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2009年3月期決算チェックに当たっての会計・税務上の留意事項(後編)
 
 前回に引き続き、「2009年3月期決算短信」チェックに当たっての会計・税務上の留意事項を記載致します。(各小見出しの右側カッコ内に符号がある場合は、それが当期決算上の利益に与える影響を示しています。)
 なお、前回同様、下記の解説は、筆者の私見であり、制度の内容や解釈の正確性を完全に保証するものではないことをあらかじめご了承下さい。制度の内容等につきましては、必ず原典をあたった上で、信頼できる専門家にご相談下さい。

2. 会計制度の変更・実務対応指針等の公表に伴うもの

(ア)  金融資産の保有目的区分の変更による影響(+)

 昨秋からの金融危機の影響で、一部債券の評価にあたり、保有目的区分の変更(売買目的有価証券からその他有価証券への変更などが典型例)が認められ、一定時点から時価評価が行われなくなっているものがあります。(マスコミに「時価会計凍結か?」とか騒がれたアレです。)企業会計基準委員会が苦虫をかみつぶしながら作成したと思われる原典(実務対応報告)はこちらです。既に第3四半期の金融機関の決算において、その影響額が開示されていますが、09年3月期本決算においても、当該変更の影響額が「連結財務諸表作成に係る会計処理の原則・手続、表示方法等の変更」として開示されるはずです。会計というモノサシの変更だけで損益が改善されている部分は、投資家として割り引いて見る必要がありますから、特に金融機関の決算を見る際には、必ずチェックされることをお勧めします。


(イ)  棚卸資産の会計基準の変更に伴う影響(−)

 09年3月期から新しい棚卸資産の会計基準が強制適用となったことで、棚卸資産の評価がいわゆる低価法で行われることとなり、これまで、取得原価で評価することを原則としてきた(原価法を適用してきた)企業は、棚卸資産の低価評価損が当期より売上原価に算入されていることになります。(会計基準変更に伴い、前期以前の在庫に起因する低価評価損は特別損失計上となっているはずです。)この基準が適用されたことで、09年3月末の棚卸資産評価額の健全性は以前と比較して増していると考えられますが、この変更により売上原価率が上昇している企業も多いかと思います。この変更に伴う損益への影響額も、重要性が高い場合には必ず財務諸表に注記されているはずですから、「今後、毎期発生する可能性が高い損益インパクト」としてチェックされることをお勧めします。


(ウ)  リース会計基準変更に伴う影響(±)

 同じく、09年3月期より、新しいリース会計基準が強制適用となったことに伴い、契約価額が3百万円以上のファイナンスリースは、原則貸借対照表にオンバランス処理(資産の部にリース資産が計上され、負債の部にリース債務が計上される)され、ファイナンスリース取引の多かった会社ほど、貸借対照表のサイズが膨れているはずです。(実務上は、例外的に認められた簡便処理を採用して、前期までのファイナンスリース資産・負債は注記をそのまま続け(オフバランス処理)、当期以降に契約したもののみ資産・負債の両建計上をしている会社も多いと思われます。)原則処理と簡便処理のどちらを採用しているかによって、貸借対照表のサイズの変化の影響は大きく異なりますから、必ず処理方法を財務諸表注記にて確認することをお勧めします。 
 また、リース会計基準の変更により、上記原則処理を採用した場合には、3百万円以上のファイナンスリース契約に係る支払リース料が損益処理されることはなくなり、かわりにリース資産の減価償却費と支払利息相当額が損益計算書に計上されることになります。これまでの支払リース料であれば、全額売上原価か販管費で処理されていましたが、新しいリース会計基準が適用されると、支払利息相当額分だけは、営業外費用として処理されることとなるため、支払リース料>減価償却費+支払利息の場合には、利息相当額分だけ営業利益がかさ上げされることになります。このあたりの金額的影響も重要である場合には、必ず財務諸表に注記されるはずですから、営業利益の経年比較をなさる場合には、その影響額分を加味することをお勧めします。


2. 平成21年度税制改正に伴うもの

(ア) 海外子会社等からの受取配当金益課税撤廃(+)

 平成21年度の税制改正により、海外子会社等からの受取配当金に関する国内課税が撤廃されています。(原典はこちらのP.10)この結果、海外子会社・関連会社の利益貢献度の高いグローバル企業においては、過去に計上されていた繰延税金負債が取り崩されるなどして、当期の税金費用の負担が大きく減少している可能性があります。これに伴う税引後利益のかさ上げ効果は、来期以降も継続するため、企業にとっても投資家にとっても望ましいことではあるわけですが、当期はこの税制改正に伴う税金費用金額減少の変化が大きいはずですから、影響額がどれくらいあったのかは、必ず確認することをお勧めします。

 以上、舌足らずな部分も多いかとは思いますが、投資家の皆様が09年3月期決算をチェックするにあたっての会計・税務上の主な留意点について解説致しました。会計専門家の皆様で、私の記述に誤りを見つけた場合には、コメント欄にて指摘もしくは補足頂ければ幸いです。

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| cpainvestor | 00:30 | comments(8) | trackbacks(0) | pookmark |
2009年3月期決算チェックに当たっての会計・税務上の留意事項(前編)
 
 最近やってみたはてなのブログ評価によれば、このブログは、「経営」や「仕事術」分野に分類されてしまうようですが、古くからのリピーターは、個人投資家の皆様だと思っております。今回は、ブログ更新頻度が落ちても、ずっとおつきあい頂いている個人投資家の皆様のために、GW前から続々発表されるであろう「2009年3月期決算短信」をチェックするにあたっての、会計・税務上の留意事項について、少し気合を入れて解説してみたいと思います。(各小見出しの右側カッコ内に符号がある場合は、それが当期決算上の利益に与える影響を示しています。)
 なお、下記の解説は、あくまで筆者の私見であり、制度の内容や解釈の正確性を完全に保証するものではないことをあらかじめご了承下さい。制度の内容等につきましては、必ず原典をあたった上で、信頼できる専門家にご相談下さい。

1. 時事ネタ
 09年3月期決算の企業業績は、大幅な悪化が見込まれています。その結果、急激な業績悪化に直面する企業、存続可能性そのものが危ぶまれる企業も多く出てくることでしょう。これらの企業に特有の論点をまずは紹介します。


(ア) 継続企業の前提に関する疑義注記の取扱い変更の影響

 債務超過や継続的な営業損失の発生などが生じていて、企業存続が危ぶまれる会社に付記される「継続企業の前提に疑義あり」という財務諸表注記(または監査報告書追記事項)ですが、監査基準の改訂により、その記載要件が変更となっています。(原典はこちら

 変更のポイントは、以下のように、記載要件をより限定しているということにあります。
変更前)「継続企業の前提に疑義を抱かせる事象(債務超過や継続的な営業損失など)が存在するだけですぐに注記対象とする」という実務が定着している部分があった(私の感覚からすると、全ての監査法人がこのように対処していたわけではないようにも感じますが…)
変更後)「上記の状況を解消・改善するための経営者の対応策を勘案してもなお、継続企業の前提に重要な不確実性が残る場合のみを注記対象とする」と定義することで、「記載要件について、監査人はより慎重に判断すべき」という注意喚起を促しています。

 従って、例えば債務超過を回避するための増資計画の実行可能性が極めて高い場合などには、会社の財務的状況はそれほど変わっていないにも関わらず、第3四半期報告書には付されていた継続企業の前提に関する注記が除かれるという事例が発生する可能性があります。
 このような実質的な記載要件緩和に伴い、「継続企業の前提に疑義を抱かせる事象」そのものの存在が継続している場合には、「事業等のリスク」もしくは「財政状態・経営成績に関する分析」にその状況を付記することが新たに求められていますので、財務諸表注記のみならず、決算短信の定性情報にも目を光らせる必要があります。


(イ) 繰延税金資産取崩の影響(−)

 決算状況が過去と比較して大幅に悪化しているような企業においては、将来の節税要因として貸借対照表に資産計上が認められている繰延税金資産残高が、一定額、もしくは全額取り消される可能性が高まります。(繰延税金資産の意味については、ここらあたりを参照して下さい。繰延税金資産は、その節税要因をぶつけるだけの課税所得が来期以降も発生するからこそ計上が認められる資産であって、来期以降の課税所得そのもの発生が怪しくなると、節税効果が発現するかどうかが怪しくなるので、取り消されます。)過去に計上していた繰延税金資産が取り崩されると、税金費用の大幅増加となりますから、税引後利益は、税引前利益の水準以上に著しく悪化します。この影響は一株当たり利益の大幅減少、実績PERが高くなる形で現れます。過去に計上できていた繰延税金資産が大幅に取り崩されるということは、監査人が来期以降も会社の利益獲得能力に不安を抱いているということですから、留意が必要です。


(ウ) その他見積り系特別損失の大量発生の影響(−)

 業績の大幅な悪化により、多くの企業において、不採算となる事業が続出している上、この機会に大胆に事業のリストラクチャリングを断行し、将来の固定費を大きく削減してしまおうという経営意思決定も増えていると思われます。
 その結果、投資有価証券の減損、固定資産の減損損失、事業構造改革費用、割増退職金など、様々な名目の特別損失が損益計算書上に大量発生することが予想されます。投資家としては、これが、 嵋榲に一過性のものなのか」を翌四半期決算の業績も見ていく形で見極めていく必要がありますし、逆に、◆過度に特別損失を計上することで、来期決算のV字回復を演出しようとしているのではないか」ということも疑ってかかる必要があります。また、「巨額の特別損失計上による当期営業利益、経常利益のかさ上げ効果がどの程度なのか」にも着目する必要があります。いずれにしても、特別損失項目の中身は、注記情報にその明細が記載されていることも多いので、必ず確認するようにして下さい。

 次回に続く
 
 今回のコラム、結構時間を使って書きましたので、「内容が役立った」、「続きが読みたい」という投資家の皆様は、ブックマークやご紹介をお願いします。それがこれから後編を記述する私の力の源になります(笑)。
| cpainvestor | 06:21 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
監査難民予備軍企業とリスクテイカー会計監査人
 
 Grandeさんが」採り上げてくれるプレスリリースを読んでいると、ここのところ「会計年度途中での会計監査人変更」を行う企業が、かなりの数、出てきていることに気付かされます。

 以前、このセミナーを実施した際に、付録のチェックリストにおいても触れておきましたが、「会計監査人の変更」は、投資家にとって必ずチェックしなければならない要注意事項です。
 会計監査人の変更が典型的になされるケースとしては、企業と会計監査人の間で「会計処理方法等に関する見解の相違」があり、この相違が埋まらないことから(もう少し言うと、会計監査人の指導に会社がどうしても従えないことから)、会社見解を概ね受け入れてくれるような、やや柔軟な見解を持つ監査法人に変更するということが想定されます(これを業界用語では、「オピニオンショッピング」と言います)。
 特に、定時株主総会のタイミングではなく、会計年度の途中に突然、会計監査人の変更がなされるような場合には、たとえプレスリリースで「監査コストが高すぎるために監査法人を変更した」と書かれていたとしても、このオピニオンショッピングの疑いがますます高まるわけです(もしかすると、会計監査人側のやんごとなき事情から、当該クライアントとお別れしたいために、わざと高額な報酬を提示しているのかもしれませんが・・・)。

 日々景気が悪化する中で、どの企業も期初に発表した業績目標の達成に苦しんでいるわけですが、とりわけ、過去数年の「大公開時代」に上場した、経営基盤が脆弱な新興企業にとっては、「会社が存続できるか否か」の瀬戸際まで既に追い込まれているところも多数あるわけです。このような企業にとっては、何が何でも利益を創出しようとして、かなり無理のある積極的な会計処理(創造的な会計処理?)を採用してみたり、継続企業の前提を付記させられることを回避するために、ありとあらゆる工作活動をしてみたりする可能性が高まるわけです。

 そうなりますと、また1社、また1社と会計監査人が企業とお別れすることになり、新たな会計監査人探しに奔走する「監査難民予備軍企業」が発生することになります。この「監査難民予備軍企業」にとって、上場の維持は死活問題ですから、継続性の疑義ありなどの限定付きでも良いので「適正意見」を出してくれそうな「リスクテイカー会計監査人」を見つけてくる必要が生じます。

 ここに「リスクテイカー会計監査人」という駆け込み寺のニーズが生まれるわけで、現実問題として、各監査法人別のクライアントリストなどを見ると、「よくまあ、これだけ香ばしい銘柄を集めたなあ」と思われる監査法人様もいるような気が致します。

 問題は、この「リスクテイカー会計監査人」の立場です。確かに昨今、こういった会計監査人のニーズはますます高まっており、通常の監査よりもクライアントの足元を見て、それなりに高い報酬がもらえるのかもしれません。また、実際「リスクテイカー会計監査人」の周辺でアルバイトなどをされている同業者に聞くと、「大手より監査経験がずっと豊富なベテラン会計士が、特定企業をじっくり担当するのだからむしろ安全性は高いし、逃げ時もわかる」などという声も耳にします。

 でも、そうは言っても、この「リスクテイカー会計監査人」の仕事は、もらえる報酬に限度がある一方で、そのダウンサイドのリスクは極めて大きいと思われます。
 万が一、自らが担当する企業、もしくは、同一監査法人の同僚が担当する企業に粉飾決算が発生し、これを見抜けなかったことに対して責任を負わされた場合には、当然、監督官庁からのお咎め(行政処分)があり、更には、株主などから、損害賠償請求を起こされるのは目に見えています。これに対する賠償責任は、従来からのパートナーシップ制をとっている限り、原則として無限連帯責任となります。また、現実問題として、このような不祥事を起こしたら、たとえ会計士資格の剥奪がなかったとしても、再び会計士の世界でご飯を食べていくのは、至難の業であるといえるでしょう。

 プロフェッショナルとしての「士業」である以上、その重い責任を回避するつもりは毛頭ありませんが、それにしてもこの「リスクテイカー会計監査人」の仕事は、まるでプットオプションの売りポジションのようで、わずか5〜10名程度の会計士が集まって構成される中小監査法人が請け負うには、あまりに条件的に厳しいような気がします。もし、今後、会計監査人への訴訟が頻発するようなことになれば、「監査難民予備軍企業」に会計監査という市場インフラサービスを提供する担い手がいなくなってしまうのではないかということが懸念されます。

 やはり、明らかに事業の再生可能性が低い「ゾンビ企業」については、もう少し厳しい上場廃止ルールを定めて、早め早めに市場からの退出(M&Aなどによる救済を含む)を促す制度を構築してもらうことが、株主にとっても、会計監査人にとっても「大公開時代」の後処理として必要なのではないかと個人的には思っております。

| cpainvestor | 00:03 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
事業等のリスクの記載とその使い方
 
 サイゼリヤのデリバティブ関連に続き、投資家からの質問、回答シリーズ第二弾です。

<質問内容>
有価証券報告書に「事業等のリスク」という項目がありますが、ここに書いてある順番は、会社側が認識する重要度の順番に並んでいると考えてよいのでしょうか。
ある項目の順番が年々変わっているということはその項目の重要度も年々変わっていると判断して構わないのでしょうか。
また、「事業等のリスク」には「書かなければならない」ルールや基準などはあるのでしょうか。

<回答>
事業リスクの重要度の順番に並べることは、開示制度上は要請されていませんが、そのような方針で記載している上場会社も存在する可能性はあります。
上記に記載した「リスク重要度を意識している会社」があるとすれば、それに応じて記載順序を並べ替えている可能性があります。なお、開示内容の項目そのものについては、毎年の有価証券報告書提出時の事業のリスク内容に応じて、改変されているのが通常です。
「事業等のリスク」の記載上のルールは、「企業内容等の開示に関する内閣府令」の有価証券報告書の記載様式に関する記述の「記載上の注意事項」の部分に以下のような記述がなされています(条文上は、有価証券の募集・売出時に提出される有価証券届出書の記載上の注意事項の読み替え規定があります)。
事業等のリスク
 有価証券届出書(有価証券報告書)に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動、特定の取引先・製品・技術等への依存、特有の法的規制・取引慣行・経営方針、重要な訴訟事件等の発生、役員・大株主・関係会社等に関する重要事項等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を一括して具体的に、分かりやすく、かつ、簡潔に記載すること。
 将来に関する事項を記載する場合には、当該事項は有価証券届出書(有価証券報告書)提出日現在において判断したものである旨を記載すること。


<以下解説>
 有価証券報告書上の「リスク情報」に関して、開示制度の条文上規定があるのは、上記の規定だけです。従って、実際に「どのような内容を投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として定義するか」、それを「どのような整理・区分でどこまで記載するか」は、各会社の判断にゆだねられています。商売柄、多くの有価証券報告書を見る機会がありますが、各社の開示姿勢については、大きく以下のようなタイプに分類されるのではないかと思います。

(1) 法定開示書類としての最低限の体裁を整えることだけを意識した記載
 法定開示書類に記載箇所があるので、やむなく思いついたものだけを簡潔に記載しているパターンです。なるべく細かいことは開示したくないという姿勢がミエミエで、弁護士等のチェックもきちんと受けていない可能性があります。東証2部やJASDAQにかなり古くから上場する「出来高が少なく、業績もぱっとしない地味系オーナー企業」などに多いかと思います。毎年、一文字たりとも記載が変わらなかったりすることもあるようです。

(2) 法定開示書類に関する虚偽記載リスクをそれなりに意識した記載
 法定開示書類ですから、「誤解を生じさせるような内容、偽の情報を記載している」、「明らかに重要な事業リスクが記載されていない」ということになると、いわゆる「有価証券報告書虚偽記載」の罰則の対象となってしまう可能性があります。このリスクを十分に意識して、社内で毎年それなりの検討をし、弁護士、会計士などのチェックを受けたものを記載するパターンです。記載様式的には以下のように区分できそうです。
(ア) 上記「記載上の注意事項」の例示記載順序に沿った記載
 オーソドックスに教科書どおりの記載をしている開示パターンです。リスク項目はほぼ網羅されているとは思いますが、あまりメリハリがないので、やや読みづらい印象があります。
(イ) 会社独自の整理区分に基づく記載
 情報が豊富な上、ロジカルでわかりやすい記載をしている優等生企業の開示パターンです。会社担当部署の皆さんの「賢さ」がにじみ出ていることもあります。
(ウ) 同業他社(特に業界トップ企業)の記載順序を意識した記載
 業界2番手以下の企業にありがちな開示パターンです。あまり自分で考えず、すぐに同業他社事例をチェックすることが得意な監査担当会計士の指導の賜物かもしれません。
(エ) その他
 上記3つの区分のどれにもあてはまらないような記載をする開示パターンです。

 もともと、このようなリスク情報の記載も、米国SEC上場企業の年次報告書(Form10−K,Item1A RISK FACTORS)の輸入物です。(武田薬品が買収した米国のバイオベンチャーのForm10−Kのリスク情報(P.17〜)を見ると、あまりに量が多すぎて、読んでいるだけで間違いなく投資する気が失せます。)
 
 日本では、かつて新規上場時等に提出する「有価証券届出書」の中でのみ、「事業の概況等に関する特別記載事項」として開示が要請されていましたが、平成16年3月期から、上記内閣府令の改訂に伴い、全上場企業が提出する有価証券報告書においても開示が義務化されました。(考えてみれば、事業等のリスクは上場時だけに特有のものではありませんから、継続開示こそがあるべき姿であるといえますよね。)

<リスク情報の上手な使い方>
 投資家としては、財務諸表本表のみならず、この「事業等のリスク」を投資前に熟読し、昨年の記載内容とも比較することは必須かと思いますが、それにも増して、この記載内容は、「企業のビジネスに関する定性分析のスキル向上訓練」に使えます。
 「初めて分析する企業の事業概要を把握し、主要な経営指標の推移を見ただけで、リスク情報に記載が想定されることをいくつ思い浮かべられるか」こういった訓練を続けていくと、かなり企業分析能力が向上するはずですので、皆さんもお試し下さい。(私は上場審査官時代、最初の数ヶ月はこの訓練ばかりやっていました。)

<終わりに>
 今後も少し時間ができた時には、上記のように「個人投資家の皆さんからのご質問」に回答していきたいと思いますので、個別銘柄の投資判断以外の財務・会計・開示制度等について、「個人投資家全員でシェアできそうな質問」がある方は、ブログ右肩のProfile欄にあるメールアドレスまで、ご質問下さい。すみやかな回答は難しいかもしれませんが、心に留めておきたいと思います。そのかわりと言っては何ですが、「記述内容が役立った」と思われる読者の皆様は、自らのブログでの引用、ご友人へのこのブログの推薦などをお願い致します。(皆様の口コミと継続訪問こそが、私の書き続けるモチベーションの源泉です。)
| cpainvestor | 07:59 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
サイゼリヤのデリバティブ評価損リスクを投資家は察知できたか否か
 
 既にこなつさんのブログに解説がありますが、格安イタリアンレストランチェーンのサイゼリヤが、140億円のデリバティブ評価損を発表しました。サイゼリヤの2008年8月期の本決算の連結営業利益は約75億円ですから、この評価損が経営に与えるインパクトは、かなり大きいといえるでしょう。サイゼリヤ株はこの発表以降、ストップ安比例配分が続いているようです。この会社の株を「不景気に強い内需型ディフェンシブ株の王道」としてホールドしてきた株主の皆さんから見れば、「こんな契約をしていたなんて聞いてないよ!」と裏切られた思いだと思います。

 問題となった取引は、サイゼリヤの開示情報に記載のあるとおり、「豪ドルクーポンスワップ」というデリバティブ取引で、取引の内容は以下の通りです。

 当該スワップ取引により、会社は毎月78円/豪ドルと69.90円/豪ドルの為替レートで1,000,000豪ドルずつを調達できる取引となっています(契約は2本です)。各々契約日は、2007年10月と2008年2月ですので、今後の資源高で、為替レートがますます円安豪ドル高に動くであろうということを想定して、会社は「豪ドルベースの輸入食材の支払に伴う為替リスクをなるべく抑制したい」という目的のために、一種の為替予約取引のような取扱いで、この契約をBNPパリバ証券と締結したのだと思います。この契約はそれぞれ2010年11月、2011年3月までの豪ドル為替レートを実質的に上記レートに固定する効果がありますので、想定通り、豪ドル高円安に為替レートが動いていれば、このスワップ契約による為替レートのコントロールがうまく功を奏したことになったわけです。
 ところが、2008年秋以降の円高豪ドル安で、豪ドルが60円当たりまで下落することになり、上記の78円、69,90円での為替レート固定効果が無意味になりました。その上、このデリバティブ取引においては、豪ドルレートが、それぞれ78円、69.90円を下回ると、豪ドルの調達コストが600円/ドル(500円/ドル)まで指数関数的に上昇する契約となっています。
 現状の豪ドルの為替レートでは、この上限価格600円/ドル(もう一本の契約は500円/豪ドル)まで簡単に調達コストが上昇してしまうため、会社は結果として、600円/ドル(もう一本の契約は500円/豪ドル)で、毎月1,000,000豪ドルずつ計2,000,000豪ドルずつ調達することが2010年11月(もう一本は2011年3月)まで約束されてしまっており、その結果140億円という膨大な金額の含み損をかかえることになってしまいました。(このあたりの取引の内容は、こなつさんのブログ参照のこと)

 ここで、ある投資家さんから私にお問い合わせを受けたのが、「開示資料から、このリスクを投資家が事前に想定することができたのでしょうか?」というご質問だったのですが、結論から言うと、「兆候がまったくないわけではないが、それを見分けるのは全くもって難しい」と申し上げるしかない状況であるといえます。

 デリバティブ取引には、上記のような「一発退場」となるような巨額損失を計上させる恐れがあるため、会計処理上も慎重な対応がなされてはいます。具体的に言うと、会社が契約するデリバティブ取引をいわゆるヘッジ目的とそれ以外のものに区分して、ヘッジ目的のものに関しては、ヘッジ対象(価格変動リスクにさらされている資産・負債項目)とヘッジ手段(価格変動の影響を減殺するためのいわゆるデリバティブ取引)の損益をお互いにぶつけあうようにするために損益認識を繰延べる「ヘッジ会計」というものが認められているのですが、ヘッジ目的と認定できなかったものに関しては、毎期、「デリバティブ評価損益」を営業外損益に計上することが求められています。
 ここでいうヘッジ目的のデリバティブ取引とは、ヘッジ対象たる資産負債の価格変動リスクを確実に減殺する効果が期待できるデリバティブ取引であって、今回のように、会社の想定通りに為替レートが動かなかった場合に、巨額の評価損を計上しなくてはならない可能性が少しでも存在するデリバティブ取引は、決してヘッジ目的であるとはみなされません。
 会社は今回の「豪ドルクーポンスワップ」を「実質的な意味での為替予約のような取引」という認識で購入していたのかもしれませんが、会計監査人から見れば、この取引は、「厳密な意味での完全なるヘッジ効果はなく、時価評価すべき投機的要素のあるデリバティブ取引である」という認識だったのだと思います。その証拠に、2008年8月期の損益計算書の営業外費用には、金額は小さいですが、「デリバティブ評価損」の項目が計上されています。また、このデリバティブ評価損を計上している取引がどのようなものなのかは、注記情報に若干の開示がなされています。
 サイゼリヤのデリバティブ注記(2008年8月期決算短信P.30 )を見ると、確かに豪ドル通貨スワップの取引が存在する旨の開示はなされていますが、今回のプレスリリースにあったような、具体的な取引条件に関する開示は一切なされていません。(会計制度上、そこまでの開示は求められていません。)このあたりは、開示制度の限界とも言えるかもしれません。

 さらにことをややこしくしているのは、この会社は、ヘッジ目的のデリバティブ取引も行っているため、いわゆるヘッジ会計を適用して評価損益を繰延べているものもあるということです。このような純粋ヘッジ目的のデリバティブ取引があるため、ヘッジ会計に関する注記情報だけを見ると(2008年8月期決算短信P.20 )あたかも、デリバティブ取引はヘッジ目的のものしかないかのように勘違いする恐れがあります。(以下ヘッジ会計に関する注記のうち、ヘッジ方針に関する部分を抜粋)

ヘッジ方針
リスク管理方針に基づき、為替変動リスク及び金利変動リスクを回避することを目的としており、投機的な取引は行わない方針であります。


 総括すると、以下のようなことが言えると思います。

現状のデリバティブ取引に関する開示ルールにおいて、個別の契約内容の開示までは求められていないため、有価証券報告書利用者たる投資家が今回のようなデリバティブ取引の個々の契約条件まで知る手段はない。
ただ、投機的要素のあるデリバティブ取引を会社が締結しているかどうか、その有無に関しては、「デリバティブ評価損益がPLに計上されているか」「時価評価されているデリバティブ取引の概要に関する注記があるかどうか」によって確認することができる。


 ただ、正直言って、私がサイゼリヤの株式を購入すると仮定したとして、この注記をだけ見て、株式の購入を躊躇するかといわれれば、「どう見ても純粋国内飲食業と見られる同社において、そこまで用心深くなるのは難しい」と言わざるを得ないと思います。

 やはり、最終的には、分散投資という基本的な投資スキルで個人投資家はリスクヘッジするしかないのかもしれません。サイゼリヤの株主の皆様は、本当にお気の毒だとは思います。「いくら長期に渡って為替レートを固定したかったからと言って、なぜ、このような投機色のあるスワップ取引が立て続けに2本も社内においてすんなりと承認されてしまったのか」、そこの部分の内部統制機能については、会社のガバナンスの問題として、損失を被った株主が突っ込みを入れても良いのかもしれないと、個人的には思います。


追伸
 おかげさまで、このブログも開設から1周年を迎え、20万アクセスを突破いたしました。最近は、本業がものすごく忙しくてコラムの更新もやや滞りがちですが、今後とも読者の皆様の末長いご愛顧をお願い致します。開示制度や会計・財務に関して、ご質問がある方は、遠慮なくメールを下さい。個人投資家の皆さん全体の「学び」となる内容であれば、可能な範囲で、なるべくこのコラムでお答えできるよう努力したいと思います。特に「このサイトの長年の読者で、私のセミナー資料(右肩推薦セミナーのリンク先参照)の購入者です」などという枕詞を書かれると、非常に弱いです。はい。
| cpainvestor | 00:08 | comments(9) | trackbacks(0) | pookmark |
四半期報告制度と決算早期化
  
  いよいよ、3月決算の会社にとって、6月末の第一四半期決算から、金融商品取引法に基づく四半期報告制度がスタートします。これまでも東京証券取引所のルールにより、四半期開示等が義務付けられていたとはいえ、東証マザーズ上場会社を除き、建前上は 「未監査」の財務諸表の開示でOKだったわけですが、今後は、四半期報告書の経理の状況に関して、会計監査人のレビュー意見書の添付が義務付けられました。

  四半期会計基準などを見ると、本決算に比べて、四半期決算ではいくぶん簡略的な会計処理が認めらているとはいえ、四半期の3ヶ月情報と期首からの累計情報の2種類のPL、セグメント情報などの開示が義務付けれられていることからしても、上場会社の経理・財務部門の皆さんの負担は、また大きくなります。「内部統制の整備運用だけでも大変なのに、四半期報告書まで45日以内の提出を義務化するなんて、もう勘弁してくれ!」というのが現場の本音かもしれません。

  このような状況となってくると、否が応でも、「決算を早く締める」ということが、必然的に要求されるわけですが、東証が開示しているこの情報を見る限り、早期開示に苦労される会社さんが続出しそうな気配です。投資家からのプレッシャーのせいで、「経理の皆さんが四半期毎に徹夜」なんてことにならなければ良いなあと思っています。

  今日は、外部向けセミナーで「決算早期化のヒント」について、少し話してきました。「どのくらい集まるかな?」と思っていたのですが、無料であったこともあるのでしょう。満員御礼で追加開催が決まるほど、盛況だったことからして、経理財務部門の皆さんの関心の高さがうかがえました。
 
  いらっしゃった皆さんは、「会計士が話すのだから、何か特別な秘策が聞けるのではないか?」と期待していたかもしれませんが、その期待に応えられたかどうかは微妙です(笑)。「発想の転換をして下さい!」とだけ伝えたわけですが、どこまで伝わったか・・・。

  プロジェクトものの仕事に共通するクリティカルパスの概念を説明して「とにかく決算作業を進める上でボトルネックとなる工程をいかにして短縮するか、自ら考え、いろんな知恵を絞りましょう!」というのがエッセンスだったわけですが、現場の実務でかなり追い込まれた状況の下で、必死な思いで資料の用意をしたので、少しでも多くの現場でお困りの方に、何か一つでも役に立つ知恵が伝わっていれば良いなあと思います。

  四半期会計基準・決算の早期化などにご興味のある方は、この無料セミナーの追加開催が6月17日にも決まっておりますので、本日のブログタイトルでGoogle検索でもしてみてください。いくつかページをクリックするとそれらしいセミナー情報が出てくるはずです。
| cpainvestor | 22:06 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
内部統制報告制度と四半期報告制度 (その2)
  (前回からの続きです)

  この「内部統制監査制度」と「四半期報告制度」、一見、全く別の独立した制度のように見えますが、実際には密接不可分の関係にあると思われます。

  会計監査人にしてみれば、四半期決算に関して、数日間でちょっと財務数値を分析して、CFOに質問したくらいで、「見た範囲でおかしなものはなかった」という内容のレビュー意見書を提出するというのは、ものすごく勇気のいる作業であると思います。いくら、「監査とレビューは保証のレベルが違う」と言い訳しても、第1四半期の数字を第2四半期以降に、より深い監査をしていく過程で誤りに気がついたからと言って修正したりしたら、3ヵ月毎の数字も出ているだけに、目立ちますし、ましてや、四半期レビュー報告書に「異常なし」としゃあしゃあと意見して、その直後に粉飾が勃発したりでもしたら、また、「監査法人は何をやっているのだ!」と言って、関係各方面から猛烈に叩かれるのは目に見えています。叩かれるだけならまだしも、相手の会社がとてつもなく世の中的に影響力のある会社だったりすると、監査法人そのものがつぶれちゃったりするわけです。
(余談ですが、まったくもって監査という仕事は、アップサイドは全く見込めないわりに、ダウンサイドははてしなく大きい、つらいビジネスとなってしまいました。先日お会いしたこの方が「期限の長いコールオプションの売りみたいな損益モデルのビジネスですね。」と言っていましたが、うまい例えだと思いました。ただ、コールオプションの売りよりつらいのは、クライアントと監査法人の間の「情報の非対称性」が大きいため、市場メカニズムが十分に働いておらず、リスクに見合ったフィーを請求できていないと思われることでしょうか。)

  こういう状況のもとで、会計監査人が「レビュー報告書」という新たなリスクを引き受ける際の、唯一の防波堤となるのが、「上場企業自身の財務報告にかかる内部統制の整備・運用」なわけです。会計監査人としては、四半期レビューというものすごく簡便な手続きで、お役所に提出する何らかの意見を出す以上、財務報告の適正性を担保するための会社の中の諸々の仕組み、いわゆる内部統制が整備・運用されていることが絶対条件となるわけです。これがきちんとしていない状況で、意見書を書けと言われても、不安で仕方がなくなります。その意味で、上場企業自身の四半期報告はともかく、会計監査人による四半期レビューを義務付けるためには、「内部統制報告制度」の導入が必須条件であったとも言えます。
  逆に言うと、「内部統制の整備」が実質的に遅れている会社、内部統制評価に関する意見に限定が付いてしまうような会社において、「四半期レビュー」の意見書を出さなくてはならない会計監査人は現実問題として存在するわけで、彼らはものすごくつらい状況に追い込まれるわけです。会計監査人なら誰でも、できることならそんなリスクはしょいこみたくないわけで、来年度以降、これまで以上に会計監査人の変更が頻繁に起こるかもしれません。投資家の皆さん、「会計監査人の変更」は、改めて要チェックです。

  それにしても、この二つの制度を導入することによる間接コストの増加は、企業の決算数値にかなりのインパクトをもたらすと思われます。特に経常利益が数億円程度のベンチャー企業にとって、この種の固定費の増大は、頭痛の種になるでしょう。「上場のコスト」はこれまで以上に、多くの中堅企業にとってずっしりとのしかかってくるはずです。
  この二つの制度導入によって、「投資家保護」という目的が少しでも達成に近づくように、私自身は「内部統制狂想曲」のサークルの外から、祈っております。(前にも書いたように、私自身は「内部統制報告制度」の実質的な効果には、かなり懐疑的なので、現在はこの手の実務からは距離を置いております。)

  このような環境のもとでは、今しばらく、IPOは逆風が続く一方、手っ取り早いバイアウトがこれまで以上に頻繁に起こるようになると思われます。私はそのように「風」を読んで、IPOからM&A関連業務に軸足を移してきたわけですが、実際はどうなることやら・・・。

  この連載、終わり
| cpainvestor | 00:15 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
内部統制報告制度と四半期報告制度 (その1)
  
  個人的には、最近あまり興味のない会計制度ですが(笑)、一応、職業会計人として最低限のキャッチアップはしておくために、2008年4月1日以降適用となる「内部統制報告制度」と「四半期報告制度」について、私なりに解説します。

  2009年3月期より、いよいよ「内部統制報告制度」がスタートします。ちまたでは、「J-SOX」などと言って、全上場企業がその準備の大騒ぎをしてきたわけですが、いよいよ、その内部統制の整備・運用状況を外部監査人が監査する制度がスタートするわけです。
  内部統制報告制度の概要については、こちらや、こちらあたりを参照してもらうのがよろしいかと思いますが、ものすごく簡単に言うと、「財務報告の適正性を担保する内部統制という仕組みを全上場企業がきちんと整備し、それを運用し、更にそれを文書などによって見える化した上で、自社の会計監査人に、確かに内部統制が適切に構築され運用されているかどうかを確認してもらって、年に1回、お墨付き(意見書)をもらって下さい。」というルールです。
  この第一回の意見書が、3月決算会社の場合、2009年3月期の決算が終了した2010年の6月頃に出るわけですが(2009年3月期の有価証券報告書には、財務諸表監査に関する意見と、内部統制監査に関する意見の2枚の監査意見が出ることになります)、その実質的な監査業務は、2008年4月1日以降に始まることになります。
  どちらの監査意見でもいわゆる「適正」以外の限定がついたりしたら、上場企業としてのレピュテーションに関わることになるでしょうから、会計監査人もこれまで以上に慎重に監査をするでしょうし、これに対応する会社の担当者は、ものすごく骨が折れる1年になるのではないでしょうか。特に、内部統制監査制度の本家本元米国でも時価総額の小さい企業への内部統制構築義務の適用開始は再延期されているようですから日本が先陣を切って、新興市場に上場する小さなベンチャー企業にも容赦なく、この制度を全面適用することになるわけです。まったくもって、関係者の皆様のご苦労には頭が下がります。


  同時期に適用開始の制度でもう一つ、忘れてはならないのが、「四半期報告制度」です。四半期報告制度の詳細は、こちらあたりを参照して頂ければよろしいかと思いますが、これも、ものすごく簡単に言うと、「全上場企業は、第1、第2、第3四半期毎に四半期報告書(BS、PL、CF、注記、その他の定性情報)を素早く作成して、特に財務情報については、会計監査人にレビューしてもらい、「限定された手続きでレビューした範囲では、第○四半期の財務状況を適正に表示していないと認められる事項は、なかった」という二重否定のビミョーな意見をもらって、各四半期の決算日終了後、45日以内に財務局に提出しなさい。」というルールです。これまでも、東証や大証、JASDAQのルールで、四半期開示は義務付けられていましたが、45日開示ルールが罰則付きで法制化されてしまった上、当該期間内での監査人のレビューも正式に義務付けられてしまったので、これまで以上に迅速かつ適正な四半期決算の開示が全上場企業に求められることになります。会計監査人、及び、経理財務のご担当の皆様には、まったくもって「泣きっ面に蜂」の状態でしょう。(喜んでいるのは、投資家とプロネクサス宝印刷ぐらいかもしれません。)

  (続く)
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