やしたのか…想像を絶します。これぞ「プロの物書き」の真骨頂を見た気がしました。

「海賊とよばれた男」



 こちらは出光興産の創業者、出光佐三をモデルにした歴史時代小説で、どこの本屋の店頭にも置いてある大ベストセラーです。ずっと読みたいと思い、部屋の片隅に積んであったハードカバーをようやく開けたら最後、こちらも止まらなくなりました。
 ベールにつつまれた未上場の豪族大企業というのは日本にいくつかあって、出光興産も数年前までその中の一つであったと記憶しています。出光の独特のカルチャーに関しては、新人の頃、業務で訪問していた石油業界の会社でよく聞いていました。「大家族主義」「定年なしの終身雇用制」「タイムカードなし」といった企業風土がどうして生まれてきたのか、この小説を読むとよくわかる気がします。
 戦後の難局を乗り切った出光興産は、出光佐三のカリスマリーダーシップで大きく事業が拡大、その路線を継承した同族社長達も、猛烈営業スタイルを貫き、1990年代半ばには販売量で石油元売業界のトップに立ちます。
しかしながら、その後石油内需が飽和化して競争が激化していく中で、積極的な設備・事業投資が裏目に出て、過大な有利子負債を抱えた出光興産は経営危機が噂されるまで業績が落ち込みます。
 このような状況下のもと、初めての非同族社長として選任された天坊氏は、経営改革を断行、創業家を説得して上場に踏み切り、今の出光興産があります。このあたりのバックグラウンド情報も意識しながら、「海賊とよばれた男」を読むと、また味わいが変わってきます。

 最近、ちょっとした隙間時間には、ついスマホなどでまとめサイトなどを読んでしまうことが多かった自分ですが、大作を2つほど読んで改めて「プロの書く活字」を読むことにもっと時間を使った方が良いと思うようになりました。 Kindle Paperwhite も購入したことですし、この秋は良書と思われる仕事と関係ない本をもっと読みたいと思います。
| cpainvestor | 16:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「外れ値」かもしれませんが、「まぐれ」ではないです


 久しぶりの更新です。

 相場が高くなってくると、「私は株で●億円儲けました!」という本が書店に並ぶようになります。「年収300万円、掃除夫の僕が1億円貯めた方法」もその類の本と言ってしまえばそうなのかもしれませんが、著者自ら「私の手法をそのままマネするのは危険で使えませんし、この手の本が出版される頃が、相場の天井かもしれません」的な自虐コメントを、これから売ろうとする本の冒頭に持ってくるのは、さすがはwww9945さんらしく好感が持てます(笑)。

 さてこの本は、個人投資家のwww9945さんが、ご自分の株式投資との出会いから、運用資産1億円超を築き上げるまでの悪戦苦闘の歴史を振り返ったものですが、「本業:株式投資家、副業:掃除夫」という本人にとってのベストポジションに行きつくまでの紆余曲折がおもしろおかしく書いてありまして、移動の新幹線で笑みをこらえながら一気に読んでしまいました。
 もちろん、通読すると、株式投資の入門知識となるような事項が一通り習得できるような構成にもなっており、著者ならではのユニークな文体を生かしつつも、「中身ある書籍」を作ろうとする編集者の腕と良心を感じさせる出来栄えとなっておりました。本業以外に自分の資産にも働いてもらいたいと考える投資初心者の皆さんに、「そんな甘くはないよ。でも、よく学び、試行錯誤することをやめなければ、結果はついて来るかもよ。だからやってみれば。もう少し株価が下がった時に。」と思わせる良書だと思います。

 私は、個人的にもwww9945さんと時折食事を共にさせてもらっていますが、彼の投資全般と個別銘柄に関するマシンガントークには毎回圧倒されますし、どんな時事ネタでも最後は国内・海外の個別銘柄に結び付けてしまう強烈感度のアンテナにはいつも感心させられます。また、書籍に記載のあった、「池袋の街角ウォッチングから有望銘柄を見つけ出すボトムアップアプローチ」は、まさに「素人には見えないものが彼には見えている」という意味で、投資家としての目利きの真骨頂を十分に発揮しているといえるでしょう。その意味で彼の投資パフォーマンスは、統計上の「外れ値」かもしれませんが、決して「まぐれ」ではないことだけは確かです。

 彼はよく、「掃除夫年収3百万円ですから…」とご自分のことを謙遜されますが、あの「強烈アンテナ」、「目利き力」、「リスク嗅覚」をもってすれば、この先も十分食べていけるでしょうし、年収10百万円超でも組織内でのポジショニングばかり気にしている大企業サラリーマンよりずっとサバイバル能力は高いと私は思います(本人は一緒にされることすら心外でしょう。www9945さん、ごめんなさい)。これから社会に出る大学生などには、下手な業界研究就活セミナーより、彼の事業目利き力&サバイバルセミナーを受けさせた方がよほどためになるのではないでしょうか(タバコとかギャンブルとかアルコールの会社への入社ばかり勧められそうなのが、若干心配ではありますが・・・)。

 この本を読んでいて一つだけ心配な点があるとすれば、現在の運用資産規模になっても、彼は資金をタイトル通り「貯めて」はおらず、「ほぼフルインベストメント」で攻め続けており、彼の生来のギャンブラー体質を抑え込める女房役がいらっしゃらないことでしょうか。
 余計なお世話かもしれませんが、「守るべきパートナーや家族」をお作りになることが、この課題に対する一番の処方箋になるような気がしますので、そろそろ異性方面のスクリーニング閾値は少し下げて、案件発掘に勤しまれることを、今度お会いした時には、お勧めしたいと思います。

 www9945さん、また一緒に飲みましょう。ご指導をお待ちしております。

| cpainvestor | 18:33 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
専門家にとってのBtoCビジネス

 

 ご近所の顔見知りや、息子と同級の親御さんなどに自己紹介をする際、自分の職業を「会計士です」と言うと、「じゃあ会計事務所を経営なさっているんですか?」とか、「税金でわからないことがあるときに教えて下さい」などと言われることが多々あります。それくらい会計士という職業はマイナーで、町の税理士さんと区別がつかない方が多いのではないでしょうか。
 そうした中で、ここ数年、会計士という職業の認知度を飛躍的に高めて頂いたのは、なんと言っても勝間和代女史だと思われます。この方、会計士の独占業務である会計監査をやっていたのはわずか半年くらいで、キャリアの大半が戦略コンサルタントと証券アナリストですから、私達の業界では「完全なるアウトライヤー」であり、同業としてくくらせていただくのは大変恐れおおいわけですが、とにもかくにもお茶の間に「公認会計士」という職業を広めて頂いた彼女の功績は大きいと思います。

 私の元同僚の中にも独立してがんばっている人間は何人もおりますが、やっている仕事の内容は、監査や税務、それに付随する経理系コンサルティングなど、今までやってきた業務の延長であることが多く、「同業であれば何をやっているかが容易に想像できるBtoBビジネス」であることが多いです。それに比べて、勝間女史がやられているのは、「作家、タレント型BtoCビジネス」であり、全くタイプが異なっています。

 勝間女史の著書は、初期の会計本や一部の翻訳本は購入して読み、良書であると感じましたが、それ以降の企画物や新書の類は、本屋で見かけても、正直まったく読む気がしませんでした。(ご本人に言わせると、あなたは読者ターゲットではないということなのでしょう。)しかしながら、今回出された新著「有名人になる」ということ は、いくつかのブログで面白い書評が出ていたので、久しぶりに購入して、帰りの電車で読んでみました。この書籍、「カツマーブームの勃興から終焉」を当人の立場から淡々と分析・記述されているのですが、マスマーケットでの認知度を上げるべく、ご本人が戦略を立てて、思考錯誤しながら挑戦してきた過程が書かれていて、非常に興味深く読むことができました。相変わらず著書のタイトルは挑戦的ではありますが、文体は以前の著書に比べ、だいぶやわらかく謙虚になっております(笑)。

 この書籍、タイトルだけ読むと全く買いたくなくなりそうですが、中身は大企業相手のBtoBの専門的職業で生きてきたような方が、独立して完全なBtoCのマーケット、もしくは中小企業オーナーや個人事業主向けのマーケットに出る場合に、どの部分で差別化し、どのように認知度を上げ、どこで稼ぎ、何に気をつけるべきか、そのエッセンスがつまっているように感じました。今までドブ板営業の経験などがなく、大企業向けに会社の看板を使って専門的な仕事をしてきたような方がピンで独立し、「専門家としてのBtoCビジネス」を展開していきたいと思っている方には、非常に参考になる内容だと思います。
 カツマーブームのピークに達した時、多数の連載と著書の企画、テレビのレギュラー出演を抱え、個々のコンテンツの品質劣化が起きていることは、何よりご本人が一番感じておられたこと、それでも「このチャンスを逃すと次はないかもしれない」(この気持ち、スポット仕事をメインとしている私もすごくよくわかります)という恐怖感から断れなかったことを、「断る力」 でブレイクした当人が赤裸々につづっているのは印象的でした。

 私個人的には、かつて自分の師匠に言われた「看板やプラットフォームに依存しない独自の販路を持つこと」「専門家として生きていきたいならば、BtoBのレベルの高い顧客とのビジネスから離れてはいけないこと」の重要性を、この本を読んで、改めて再認識した次第です。

 なお、勝間女史の初期の以下の2作品は、クオリティも高く、私自身、企業研修などの参考書籍として薦めることも多いです。真の財務諸表分析力、ビジネスモデル思考などを理解したい方は読んでおいて損はないと思います。

決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール

勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─
| cpainvestor | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
日本国債だけが暴落しないという保証はどこにもない


 マイケル・ルイスの最新作「ブーメラン---欧州から恐慌が返ってくる」を読了しました。金融の世界を題材に「物語」を書かせたら当代随一といっても良い彼の今回の著作には、どこにも統計的な数値は出てきませんが、非常に学びが多く、かつ、面白い内容に仕上がっています。

 今回の物語は、サブプライム後の欧州危機で国ごと事実上のデフォルト状態となったアイスランド、ギリシャ、アイルランドといった国々の「焼け野原ルポ」がその中心です。いずれの国も、ユーロ加盟以降、効率よく稼げた金融と不動産に資金と人材が集中し、伝統産業の雇用が失われたところに金融危機が直撃。不動産価格の暴落と海外投資家の資金逃避により主要銀行が破たんし、政府がその手当てに奔走するものの、その財政力の脆弱性ゆえに、政府そのものが実質破たんするというシナリオをたどっています。
 それぞれの国の破綻劇を見ていると、途中の道のりにいくつかの違いはあるにせよ、「給付はできるだけ多く、負担はできるだけ小さく」を地で行くような人々の目に余るモラルハザードと政府部門の際限なきバラマキの延長線上には、必ず経済破綻が待っているという現実をこれでもかというほど認識させられます。
 特にギリシャの徴税機能の破綻と公的部門の肥大化を見ていると、国民性や産業構造が国の在り方に強い影響を与えており、ちょっとやそっと借金を棒引きしたくらいでどうにかなる問題ではないことがよくわかります。株式市場は、年初来の上昇を続け、「欧州危機は一服」という印象が広がっているようですが、この著作を読む限り、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの予備軍にいつ波及してもおかしくない状況は続いています。

 最終章は、「あなたの中の内なるギリシャ」というタイトルで、自治体財政が破たんし、警察・消防・教育などの最低限の行政サービスすらまともに維持できなくなった米国カリフォルニア州の自治体の話で締めくくられていますが、これなどは日本でもそのうち現実化する事例なのではないでしょうか。

 公務員が自らの待遇維持ばかりを求め、土建屋が公共工事を求め、中小企業は公的資金支援を求め、住民は医療や公共サービスの負担を極力避けようとする。関係当事者は皆「いずれこのままではまずい」と分かっていはいても、思考停止状態が続く。
 これは私達の身の回りでも現実に起こっていることでしょう。

 欧州危機が起こる以前から、これらの国々の国債をショートして荒稼ぎしたヘッジファンドのいくつかがが、日本国債のCDSを買っている(売りのポジションをとっている)ことの意味を私達はもっと深刻にとらえるべきなのかもしれません。スペインやイタリアでさえ、突然、国債価格が下がり金利が急騰している現実がある中で、日本の国債だけが値を保ち、超低金利が今後も維持されるという保証はどこにもありません。それが起こるか否か、起こるとすればいつか、それは誰にもわかりませんが、庶民としてでき得る以下の備えくらいはしておくべきではないでしょうか。

●復興国債という名前に惑わされて、個人向け国債などは購入しない。
●円以外の通貨をバランスよく保有する。
●資産は預金に集中させず、最低でも配当利回りの高いディフェンシブ株等に分散する。
●もし住宅を購入する場合には、なるべく売却可能性の高い立地の物件を購入し、現在の超低金利を利用して長期固定のローンを組む。

| cpainvestor | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「負けない努力」と「どこにチャンスを残して負けるか」


 このお正月に内藤さんのブログで紹介されていた落合博満著「采配」 を読みました。中日ドラゴンズの監督就任期間8年でリーグ優勝4回、日本一1回。時に「オレ流采配」と批判されながらも、「文句なしの結果」を残した落合監督の言葉には、いずれも黙って頷いてしまうものが多いです。

 この著書の中で示された66の金言の中で、私が最も印象に残ったのは、「負けない努力が勝ちにつながる」、「連戦連勝を目指すより、どこにチャンスを残して負けるか」という一見矛盾するような2つの言葉でした。
 野球の場合、個々の試合の中で勝率を少しでも高めるためにもっとも計算できるのは、打撃力よりも投手力であり、勝てない時こそ相手を0点に抑える「負けない努力」が最も必要であると落合氏は説いています。その意味で、「先発投手が1点に抑えて完投しても、試合に負けたのであれば、それは彼が仕事をしたことには決してならない」となかなか手厳しいです。
 一方で、野球人たる者の最終目標は、常にペナントレースという長期戦を戦いぬいた後に獲得する優勝にあります。ここで重要なのは、優勝チームでも年に50回は負けるという事実であり、「いかに連敗をしないか、0対10の大敗をした次の戦いを自分のものにするか」というところに監督の真価が問われることとなります。落合氏は、負け試合は割り切って次戦にチャンスを残すために戦力を温存する(勝負所を間違えない)戦い方の重要性を同時に説いています。
 つまり、指揮官たる者、「ペナントレースを勝ちにいく」という結果にこだわるのであれば、個々の戦で少しでも負けない確率を上げていく「局所的な視点でのディフェンシブ思考」と、長期的な目標を見越し、どこで負けて(リスクをとって)どこで勝つか(成果を得るか)という「大局的な視点でのリスクマネジメント思考」の双方を磨かなくてはならないということなのでしょう。

 ここからは完全な私見ですが、毎月の収入が最低限保証されている(私を含めた)会社勤めの使用人は、「負けない確率を上げる」というディフェンシブ思考にはなじみがあっても、「どこで負けてどこで勝つか」というリスクマネジメント思考にはどうしても疎くなってしまうのではないでしょうか。
 仮に「組織に依存しなくても生きていけるプロフェッショナル」を究極の目標とするのであれば、後者のリスクマネジメント思考はできるだけ若いうちから意識して身につける必要がありそうです。
 最も手っ取り早いのは、自分があげた成果が収入に直結する独立自営業者として早いところ生活してみることなのでしょうが、これではリスクが大きすぎる気もします。そこで代替手段として、若いうちから個別株などのリスク資産で自己資金を運用してみるということも、このリスクマネジメント思考を鍛える上では有効なのではないでしょうか。

 最後は落合氏の著書からだいぶ離れて「投資奨励」となってしまいましたが、この著作は「超一流野球人の経験を素材に腕の良い編集者とライターさんの手で、ビジネスマン向けにうまく料理された逸品」と言えそうです。皆さんもいかがでしょうか。

| cpainvestor | 02:17 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
読書の秋にオススメ 3冊


 大学院の夏休みはあっという間に終わってしまい、また修行僧のような生活に逆戻りすることにブルーになっている今日この頃ですが、この2か月間、出張が解禁されたこともあって、移動時間にかなりの数の「読みたい書籍」(読まされている論文ではないことが重要です!)を読むことができました。

 すっかり更新頻度が落ちてしまっても、時々訪問して下さる皆さんのために、その中で抜群に面白かったものをいくつかシェアします。

銃・病原菌・鉄 (上下巻)

 かつてこの方のブログだったかコメントだったかで紹介されていて、ワンクリックで購入した後、ずっと積みっぱなしであったため、「こういう大著は今しか読めない」と思い、挑戦しました。感想は一言「抜群に面白い人類史(特に上巻)」でした。
 「なぜユーラシア大陸西端のヨーロッパ諸国が南米・北米大陸をあれほど簡単に征服できたのか、なぜ、逆のケース(インカ帝国がヨーロッパ諸国に攻め込むということ)が起こらなかったのか?」という、誰もが世界史を習った時に感じる疑問を、人類の起源まで遡って、丁寧に解き明かしています。
 タイトルの「銃・病原菌・鉄」というのは、ヨーロッパ諸国が世界中を植民地化するのに大きな威力を発揮した「キラー・コンテンツ」ですが、その背景には様々な地政学的な理由、気候、そして幸運などがあったことがこの書籍を読むと良くわかります。決してどこの民族が優秀だったとか、どこの国の王が立派であったとか、そういう話がほとんど出てこない「人類史」であるというところがこの本の面白さの秘訣でしょうか。ピューリッツァー賞をとった名著だそうですが、知的好奇心を目一杯そそられる一冊でした。

「ベイジン〈上巻) 〈下巻〉」

 真山仁さんの小説は「ハゲタカ」以来のファンですが、こちらは読んでいませんでしたので、Chikirinさんの推薦文を見て購入しました。東京−仙台間往復で上下巻一気に読み切ってしまうほどの抜群の面白さでございました。福島原発事故の数年前に「原発の全電源停止」をクライマックスにすえた小説が書かれていたことに驚かされると共に、「少なくとも学者さんの間では、やはり想定外ではなかったのだ」という感想を強く持ちました。先日NHKスペシャルで、米国の原発技術者に取材した特集をやっていましたが、「福島原発の爆発映像を見た瞬間に、水素爆発とメルトダウンを悟った」というインタビューを聞いて「情報の価値は受け手の能力に依存する」という言葉を改めて強く認識した次第です。この情報管制網を突破するには、「思考停止にならず、自分自身で考える力」を普段から磨くのと、やはり海外の主要な媒体には定期的に目を通すような語学力はつけないといけないということでしょうか。

「下町ロケット」

 最後の一冊は、直近の直木賞受賞作です。こちらはKENさんのオススメで購入したものですが、あっという間に読んでしまいました。中小企業を舞台にした夢あり、笑いあり、涙ありの本当に楽しめる小説です。中小企業の支援に奔走する腕利きの弁護士さんの活躍を読んで改めて、「お金だけで客を選んではいけない」という「専門家としての信条」を思い出させてくれたような気がします。こういう不況期にこそ、専門家も自分の立ち位置が試されるということなのかもしれません。自分がなぜこの職業を選んだのか、その初心を思い出させてくれたような気がします。

 2ヶ月で20冊近く読みたいものを乱読して、結局他のブロガーの方々の受け売りとなってしまうのは心苦しいところではありますが、私と趣味嗜好が似ている皆さんには、上記3冊(上下巻ものがあるので正確には5冊)とも「外れなし」だと思います。秋の夜長・移動時間などに是非どうぞ。

 私も今月もう一回くらい更新できることを目標に、仕事、勉強、家族サービスをがんばってまいりたいと思います。

| cpainvestor | 21:48 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
バリューのある仕事の本質


 先週は、あるセミナーの原稿が仕上がらず、特に週末は追い込まれ、やむなく家族を実家に送り返して悶絶しておりました。

 聴衆に伝えたいメッセージは前々から主催者とのブレストで固まっていたのですが、それをわかりやすく伝えるための事例企業がずっと思いつきませんでした。財務数値からのスクリーニングで、商売のうまそうな企業(今回のテーマは小売業でした)をある程度までは絞り込めても、「これで行こう!」という最終決定ができないのです。
 最後は風呂の中で考えをめぐらせながら、「アパレルで行こう!」と決めて、職場からできるだけ近いユニクロ、ローリーズファーム、ハニーズの店舗を偵察に行き、店員さんの愛想が最も良さそうに見えたローリーズファームを採用することにしました(笑)。
 ここから先、週末はプレゼンテーションの構成で悩むことになります。何をどのように伝えるか、75〜90分程度の時間ですから、「20分×3テーマ+まとめ」の構成で3つのサブテーマを作ることが適当だと思っていました。小売業をテーマに1社、サービス業をテーマに1社、あともう一つをどうするか、ここでまた苦しみました。
 結局、一般的に商売のうまいといわれる会社の特性を最初に持ってきて、その後米国のブルーチップ企業の事例から入っていくことにしました。最終的にマテリアルが完成したのは、ギリギリまで伸ばしてもらった締切日の午後、移動中の新幹線の車内でした。まったくもって綱渡りです。
 今回、プレゼン資料作成の実質的な作業時間は丸1日程度でしたが、題材事例に何を使うか、構成をどうするかは、徹底して考えました。こんな時、良いアイデアや知恵が浮かぶのは、電車の中だったり、風呂の中だったり、スポーツクラブのプールの中だったりします。「付加価値の高い仕事ほど、時間数には換算できない」というのは、皆さんも経験があるのではないでしょうか。

 今日ご紹介したい書籍、安宅和人「イシューからはじめよ―知的生産のシンプルな本質」では、「知的生産の生産性をいかにして上げるか」という命題に対して、元マッキンゼーで脳神経科学の博士号も持つ著者が自ら培った思考法を余すことなく紹介してくれています。
 この本、まず目次が整然と整理されていて全体像がわかりやすく、しかも「思考術」の本ですから応用範囲がものすごく広いです。フレームワークや他者の学説・ノウハウの紹介ばかりの駄本も多い中、この本の著者は、「バリューのある仕事の本質とは何か」ということに徹底的にフォーカスして、その思考プロセスを紹介してくれています。私にとってこの本は、コンサルタント系の著者の本では、ここ数年最大のヒットかもしれません。

 嵬簑蠅魏鬚」よりも「問題を見極める」
◆峅鬚亮舛鮠紊欧襦廚茲蠅癲屮ぅ轡紂爾亮舛鮠紊欧襦
「知れば知るほど知恵が沸く」よりも「知りすぎるとバカになる」
ぁ岼譴弔鯀瓩やる」より「やることを削る」
ァ嵜字のケタ数にこだわる」より「答えが出せるかにこだわる」

 上記は著者がこの本の冒頭に掲げている「イシューからはじめる考え方」の代表例です。こういったメッセージがなんとなくピンと来るという方は、既に「イシューからはじめる考え方」の一部を体得されている方だと思います。ただ、「何のことかまったくわからん」という方、特に中堅・若手の社会人の方は、実践できるかどうかは別として、読んでみて「う〜ん、なるほど」と感じることが多々あるのではないかと思います。

 私の職場では、これまで、バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」を若手の最初の課題図書に指定していました。今後は、ある程度仕事がこなれてきて、長時間労働で達成感を感じている中堅層に、この書籍を薦めたいと思います。1,800円の価値は間違いなくある書籍ですので、皆さんもWebで素人が書いた安易な要約版等を読むのでなく、ぜひ手にとって、速読ではなく、熟読されることをオススメします。

| cpainvestor | 13:23 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
ムダの効用


 先週は地方出張がありましたので、だいぶ書籍が読めました。面白かったものを、自分自身への備忘録を兼ねて紹介します。

働かないアリの意義
 1冊目はwww9945さんオススメの長谷川英祐著「働かないアリに意義がある」です。この著者は、アリやハチなど、繁殖・労働といった分業が進んだ個体同士が集団を作って暮らす昆虫(真社会性生物というそうです)を専門に研究している生物学者だそうです。この方が取り組んだ有名な実験は、いわゆる「80:20の法則」がアリの世界にも存在することを発見したものです。
 野外のアリの巣(コロニー)から採取した1匹の女王アリと150匹の働きアリから成る実験コロニーを作って、個体識別できるようにマーキングして1ヶ月間もその行動を観察し、かなりよく働くアリからほとんど働かないアリまで、集団内の労働頻度の分布にかなりバラツキがあることを発見しました。次に、この中からよく働くアリ30匹と働かないアリ30匹をそれぞれ区分してグループを作り、これに女王アリを加えてその行動を観察したところ、やはり一部のよく働くアリとほとんど働かないアリが生じ、最初のコロニーと同じような労働頻度の分布を示す集団になったとのことでした。
 重要なのは、「どうしてこのようなことが起こるのか?」ということであるわけですが、生物学者の中での共通理解は、「反応閾値が異なる個体を組み合わせることが、コロニー全体の存続可能性を高めるのに役立っている」ということらしいです。
 ここで反応閾値とは、「段階的な外的刺激に対する反応の感度」のようなものでしょうか。人間にも、少し部屋が散らかって、すぐに我慢ならなくなって掃除にとりかかる人と、部屋が散らかっても、実際の自分の生活に支障が出るまでほとんど掃除をしない人がいます。これと同じように、アリやハチの世界でも、個々の生体によって外部環境に対する反応閾値が異なるので、すぐに働くものと、周りに働くものがいなくなってようやく働きだすものがいるということです。リーダーによる指揮命令系統がない真社会性生物の世界においては、反応閾値が異なる生体がバランス良く組み合わさっていることで、環境がどのように変化しても、常に予備労働力を確保しつつ、集団の一定割合の労働が自律的に維持され、このことがコロニー全体の存続可能性(継続性)を高めているということが、いくつかの実験から証明されているそうです。
 まさに、「働かないアリ」は、ここぞという時の集団全体のバッファーとして、変化適応能力の向上に貢献しているということなのでしょう。この本には、「よくこんな調査を地道にやったなあ」と感心するような面白い実験が他にもたくさん紹介されています。しかも、書籍の最後は、「何に役立つかはすぐにわからないアリやハチの生態を地道に研究している自分達にも価値がある」というような趣旨のメッセージでしめくくられており、思わず笑いました。移動時間などの気分転換にオススメの1冊かと思います。

ボトルネック工程にあるムダの意義
 
2冊目は、制約理論(TOC)のAGIゴールドラット・インスティチュートから出た最新著作「ザ・ベロシティ」です。こちらはTOCを世界に広めたベストセラー「ザ・ゴール」の続編のような位置づけで、制約理論や、リーン生産方式・シックスシグマといった製造現場で使われている経営コンセプトが小説形式で学べるようになっています。
 工場外部から来たコンサルタントが、頭でっかちな理論に基づいて手当たりしだい現場改善を始めますが、工程別の部分最適をひたすら進めた結果、在庫が膨らみ、キャッシュ・フローはほとんど改善しません。その彼がTOC理論に触れて、はじめてボトルネック工程を意識することの重要性に気づくわけです。ここまでは、ザ・ゴールと同様のパターンではありますが、この本は前作と異なり、ボトルネック工程を改善し続けることだけではなく、あえてボトルネック工程の非効率性を残すことが全体最適に与える効果の重要性を説いています。
 500ページ近くある大著ですが、地方出張から帰る3時間で一気に読んでしまいました。モノヅクリの現場で働く皆さんにはおなじみの内容かとは思いますが、そういう分野に関わりのない方にも、面白く読めるようになっていますので、こちらもよろしければどうぞ。

 あえてムダをつくることの重要性
 今回紹介した2冊は、いずれも「ムダが全体最適に与える効用」というものを説いています。考えてみれば、歯車の噛み合わせにも遊びがあったり、厳しいスケジュールのプロジェクトほど、プロジェクトマネージャーの労働量を抑えて、もっとも重要な一人を余らせるようなスケジューリングを行うことが理想的と言われたりするのも、同じような理由かもしれません。個々人の生活を考えても、労働生産性向上のハウツー本のマネや細切れ時間の活用ばかり考えるのでなく、勤務時間中に恋愛小説や歴史小説を読むぐらいの余裕があった方が、変化適応能力は逆に高まるのかもしれません。

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世界経済の破綻に賭けた逆張り投資家達


 マイケル・ルイスの新作「世紀の空売り 」(原題:THE BIG SHORT Inside the doomsday machine)を読みました。
 世間が好景気に浮かれ、誰も経済危機が起きるなどと考えていなかった時分から、サブプライムローン証券化の問題点を見抜き、関連債券をショートし続けていた3組の投資家に焦点を当て、彼らの視点から、サブプライムモーゲージ市場のバブルの発生、拡大、破綻の過程を詳述した小説です。

 サブプライムバブルの最も初期の段階で、格付け会社の情報を鵜呑みにせず、サブプライムモーゲージ債券に関する膨大な目論見書を読み込んで、その中に組み込まれているローン債務者の質の悪さに気付いたのがマイケル・バーリという医師出身のファンドマネージャーです。2005年5月、彼は当時の基準で見てとびきり質が悪いと思われるサブプライムモーゲージ債券を抽出して、そのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS:一定の手数料と引き換えに原債券のデフォルトリスクをカバーしてくれる保険契約のようなもの、当然ながら原債券の値段が暴落すれば、価値が上昇する)を購入しました。この方、アスペルガー症候群という障害を抱え、ヒトとのコミュニケーションは大の苦手だったらしいですが、頭脳明晰な上に投資情報の研究は大好きで、その投資センスはずば抜けていたようです。医者に嫌気がさして自分のヘッジファンドをはじめた時には、(バリュー投資家には有名な)グリーブラッドから出資のオファーを受けており、実際にこれを元手にプロ投資家として運用を始めています。
 マイケル・バーリは、サブプライム危機を迎えるまで、3年近くサブプライムモーゲージ債券のCDSを買い増し、多額の手数料を払い続けました。この間、ファンドの出資者からは、「これ以上、サブプライムモーゲージ債券のCDSを持ち続けるなら、資金を解約する」と何度も脅され、実際に解約が相次いだ後も、自らのファンドの従業員を解雇してコスト削減をしながら、このCDSを持ち続け、最後には市場の暴落で巨万の富を得ています。

 2人目は、本来住宅が買えそうもない所得層までが住宅を購入してしまっている販売現場の状況に警戒感を抱き、住宅バブル崩壊のリスクに備えて、住宅・建設株を空売りしていたスティーブ・アイズマンとその同士です(フロントポイントパートナーズ)。彼らはドイツ銀行からのサブプライムモーゲージ債券のCDSの売り込みを機に、サブプライムローンの中身に注目し始めました。調査の過程で、これらの債券に組み込まれた無審査ローンの割合が極めて大きいことに着目し、これが各地でデフォルトし始めている現状を実地で確かめた上で、CDSの購入に踏み切りました。これはCDSの購入を住宅・建設株の空売りより、ずっと条件の良い投資であると判断したためでした。その後、ローン債務者のデフォルト率の高まり、住宅価格上昇の停滞といった報道が出るたびに、CDSを買い増ししていき、最後はうまく売り抜けています。

 3人目は、優柔不断なアマチュア投資家ながら、デリバティブの価格決定の不合理性(釣鐘型の確率分布を前提にしているせいで、起こりそうもないリスクが現実に起きた場合のリスクがより過小に評価される傾向がある、このあたりの問題は、ブラックスワンという書籍が詳しいです)に着目して大穴狙いの投資にかけたジェイミー・マイとチャーリー・レドリー(コーンウォール・キャピタル)です。彼らはその弱小な資金力から最初は投資銀行のトレーディング・デスクから相手にされず、電話をかけまくってたまたまひっかかったドイツ銀行との取引を突破口に大穴狙いでCDSを買い集めます。
 2007年半ば以降のサブプライム危機顕在化で彼らのCDSはお宝に化けたわけですが、取引相手の7割がベア・スターンズで、弱小ファンドの弱みから、彼らから担保をとれていませんでした。このため、もし仮にベア・スターンズが破綻することになれば、そのプラチナチケットが紙切れになるというリスクがありました。2007年8月、サブプライム危機が深刻化する中で、彼らはこのリスクをいち早く認識し、無事その大半の持ち高をUBSに売り抜けます。

 「ライアーズ・ポーカー 」でウォール街や投資銀行の暗部を暴いたマイケル・ルイスが、サブプライム危機で売りに回った投資家の視点から描いた「バブルの真相」は非常に面白く、学びも多い一冊でした。この小説から、マイノリティの孤独と恐怖に耐えながら、「市場価格の歪みはいつか解消される、インチキはいつか暴かれる」と信じてポジションを張り続ける逆張り投資家の真骨頂を垣間見ることができます。

 専門用語もかなり多いため、一般の方にはオススメしませんが、金融・財務関連のお仕事を生業とする関係者、及び投資家の皆様には、「楽しみながら教訓を学べるマニア向けの一冊」かと思いますので、よろしければどうぞ。

 マイケル・ルイスの著作はどれも面白いので、金融・投資マニアではない皆様には下記の書籍の方をお勧めしておきます。

    

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