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同世代で真剣に日本のことを考えている人間が何人いるか


 このブログは、政治、宗教がらみのことは、これまで一切書いてきませんでしたが、今回だけは、お許し願いたいと思います。

 彼と初めて会ったのは、もうかれこれ5年以上前でしょうか。私がベンチャー支援の仕事をしている時に、ある方から元気な若手経営者を紹介してもらいました。アクセンチュア出身の彼は、同僚と人材育成サービスの会社を始めて、次々と昔のコンサルタント仲間をスカウトして会社を大きくしているところでした。

 彼の経営スタイルで特徴的だったのは、自分の得意分野を熟知し、組織運営と経営をうまく分業していたところでしょうか。コンサルティングビジネスの企業というのは、優秀なヒトが財産です。優秀なヒトを継続して抱えるためには、個々人に成長機会を提供する魅力的な新しい仕事を獲得し続けることと同時に、緊張感がありながらも居心地の良い組織作りが欠かせません。彼はもっぱら全社の経営戦略と新しい事業機会の創出に専念し、代表業務と組織運営は、自分より年長で人望のあるパートナーに任せていました。この二人の二人三脚がうまくいっているのでしょう。会社の経営は比較的順調だと聞いています。

 自分でベンチャーを立ち上げるような方は、どなたも大きな夢や熱い思いを持ち行動力に長けているわけですが、彼は冷徹なそろばん勘定も持っていて、「どういう顧客をどういう手順で攻め、どういうタイミングで採算ラインにもっていくか」ということを常に考えながら行動するタイプでもありました。当時はまだ、小さな雑居ビルに間借りしているような状況だったと思いますが、「早く新興国での新しいビジネスをはじめたい」と言っていたことが印象に残っています。
 優秀な経営者というのは皆、「有言実行」であるわけで、その後、彼の会社はいち早くインドに進出して現地にネットワークを築き、日系企業などの現地進出のサポートを事業化していると聞いています。

 そんな彼にしては珍しく、今回は必ずしもそろばん勘定に合わないような挑戦をしようとしています。大義は「日本のため、そして故郷薩摩に若い世代が残れる仕事を創るため」。彼は鹿児島3区から衆議院選挙に出ることを決めました。 いくら第三極の政党に追い風があるとはいえ、本気で選挙に勝つ確率を上げることだけを考えれば、若い世代が多く、有力な候補者の少ない都市部の選挙区に挑戦するのが、定石なのかもしれません。ただ彼は、あえて自分の生まれ故郷で挑戦することに決めました。

 高齢化が進む今の日本で世代的に最も割を食っているのは、若者です。平日の昼間に年金世代の皆様がゆっくりくつろぐ中、多くの若者は年功では決して上がらない安月給で懸命に働き、重い社会保障の負担に耐えながら、家族を養っています。
 正直、私のような30代は、日々の仕事でどう成果を出し、家族をどうケアするかを考えるのが精いっぱいで、「日本をどうしようか」というところまで頭がまわらないのが現実なのではないでしょうか。

 私達と同世代で日本のことを真剣に考えて行動を起こす人間は稀です。しかも彼はゆとり世代の若者をビジネスマンとして鍛え上げる教育サービスをゼロから立ち上げ、自分の組織を大きくしてきた実績があります。二世、三世ばかりの職業政治家や経歴自慢のお役所出身者ではなく、こういうビジネスマインドを持った若い世代を国政に送り込まなければ、この国は本当にダメになっていくのでしょう。

 今回の選挙では、彼の勝算は微妙かもしれませんが、その決断と行動力に敬意を表して、応援したいと思います。鹿児島3区の皆様、地縁、血縁、後援会も大事ですが、彼の志は本物ですから、どうかよろしくお願いいたします。

 彼の名前は、 福留大士 といいます。記憶に留めておいて下さい。

| cpainvestor | 13:35 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
毎日使う耐久消費財はそれなりのお金をかけることのメリットがある


 保有するだけでリターンを生むものでない限り「資産」とは認定せず、耐久消費財への支出を極力控えてきた私ですが、昨夏に建てた新築住宅はやはり快適で、ここのところの週末は、家族そろってすっかり出不精になっております。特に最近の家族のお気に入りは屋上です。住宅メーカーからは、太陽光パネルの設置も盛んに勧められましたが、何も置かずに広いスペースを確保したのは正解でした。子供達の水遊び用のプールや、BBQ、近隣の花火大会の観賞、もしくは夜の天体観測用のスペースとして大活躍しています。新築住宅の「資産性」は未だに懐疑的ではありますが、耐久消費財として見た場合には、ギリギリ許容範囲と思いたいです。(というか、現時点においては、過去の建設コストはすでに埋没コストなので、徹底的に活用することに頭をきりかえたいと思います。)

 今日は、私にしては珍しく、資産性はまったく見いだせないものの、最近購入して「もっと早く購入しておけば良かった」と思える耐久消費財を2つ紹介します。

 1つめはシモンズ社のベッドです。妻から「私も子供達もホコリアレルギーがひどいので、ベッドを購入して欲しい」とせがまれることはや3年、家を新築した後もかたくなに「ふとんで十分、ベッドはぜいたく品だ」として購入を拒んできました。ところが、今年は結婚10周年ということで、記念に海外旅行にでも行くか、アクセサリー類でも購入するかお伺いを立てたところ、迷わず「ベッド買って!」と言われたので、ついに購入することにしました。妻は「無印良品の1番安いやつで良い」と言っていたのですが、せっかく購入するのだし、毎日使うものだから、もう少し良いものを買おうと私から提案し、近くの島忠家具店に行きました。思いのほか広い売り場で、試しに寝てみること50台以上、もちろんピンからキリまでありましたが、結局、ダブルクッションタイプのBeautyrestというセミダブルのベッド2台に決めました。1台あたり15万円超、2台合わせて現金購入することを条件に交渉して、多少の値引きはしてもらったものの、決して安くはない出費です。
 私は出張時に「リッチモンドホテル」をよく使うのですが、ここを選ぶ理由の一つにベッドの寝心地が非常に良いことがあげられます。このリッチモンドホテルが採用しているベッドもシモンズでしたので、このメーカーに好印象を持っていたことも大きな決め手だったかもしれません。
 購入後、毎日このベッドに寝てみてよくわかったのですが、ふとんで寝ていた頃より明らかにぐっすり眠れる上に、比較的長時間の睡眠をとった時でも、翌朝まったく体が痛くならないことに驚きました。(これまで寝ていたふとんや一人暮らしの頃に使用していたソファーベッドの質が悪かったのかもしれませんが。)また、朝の目覚めはすこぶる快調で、今では「もっと早くこのベッドを買っておけば、疲労回復度合が違ったのに」と思うようになっています。

 2つめは三菱製の23型ワイド液晶モニター RDT233WLM-Dです。就職した際に初めてPCが支給されて以来、職場でも家でもPCは省スペースを重視してラップトップを使用してきましたが、最近一緒に仕事をした同僚が外付けの液晶モニターを自腹で購入して利用しているのを見て、「これは便利そうだ」と思い、まずは自宅の書斎に導入してみました。職業柄、エクセルシートを作成、チェックすることが非常に多いのですが、PCがワイドモニターになり、エクセルの画面上部にリボンが導入されたことで、スプレッドシートの作業スペースがこれまで以上に小さくなって困っていました。この液晶モニターはわずか1万6千円ほどの出費でしたが、ラップトップに配線一本つなぐだけで作業環境は劇的に改善し、目の疲れや肩こりなどは導入以前と比べて相当改善しました。ラップトップメインで作業をしている皆さんには本当にオススメの一品だと思います。

 久しぶりに書いたエントリーが、買い物アフィリエイトブログみたいになってしまいましたが、共通するのは、「毎日使う重要な耐久消費財に関しては、それなりにお金をかけても十分にメリットがある」という当たり前の教訓でしょうか。
 私と同じように「利回り追求型商品大好き、耐久消費財興味なし」という根が貧乏性のバリュー投資家の皆さんがいらっしゃいましたら、毎日必ず使うような生活の身の回り品や商売道具などに関しては、今一度、スペックを見直してみてはいかがでしょうか。

| cpainvestor | 21:51 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
リスク感度とダメージコントロール


 今週、現地の方の案内で、石巻、女川地区をじっくり訪ねる機会がありました
。東日本震災から1年3ヶ月、海岸線から数キロのところまでのがれきはきれいに片付いていましたが、人々の生活再建はまだまだこれからで、各人が、自分のできる範囲で継続的な支援を細く永く行うことが極めて重要であることを強く感じました。
(以下写真は石巻日和山より見下ろした北上川河口付近)

日和山から見た北上川河口.jpg
 

 今回の被災地訪問で、最も印象に残ったのは、東北電力女川原子力発電
所PR館でした。「この時期に、平日わざわざここに行く人間はなかなかいないだろう」という読みどおり、訪問客は私達だけでしたが、ここで見ることができる「東日本大震災による被害状況の概要及び緊急安全対策等の対応」という映像からは、学ぶべきこと大でした。

 私自身、福島第一原発の事故にばかり関心がいってしまい、今回、女川原発を
実際に訪問するまでは、「地震・津波に耐え、各種の安全対策が機能して、原発の冷温停止がうまくいった」くらいの認識しかありませんでしたし、実際、東北電力の制作した映像は、福島第一原発との相違点を比較しながら、女川原発が「原子炉を止める、冷やす、閉じ込める」に成功したことを解説するものでした。しかしながら、私はこの映像を見てむしろ、「地震・津波の直後は、女川原発も薄氷を踏むような対応がなされていたのではないか」という印象を強く持ちました。

女川原発の事故の被害状況に関して、私が最も驚いたのは以下の3点でした

 原発の敷地の高さ13.8m(地震直後の地盤沈下1m考慮後)に対し、津波
の最大潮位は13mで、余裕はわずか80cmしかなかったこと。
すぐ近くの女川町の中心部には、20m超の津波が到来しているのを聞くと、同じ
リアス式海岸の湾内にある女川原発付近の津波が13mに収まったのは、「たまたま運が良かっただけだ」と思うのは、私だけでしょうか。

 事故直後4回線の外部電源のうち、3回線は停止し、残り1回線だけが通
じている状況が丸一日続いていること。 
福島第一原発で嫌というほど聞かされた外部電源確保の重要性ですが、皆さん
は、「1回線残って良かった」と感じるでしょうか、それとも「残り1回線だったのか」と感じるでしょうか。

  高圧電源盤の焼損や建屋付属棟の海水流入で、一部の非常用発電機や
冷却水ポンプが使用不能になっていたこと。 
 「A系統は機能停止となったが、B系統は生きていた」的な解説が映像ではな
されていましたが、巨大地震と津波による海水流入で機能停止となった場面で、有効に機能する系統を速やかに把握して対処する行動は、やはり困難を極めたのではないでしょうか。

 
もともと地震や津波の頻発地域だったということもあるのでしょうが、東北電力が各種の慎重な安全対策を講じてきたこと(女川原発を作る際に、国の安全規制において想定される津波潮位の2倍程度の高度に敷地を設定したこと、引き波時に水位低下が起きても冷却用の海水が確保できるような設計をしていたこと、2号機建設以降に堤防の補強工事や各種の耐震工事を継続的に実施してきたことなど)は、もちろん称賛に値します。
 ただし、半径20km圏内に石巻市(人口15万人)があり、
40 km圏内に仙台市(人口105万人)があるという立地を考えると、上記3つの事実を知って、「福島と同時発生的にシビアアクシデントが起こる可能性は紙一重だったのだ」と感じ、背筋が寒くなったのは私だけでしょうか。

 今回の女川原発訪問で、「リスクマネジメントにおいて最も大事なことは何
なのか」ということを、改めて深く考えさせられました。原発に限らず、私達は日々の生活の中で、本来様々なリスクをとっているはずです。また、特定の場面では、積極的にリスクをとらないと、大きなリターンは見込めません。

 リスクマネジメントが大事だとは誰もが言いますが、安定した所得や雇用関
係といったものに恵まれている人であればあるほど、実は自分自身の「リスク感度」が鈍っていて、いざという時に対処不能に陥ってしまう可能性が高いのではないでしょうか。また、リスクは常に回避するものではなくマネジメントするものだというのであれば、「想定外」という言葉はやはり禁句であり、起こってしまった被害を最小限に抑える「ダメージコントロール」の発想も合わせて強く意識をしておく必要があるということでしょう。

 
リスク感度を磨くことと、ダメージコントロール、今回の旅で得た二つの教訓を強く意識して、これからの自分の行動に生かしていきたいと思います。
(以下写真は、女川原発PRセンターの展望台より撮影した原発と女川湾)

女川原発と女川湾.jpg

| cpainvestor | 20:58 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
フリクションボールで世界中のシャーペン、ボールペンを駆逐せよ

 
 私はかなりの文具マニアでして、仕事の出先などで少し時間があくと、ロフトや無印の文具コーナーはもちろんのこと、伊東屋DELFONICSといった文具店を定期的に巡回しております。

 就職してからの私のペンケースの中の主役はいつもラミーの4色ボールペン でして、これまで何度か失くしては同じものを買い求めてきました。それぐらいこのボールペンは飽きのこないデザインで使いやすく、私の日々の生活にはなくてはならない逸品でした。

 ところが、昨年の夏頃からでしょうか、このボールペンの使用頻度が少なくなり、主役の座はパイロットフリクションボール(ノック式) が占めるようになりました。このボールペン、デザインは平凡でまったく気に入らないのですが、ペンに付着するゴムラバーで書いた文字がきれいに消せるという「消せるボールペン」というコンセプトが受けて、爆発的に売れているようです。
 さすがは万年筆の老舗、パイロットだけあって、このペンのブルーブラックインキはなかなか味のある色でして、発色や書き味は私のような文具マニアも十分に満足する仕上がりです。昨年からは十数年ぶりに学生というものをやり、中間・期末テストなどを受けたりしたものですから、その勉強や試験答案を書く際に、このフリクションボールは大活躍しました。その結果、LAMYの4色ボールペンの使用は、文書へのサインや、各種の申込書類など「消えていはいけない」機能が求められる時だけに限定されるようになりました。

 そして今年、ついにフリクションボールの3色ペン(黒、赤、青) が出たことにより、現在、私のペンケースの中は、この3色ペンとその替え芯が席巻するようになりました。「3色インキで書いたものをいつでもひとこすりで消せる」というのは本当に便利で、シャーペンの類は完全に用済みになりました。皆さんも一度使ったら、かなりの方がハマるのではないかと思います。

 ここで当然、投資家としての血が騒ぐわけで、フリクションボールがバカ売れし、インクは当然特許などをとっているとくれば、パイロットはさぞかし儲かっているだろうと思い、さっそく業績を見てみました
 一言で言うと、「そんなに悪くはないけど、そんなに良くもない」といった感じでしょうか。パイロットは世界中に販路を持っているようで、海外売上比率が過半を超えています。しかしながら、売上の力強い伸びはここ5年間、あまり感じられません。早いところ、この革命的商品であるフリクションボールを世界中にばらまいて、ボールペン、シャープペンを駆逐してもらいたいところなのですが、諸外国には、「消せるボールペン」に、あまりニーズはないのでしょうか・・・。

 さらに、文具マニアとしましては、ぜひとも早くパイロットにどこかの有名デザイナーと組んで、LAMYのような飽きのこないデザインの超高級ラインを出してくれることを切に願っております。こんな中途半端なもの ではなく、高くて良いので、もっとグっとくるやつをお願いしたいところです。そういうものさえ出してくれれば、喜んで「インクでぼろ儲けする消耗品ビジネスモデル」のカモにならせて頂きます。

| cpainvestor | 23:51 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「海外で働けるスキル」<「ランチェスターの弱者戦略の実践」
  
   Awajishima

 渡辺千賀さんのこのエントリーがWeb上で話題を呼んでいるようですね。賛否両論多数のコメントがついていて興味深く読みました。
 「日本が下降曲線を描いている」というのは、誰しもなんとなく感じていることで、同意する部分は多いものの、「だから海外で働こう!」というロジックの飛躍に抵抗を持つ方が多い印象を受けました。

 私事で恐縮ですが、私の弟は、日本の高校を卒業後、単身で米国に渡り(その高校からは実質初めての海外大学直接進学で、インターネットや格安の斡旋業者もない時代、弟が苦労しながら情報収集していたのをよく思い出します)、米国のカレッジを卒業、苦学して大学の3年に編入して卒業した後、現地にて就職しました。弟は、10年近くを米国で過ごした後、なぜかフランス人の嫁さんを連れて3年前に日本に戻ってきて、現在は日本国内で英語力を生かした仕事をしています。その弟が、「アウェーで世界中の賢くてハングリーな奴らと競争し続けるのは、本当にしんどい。並の外国人が労働ビザに加えて現地の人間以上の待遇を勝ち取るのは、まず不可能に近い。ほとんどの日本人は、日系企業関連の仕事をすることで食いつないでいるのが現実。だから、日本がこのままシュリンクしてしまったら、多くの在外邦人が困るはず。結局、日本次第なんだよなあ。」と帰国直後につぶやいていたのを、このエントリーを読んで、急に思い出しました。

 イチローや松坂のように世界の頂点の舞台で現地のプロフェッショナルを相手に競争を勝ち抜ける日本人などというのは、本当にわずか一握りでしょう。欧米で活躍する多くの日本人は、私の弟の言うように、日本に関連する業務に携わって「英語/日本語遣い」として生きている方が多いのではないでしょうか。また、帰国した方々の中には、英語力を活用して海外の英語情報と国内の日本語情報の情報格差を埋めることで所得を得る、いわゆる「裁定取引担当者」として生きているというケースも多いのではないかと思います。(以下、こういうポジションで生きている方を「海外アービトラージャー」と言います。)
 この「海外アービトラージャー」というポジションは、江戸末期の蘭学者のポジションから脈々と続く立身出世の一つの勝ちパターンなのでしょう。特に戦後、日本経済が急速に発展する過程において、「海外アービトラージャー」の価値は大きく高まったように思います。
 ただ、残念ながら、今後、日本のプレゼンスが下がっていけばいくほど、この「海外アービトラージャー」も所得を得る機会が減っていくのかもしれませんし、「今の日本の状況がカナリヤバイ」と危機感を感じて、英語をコミュニケーションツールとして使いこなす日本人が増えれば増えるほど、「ただの英語屋さん」の付加価値は、コモディティ化していくことになります。だからこそ、最近のキャリア開発系の本を読むと、「英語+財務」とか「英語+IT」が必要とか言われていたりするのかもしれません。日本で英語を身につけるだけでも大変なのに、しんどい世の中になりました。(英語でしか高等教育を受けられない発展途上国の方々に言わせば、何を甘ったれたことを言っているのだと一蹴されそうですが・・・)

 ここから先は、異論反論もあるかと思いますが、私見です。

 若くて時間の機会費用が小さいうちであればあるほど、できるだけ、海外を見て多様な価値観に触れておいた方が良いと思いますし、あわよくば働く機会を得ておいた方が「サバイバル能力」を高める上では良いことなのだと思います。特に、オカネを払って勉強しにいくのではなく、オカネをもらって仕事をしに行く機会は、分野によってはものすごくしんどい武者修行かもしれませんが、何物にも代えがたい価値があるのではないかと思います(私自身も以前の職場では、毎年のように駐在希望を出していたものでした・・・)

 ただ、年齢が上がり、時間の機会費用が高まれば高まるほど、その意思決定は慎重にならざるを得ないような気もします。「海外で働けるスキルを身につける」ことを、「サバイバル能力を高める」という意味で考えるならば、私を含めた多くの凡人が、英語より先に学ぶべきなのは、「ランチェスターの弱者戦略(ウィキペディアの最適戦略を参照のこと)」であるように思います。
 「まだ日本経済が元気なうちに、競争相手が少ないニッチマーケットでできるだけ優位なポジションを築くことに精力を注ぎ、そのポジショニングと ある程度のバリュー消費の実践(やりすぎると生活の潤いがなくなります)によって(かつできれば夫婦2馬力で働くことで)蓄財に励み、これを元手にできるだけ若いうちから国内・海外にある程度リスクをとって分散投資をし続ける」という戦略の方が、より多くの人が取り組めそうな気がします。(これが私達の次の世代まで有効な戦略かどうかは微妙ですが・・・)

 現状では、日本の経済規模がまだまだ大きいことを考えると、重要なのは、できるだけ早く、どんな分野でも良いので、自分の競争優位性が少しでも発揮できるポジションを見つけるということに尽きるような気がします。英語+専門知識を身につけて、「雇われやすい人材」になったとしても、その結果、この方の言うような「決して我侭が許されないものすごく芸達者な飼い犬」をずっと続けているのであればあんまり意味がないような気が個人的にはします。

 私自身も語学を身につける重要性はひしひしと痛感しているつもりですが、それ以上に、「自分にとっての桶狭間がどこにあるのか」ということを日々考えながら過ごしております。

 皆さんもぜひ、サバイバル能力を高めるべく、まずは「ランチェスター戦略」から勉強なさることをオススメ致します。(筆者後日注、下記書籍はランチェスター戦略を中小企業の経営・マーケティング戦略に応用したものです。ランチェスター戦略については、Google検索で多数の解説サイトが出てきますので、そちらを参照してください。)

           

 追伸
 今日の写真は、播磨の国、舞子の浜から見た明石海峡と淡路島です。友人の結婚式で訪れたのですが、晴天と素晴らしい景色に恵まれたとても良い結婚式でした。Tさん、どうかお幸せに。
| cpainvestor | 23:09 | comments(13) | trackbacks(0) | pookmark |
TODAY is a gift that's why we call it the present.

 LAT37Nさんのこの文章を読んで、しばらく考えさせられました。海の向こうの雇用調整は、どんな専門職であろうが、マーケットのニーズがなくなれば、粛々と進められています。

 私も、外資系企業の監査を何社も担当していたことがあるので、様々な企業のリストラクチャリングプランを見る機会がありました。いつも「フェニックス・・・」だとか「フューチャー・・・」だとか、ものすごく前向きな名前がついていましたが、市場ニーズのなくなった部門・職種の雇用は、例外なく削減されていました。また、そこまでいかなくても、全社業績が悪くなると、真っ先に人事・総務・経理・財務などの間接部門のリストラクチャリングが行われていました。
 この時に興味深かかったのは、必ずしも管理職が安泰だったわけではなく、「高給の人間ほどその生産性が問われていた」ということでしょうか。比較的高給の専門職社員(ベテランとは限らない)がまず解雇され、次には日本ローカルの中間管理職までが廃止になって、替わりに香港やシンガポールのアジア地域持株会社の社員がその役割を兼任して、日本にいる非管理職(新たに補充された、英語の達者な派遣従業員を含む)を遠隔で指導監督するなどという体制も見たことがあります。ただ、いずれの場合も、会社そのものが消滅するようなことでない限りは、比較的手厚い退職手当等が支払われていたように思います。

 昨今の新聞紙上では、大手製造業がまず請負・派遣社員の大幅人員削減を進めて、更には正社員の人員削減にまで手をつけ始めていることが連日報道されています。雇用は景気の遅行指標と言われていますから、これから3月末の決算に向けて、ますますこのような報道は増えるのではないかと個人的には推測しています。ほとんどの企業が過去十年程度の間に一度は、リストラクチャリングによる過剰雇用の整理を経験済みで、免疫があるでしょうから、今回は早め早めに動いてきているということなのでしょう。企業の姿勢を批判する論調が目立ちますが、「これこそがシビアな現実」ということなのでしょう。
 日本企業も、競争力維持の観点からグローバル化(雇用制度の多国籍化、多様化)と人件費の変動費化(正社員から請負・派遣社員へのシフト)を進めてきている関係上、これまでのように「雇用維持」を金看板に掲げるところは、やはり少なくなっていくのでしょう。その意味で、「会社組織と個人のドライな関係」は今後も進行していくことになるのでしょう。


 「仕事を失う」というリスクは、多かれ少なかれ、働く職業人であれば、本来誰もが負っているわけです。他人事ではなく、そのことを常に自覚して、アンテナを張り巡らし、潮の流れを見ながら、日々の仕事を通じた自己研鑽に励むことができるかどうか。そして、不運にもそのような不幸に襲われた時にも、思考停止することなく、それを自らに変化を促すきっかけとして前向きに捉えられるかどうか。そういったタフネスが求められる時代になっているということでしょう。

 冒頭のタイトルはとても前向きな良い言葉だと思ったので、LAT37Nさんのブログから拝借致しました。「不幸だと思う日も、(それを神様が与えてくれた)ギフトだと思えるかどうか」こういった発想がもてることが大事なのだと思います。


 ご存知の読者も多いかもしれませんが、私も所属する組織が消滅するまでお供して、「解雇通知らしきもの」を頂いた経験がありますので、つい、力の入ったエントリーになってしまいました。この「解雇通知らしきもの」は、その時の自分の気持ちを思い出すために、今も大切に保管しております。



追伸
 先ほど「雇用」は景気の遅行指標と記載しましたが、「株価」は景気の先行指標と言われています。景気回復の前に、まず株価回復が来ます。投資家にとっての「夜明け」は、それほど先ではないかもしれません。
| cpainvestor | 00:17 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
師走の義務
 
 以下、12月5日の日経NETから抜粋です。

奨学金延滞者は通報 学生支援機構、信用情報機関に
 日本学生支援機構は5日、奨学金の返済を3カ月以上延滞した人について、個人情報を信用情報機関である全国銀行個人信用情報センターに提供することを決めた。提供された人は各種ローンやクレジットカードなどの利用を断られる可能性がある。2010年4月から実施する。奨学金事業で3カ月以上返済が滞っている不良債権額は07年度末時点で2252億円。財務省などは「回収努力が不十分」として、同機構や所管する文部科学省に改善を求めている。


 奨学金返済の滞納問題は、日本学生支援機構(旧日本育英会)のみならず、多くの地方自治体や学校法人にとっても頭の痛い問題のようです。お役所仕事の弊害か、回収督促が甘いのを良いことに、踏み倒しを狙っている輩も多いと聞きます。大学を卒業した後、多くの支給対象者は仕事を得ているはずですから、低利(もしくは無利息)でかつ毎年の返済額も少なく設計されている貸与奨学金の返済ができないはずはないと個人的には思うのですが・・・

 実は、私自身も出身大学から無利息の貸与奨学金の支給を受けていました。このため、毎年、勤務先から12月の賞与を頂くのとほぼ同じという絶妙なタイミングで、大学からそれなりの金額の請求書が、下記のメッセージレター付きで送られてきます。

 奨学金の返還は必ずしも容易ではないかも知れませんが、かつて奨学金の貸与を申請したときのことを思い起こし、後輩のためにも約束どおりの方法で間違いなく返還を履行してくださるようお願い致します。

 まさにこの債務返済は、私にとって毎年の「師走の義務」といったところでしょうか。

 私は、この奨学金制度のおかげで、(成績はともかく)大学を無事に卒業でき、3回生の時にはアルバイトを最小限度に抑えて、会計士の試験勉強を始めることができました(在学中に合格はしませんでしたが・・・)。それに、卒業時には、奨学金という当時の私としてはそれなりに多額の債務を背負って社会に出ることが確実であったことが、「とにかく、食いっぱぐれるリスクが低い仕事を探そう、そのためになるべく手に職をつけよう」という意識につながったような気がします。

 おそらく私は、自分の息子達が大学生ぐらいの年頃になって、どのような道に進もうか悩む年頃になったら、「学校の人気だとか、入試のレベルなんぞは、どうでもいい。ただ、その教育・時間投資の回収可能性はどの程度と考えて挑戦しているのか?投資回収の可能性を少しでも上げるために、どのようなアプローチで自分なりに努力するつもりなのか?」と問い詰めていまいそうな気がします。
 「子供達の可能性を伸ばすことこそが教育、そこに投資回収の概念を持ち込むことはナンセンス」という正論を言われてしまうと、私の考え方は相当に偏っていそうで、つらいところですが、そこは妻にフォローしてもらうことにしたいと思います。

 学生時代に生活や教育投資に関する金銭感覚、就業意識を身につけさせる教育を徹底して行うことなく、奨学金だけを貸与するから、返済の延滞が問題になったり、高学歴ワーキングプアの問題が発生したりするのではないかと、個人的には思っています。
 
 それにしても、今日のランチで職場の同僚の何人かに、試しに奨学金返済をしている人のリサーチをしてみたのですが、ほとんどいませんでした。私立中高一貫校の出身者が過半数を占める現在の職場に、オール公立出身の雑草Minorityとしては、違和感を覚えずにはいられません。
| cpainvestor | 00:50 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
借金と会社組織は利用すれども依存せず
 
 小室哲哉さんの逮捕が話題になっていますね。90年代にあれだけのヒット曲を飛ばし、稼ぎに稼ぎまくったはずの小室さんが、全盛期の彼からすれば、何てことはないはずの5億円程度の高利の借金の返済に困って犯罪に手を染めてしまったというのは、なんとも皮肉です。
 世間では、「ヒット曲が出なくなった後も浪費癖がおさまらなかった」と面白おかしく書き立てていますが、今でも彼の曲がカラオケで歌われたりすることで、かなりの金額の印税収入が継続的に入ってくることを考えると、ホテルのスイートルームや、高級外車を維持するぐらいの生活はできたのではないでしょうか。過去の事業経営の失敗がきっかけで雪だるま式に膨らんでしまった借金さえなければですが・・・。

 サブプライムの影響で、外資系金融機関や不動産ファンド等の破綻や雇用調整が日本国内でも始まっています。最近、某外資系投資会社に勤めていた私の知り合いの一人も退職を余儀なくされました。「日本国内の投資は当面凍結」という親会社の方針が出た以上、彼が担当すべき仕事は発生しなくなってしまいましたから、やむを得ません。彼の勤務先は、市況連動性が高く、成功報酬型の高給でしたから、その給与をベースに考えてしまうと、プライドが邪魔して再就職もなかなかに苦戦しているようです。しかも、彼は完全に会社組織の看板と資金調達能力をフル活用して活躍していた「投資家」さんでしたから、今さら事業会社の一使用人として、地道にやり直せるような心境には、今のところ至っていないようです。私のところへの相談も「場合によっては、独立したいのだけど、自分にできるコンサル等の仕事を紹介してくれないか?」というものでした。ただ、「機関投資家?」時代の「上から目線」が抜けない彼にご紹介できるような仕事は、彼のポテンシャルがどんなに優秀であったとしても、残念ながら現在の私は持ち合わせていません。

 立て続けにこのような話を聞くにつけ、「借金」と「会社組織」というのは、とても似ているところがあるなと思いました。いずれも、バランスを考えた上でうまく利用すれば、独立自営の個人事業主よりも労働時間を節約するなり、大きく稼ぐといったことが可能になりますが、何らかのきっかけでこのバランスが自らのコントロールの範囲から逸脱してしまうと、あっという間に借金と会社組織への依存度が強くなりすぎて、自分の生活基盤が全く成り立たなくなってしまうところまで追い込まれます。まさに「レバレッジの負の効果」です。

 そうは言っても、借金からも組織からも完全に独立して食べていけるという人などというのは稀だと思います。かく言う私も、多額の借金こそ今のところ背負っていませんが、今後、住宅ローンを組むこともあるでしょうし、現在もなお、会社組織から有給休暇と給料を頂いており、相当な依存関係にある身です。

 このような依存関係をなるべく緩和し、借金や会社組織とうまく向き合っていくには、個人的に以下のようなことが大切かと考えています。

 生活固定費はなるべく小さくして、収入変動への抵抗力をつけると同時に、借金を利用する場合には必ず、資産サイドにおいて、自分自身への投資・鍛錬によりキャッシュ・フロー獲得能力を高める以外にも、複数のキャッシュ・フロー獲得ルートを確保しておく。(運用資産であったり、妻の就業であったり・・・)
 また、現在属する会社組織に対しては、頂いている収入以上の貢献は常に心がけつつも、決して「何かで自分に報いていくれるだろう」という過度の期待を抱かない。そして、常に一歩引いた冷静な視点で組織を見ながら、自分と家族の身を守る救命ボートの算段だけは、自分自身でしておく。少なくとも、自分が組織の中で責任あるポジションを引き受けることがない間は、そうありたいと思います。

 このような考え方から、個人的な信頼関係で繋がっている古くからのお客様との仕事や、指名で頂く仕事は、たとえ組織の規模から言ったら、引き受けるべきではないと判断されたとしても、手を変え品を変えあらゆる手段を講じて、できる限り大切にしたいと思っています。これは、チームワークを最重要視する根っからの組織人からすれば、「自己中心的だ」と批判されるのかもしれませんが、これは私のリスク管理手段として譲れない一線です。

 「借金と会社組織は利用すれども依存せず」言うは易し、行うは難しですが、いつ自分の所属する会社がつぶれるなり、売り払われるなりするかわからない時代だからこそ、そういう気概は極力、持ち続けたいと思います。
| cpainvestor | 00:23 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
大学院教育投資のリターン
  
  先日、出張で名古屋に向かう新幹線の中で読む本がなかったため、慌てて東京駅の書店に立ち寄り、目に留まった書籍 『高学歴ワーキングプア〜「フリーター生産工場」としての大学院〜』 を買い求めました。新幹線の中でサラサラっと読んだだけですが、低収入の大学の非常勤講師などを掛け持ちしながらアルバイトを続け、任期が限定されていない大学教員などの常勤職を目指す30歳過ぎの博士号取得者、博士課程修了者が多数発生し、生活に困窮している現状が切々と書かれていました。著者自身も同様の境遇の「ワーキングプア予備軍」として、本人の職業選択意識の問題を挙げつつも、同時に少子化の中で既得権を維持すべく、猫も杓子も大学院教育を充実させた大学側とそれを後押しした文部科学省の責任についても強く批判していました。

  この書籍を読んで私が感じた強烈な違和感は、「そんな歳になるまで、大学院で勉強させてもらえるような知力と時間と資金力がありながら、なぜ、どのようにメシを食っていくかということを当人達は真剣に考えて行動しなかったのだろうか?」という至極当たり前の疑問です。

  普通に考えても、少子化で大学の数は減少し、教員の就職口は減っていく一方で、東大、京大を初めとする従来からの大学教員養成大学院の大学院生数が大幅に増加しているわけですから、大学教員の道が狭くなるのは当たり前です。冷静に自分の通っている大学院の序列、学生の中での序列、指導教員の経歴などを考えれば、「自分が大学教員になれる可能性」というのは、ある程度わかると思うのです。本当に食べることに困る状況が想定されるのなら、少なくとも修士が終わったあたりで「まずは手に職を・・・」などと自ら動くのが普通の感覚だと思うのですが、この本を読んでいると、「フリーターのオーバードクター達は、国の大学院重点化政策の犠牲者だ!、これは個人では解決が難しい構造問題だ!」というトーンばかりが強調されている印象を持ちました。

  これは、非難を覚悟の上での個人的私見ですが、特に文系の全日制大学院などというものは、ごく一部の選ばれた人間だけに許された「贅沢消費」なのではないかと思います。私も機会があったら、今でも大学院で勉強してみたいとも思いますが、そのために費消される時間的・経済的資源や機会費用を考えると、通うに値するリターン(将来その専門性が生かせる職業につけることなどを想定)が期待できる大学院は、正直なところ、相当に厳選されるのではないかと思います。その意味で、働ける能力があるのに文系大学院へ進学する余裕があるなどというのは、「実はものすごく恵まれた環境にいる人間の相当な贅沢」だということが、進学を決めた当の本人達の多くがわかっていたのかどうか・・・。(変な見返りを求めず、自己実現のための贅沢消費だとわりきれば、上記書籍の著者のように制度の問題に転嫁する発想にはならないと思うのですが・・・)

  最近、私のところの職場でも「会計大学院」出身の新人が多数入ってくるようになりましたが、特に財務や会計などは、本来、実践の学問であり、昼間に大学院で実務の現場を知らない教授から2年間も長々と講義を聴いて学ぶ価値のあるものなのかどうか、個人的にはどうしても疑問が残ります。実際問題、同じ新人でも、新卒の会計大学院出身者などより、金融機関や事業会社などでの社会人経験者の方がよほど使えたりするケースも多いです。今の科目合格が認められている会計士試験制度なら、一刻も早く科目合格して、実務の現場に飛び込んで、残りの試験に挑戦しながら丁稚奉公をした方が、よほど早く「食える人間」になれるのではないかと思います。
  今の会計士試験は会計大学院を卒業しても最初の短答式試験が免除されるぐらいのようですが、もし、司法試験のように専門職大学院を卒業することが「実質的な受験要件」というような状況に将来的に変化していくとしたら、これは、いくら奨学金制度を充実させたとしても、経済的に厳しい境遇にある人間に対する「逆差別」になるような気がします。(経済的に厳しい境遇にある人間は既に、大学卒業時までに多額の奨学金債務を負っている可能性があります。その上、実質的な意味での費用対効果が微妙な大学院に通うためにさらに借りたら、借金が増えるばかりです。)
  
  私自身、会計大学院に通ったわけではないので、本来このような批判をしてはいけないのかもしれませんが、それでも、専門学校で必要最小単位の講義だけ受講し、朝から晩まで無料で借りられる自習室の机にへばりついて、3年半の貧乏生活を耐えた経験(特に最後の1年半は、無職)が、今の仕事を続ける忍耐力と我侭を許してくれた両親への感謝の気持の原点になっているのは間違いないと思われます。

  学校教育投資に対する考え方は、人それぞれ、千差万別でしょうが、「試験合格者制度をなくし、大学院卒業者のみを専門職にする」という試験制度の改悪だけは、なんとしても避けてもらいたいと思います。

  ようやく今年、大学時代の奨学金債務の返済を終える一実務家の戯言でした。
| cpainvestor | 00:23 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
「立ち位置」の重要性
 
  前々回に「顧客の期待値を上回るサービスの重要性」、前回に「顧客の期待そのものをマネジメントすることの重要性」について書きましたが、今日はその最終編として、「立ち位置(英語ではポジショニングとでも言うのでしょうか)の重要性」について書きたいと思います。

 前回に引続き、スポーツの例で恐縮ですが、サッカーJリーグが発足した頃のスター選手に、武田修宏というヴェルディ川崎の選手がいました。彼はヘディングや足技が特に優れているわけでもなく、フィジカル面で強かったという印象もないのですが、コーナーキックなどの際に、彼がファーサイドのポストの近くで待っていると、「こぼれ球が必ず転がってくるのではないか」と思わせるほど、いわゆる「ごっつぁんゴール」の多い選手だったと記憶しています。(詳細は、リンク先ウィキペディアのプレースタイルを参照のこと)

  彼のことを「ポジショニングだけで生きていたFW」と皮肉る声も多数ありますが、そのような批判をして、自分の実力を過信する人ほど、この「立ち位置(ポジショニング)の重要性」がわかっていないようにも思います。
  武田選手のようなタイプは、「守って守ってカウンター」のような弱者戦略を取るJリーグ下位チームでは、全く活躍できなかったように思います。ただ、当時リーグ最強の個性派タレント集団であったウェルディ川崎のようなチームでは、絶妙なポジショニングセンスを持ってさえいれば、自然と足元にお膳立てしたボールが来たわけです。そしてそれを「着実に決める」という能力に、彼は抜群に長けていた。(時々いますよね。キーパーと1対1の場面で、バーを大きく越えるシュートを打ってしますFWが。)だからこそ、彼は一生懸命に守備をしなくても、ゴールを量産することができ、その時の記録と名声で、今もサッカー解説者として活躍できているわけです。


  前回のコラムで、「コントロールと組立ての妙でうまくしのぐ」みたいなことを書きましたが、コメントにもあったように「打たれるとわかっている緩いカーブ」は投げられないわけです。その意味で「自分と相手との力関係」を常に意識しないと、このテクニックは使えません。すなわち、「コントロールと組立ての妙」と「顧客と自分との立ち位置において、現状どれだけ優位な場所に立てているか」という「立ち位置」の発想は常にセットで考えなくてはいけない問題であるといえます。

 このできるだけ優位な「立ち位置」を確保するために必要な要素は以下のようなものではないかと思っています。

情報優位性
  所属する集団や、顧客との関係においてより優位な「立ち位置」を確保するための要素として、「他者より多くの質の高い情報・ノウハウをどれだけ持っているか」ということが、極めて重要なのは、読者の皆さんにも理解してもらえるのではないかと思います。
  例えば、病院の医師並の専門知識を患者自身が持つなり、持てる仕組み(他の医師のセカンドオピニオン取得が無料で得られる仕組み)などがあれば、これまで以上に医療訴訟は増えるでしょう。その意味で、インターネットサイトなどによる医師の格安有料相談サイトなどがもっと増えてくれば、多くの医師にとってこれが脅威になり得るのではないでしょうか。「先生-患者」のそれぞれの「立ち位置」が崩れることにつながるからです。

コミュニケーション能力
  情報優位性とセットで考えるべき重要な能力に、コミュニケーション能力というのがあります。コミュニケーション能力の高い方は、属する組織の内外に人脈というネットワークを構築していますから、得られる情報のソースも多く、質も高くなります。いくらマス媒体やインターネットが発達した時代であるとは言え、本当に最先端の実務をやっている方から得られる一次情報の質には、かないません。「こういう分野ならこの人間」という方にどれだけアクセスできるチャネルを持っているかというのは、情報優位性を高め、結果として他者より優位な「立ち位置」を確保するために極めて重要な能力だと思います。
  時々「ただただ面倒見が良い」というのだけが取り柄の「人脈ネットワーカー」みたいな方にお会いすることがありますが、それはそれで突き抜けると凄い能力なのだと思います。

経済的優位性
  「力関係的にウチは大手に比べて弱いんだよね」という場合、その力関係の源泉になっているのは、「情報優位性」を除くと、その多くは「経済的優位性」にあるように思います。究極的には、「この仕事を断っても、痛くもかゆくもないような経済的基盤を既に備えているか」という問題です。大手と下請けの関係が限りなく上下関係に近いのは、大手にとっては、「この下請けが断っても、頼むところはたくさんある上、自分の経済的基盤が痛むことはほとんどない」のに対し、下請けにとっては、「この仕事がないと、明日から食っていけない」という切迫感があります。この経済的基盤の違いが弱者の譲歩を促し、結果「立ち位置」に大きく影響してきます。
  昔、師匠から、「専門家が賃貸用不動産を保有するというのは悪くない選択である」というようなことを聞いた記憶がありますが、これを聞いたとき、「なるほど!」と思いました。「個人の専門家サービス」というのは、基本的に時間の切り売りサービスですから、より仕事を選んで、高い単価を受け入れてくれる顧客へサービスを提供するように戦略的にシフトしていかない限り、いつまでたっても「長時間の業者労働」から解放されません。その意味で「仕事を断る勇気」、「値上げをする勇気」というのも、「立ち位置」改善のためには、極めて重要だったりします。例えば、経済的基盤が相対的に弱い個人事業者になったりすると、よほど気をつけないと、つい、先に予定が立つ仕事ばかりを優先して、単価の高い魅力的な顧客のオファーを断らざるを得ない状況が日常茶飯事的に起こります。こういった状況を打開し、仕事を選別できるポジションを築くためにも、「経済的基盤」というのは重要なのだと思います。(そもそも仕事が来る「販路」そのものがない状況では、選別も何もないわけではありますが、それは「そもそも個人事業者になって良かったのか」という、この議論より前の課題がクリアされていないわけです。)

ブランド戦略
  中身のあるなしに関わらず、ブランド戦略というのもまた、「立ち位置」確保のためには、重要だと思います。たとえ、同じようなコンテンツを専門サービスとして提供していても、組織なり個人なりにブランドがあると、何割か高い料金がとれたり、取引条件においてより優位な契約を締結できたりするといった利点があります。特に、いくつか同業のサービスを受けてみないことには比べようがないというサービス業の本源的な特性上、「信頼のブランド」というのは、特に顧客との「立ち位置」の構築上、抜群の価値を持つわけです。内容そのものではほとんど差別化できないようなコモディティサービスになればなるほど、この「ブランド価値の重要性」は顕著になります。
  そのような意味で、特に専門サービスを提供する元同僚などが、「組織内にいた時には、そんなに活躍していなかっただろ!」と思わず突っ込みを入れたくなるような経歴を著書に記載していたりしているケースを見かけますが、これも「パーソナルブランド戦略の一環である」と見れば、理解できる話しですし、賢いやり方なのだと思います。(私は昔の彼・彼女を知っているので、仕事は頼みませんが・・・)


  このように見てくると、「人生はポジショニングだ!」と叫んで、有望ベンチャー企業のCFOに収まり、見事IPOを果たして一攫千金をモノにした私の先輩会計士の意見は、ある意味、極めて本質的なものだと思います。また、最初から、自分の能力の限界を認めて、組織のブランドをうまく活用して高給を確保すべく、有名外資系企業の要職を転々とする「英語と調整能力だけ」の石田三成型ローカルマネジメントの皆様の動きも、「極めて賢い戦略である」とも言えるわけです。

  そういう生き方が好きか嫌いかは別として、「立ち位置の良し悪し」というのは、常に頭に入れて意識しておかなくてはならないポイントなのだと思います。

  そういえば、今日、ご紹介した内容に近い、書籍を最近読みまして、それなりに面白かったので紹介しておきます。

          

  実にみもふたもないタイトルですが、書いてあることは、本質的で、組織の大船に乗っても、それを信用することなく、いつでも逃げ出せる救命ボートを探して、その中で泳ぎの練習をしてしまうような自分にとっては、考えさせられる内容でした。
| cpainvestor | 00:16 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |

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