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深セン訪問備忘録(2/2)−受託製造からイノベーション都市へ

 

ICTハイテク企業の両雄 テンセントとファーウェイ

 深センを代表するハイテク成長企業として必ず紹介されるのが、中国ICT分野のソフトとハードの両雄です。前者は、ゲーム、SNS、決済といったネットサービスを手掛けるテンセントであり、後者は、通信・ネットワーク機器を企画開発するファーウェイです。

 

10兆円ハイテク企業ーHUAWEI

 このうち、今回はファーウェイの本社を訪問する機会がありました。ファーウェイは、非上場企業であることもあり、詳細は謎に包まれているといわれます。ただし、業績開示はなされていますので、こちらを見ると、2017年12月決算では、売上高10兆円、営業利益1兆円、R&D投資も1兆円など、業績と成長実績は突き抜けていることがわかります(下図、1RMB=17円換算)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンジニアの楽園 ファーウェイ本社

 深セン郊外、緑豊かな広大な敷地(東京ディズニーランドの4倍くらいあるそうです)に、低層階の建物が並び、3万人の従業員(6〜7割はエンジニアだそうです)が働くファーウェイの本社は、まさに圧巻の一言で、その豪華さに度肝を抜かれました。誰でも一度訪問したら、この一流大学のキャンパスのような環境で働いてみたいと思われるのではないでしょうか。

 

HUAWEI

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(HUAWEI本社内の池と庭園、筆者撮影)

 

 R&Dの成果を展示する施設は、「あらゆるハードウェアやインフラがインターネットにつながることでオペレーションが効率化する、このIOTソリューションの提供において、ファーウェイのハードとソフトの存在は必要不可欠である。だからこそ多くのソリューションパートナーとの協業に取り組んでいる。」というファーウェイのメッセージで統一されておりました。

 日本でもいくつかの大企業の類似施設を見たことがありますが、何でも自前、グループ内でということではなく、外部の様々なソリューションパートナー企業の名前を掲示して、展示物が構成されていたことが印象的でした。ファーウェイも今はネットワーク機器や通信端末といったハードウェアの開発販売(製造の多くは外部委託だそうです)が主体なのでしょうが、いずれは、IOTをインフラ面で支えるプラットフォーム企業を目指すということなのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(HUAWEI本社内の社員食堂の天井、筆者撮影)

 

日本にいると「浦島太郎」になるという危機感

 どうも日本にいると、「モノづくりに関するテクノロジー分野では、日本はまだ世界の先頭を走っている」というイメージがあります。しかしここに来てわかったのは、もう日本企業が束になっても勝てない事業規模とテクノロジーを有するモノづくり企業が、この国には続々と生まれており、そういった業界で働く優秀なエンジニアの能力や待遇も、既に日本を大きく上回っているという現実です。

 スマートシティ構想一つとっても、こちらは、現在進行形でいくつも新しい都市をゼロから創っているわけですから、建設、環境保全、インフラ運営などの最新の知見も今後は全てこの地で蓄積されていくわけです。そこに日本企業の名前を全く見かけなかったことは残念でなりません。

 

 アジアの国を訪れるたびに、若くエネルギーにあふれる活気と、その成長スピードに驚かされます。それと同時に、ゆるやかに衰退する日本、そこで危機感なく暮らす自分に焦燥感を感じます。「浦島太郎」にならないために、視野を広げて常にアンテナをはり、適度な危機感を持って仕事に励まねば、と思わされた1週間でした。

 


 

(ファーウェイ本社の池にゆうゆうと泳ぐブラックスワン、創業者が常に危機感を忘れないために飼育しているとのこと。筆者撮影)

 

 

 

| cpainvestor | 20:06 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
深セン訪問備忘録(1/2)−受託製造からイノベーション都市へ

 

見違えるようになった大都会、深セン

 約10年ぶりに中国南部の都市、香港と隣接する経済特区、深センを訪れました。

最新の超高層ビルが林立し、街中に電気バスや電気自動車が走り、街角には大量のシェア自転車、人々は皆スマホ決済。派手なビルが林立し、汚れた街並みだった10年前とはまったく様変わりした大都会がそこには広がっていました。空気もきれいでした。

 貧富の差が極端なのは相変わらずでしょうが、街は活気にあふれ、都心部のタワーマンション、1室3DK で2億円以上といった物件が飛ぶように売れているという話を聞くと、この国が日々豊かになり、富裕層が激増しているという現実が理解できました。

 

深セン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ホテルより深セン中心部を望む:筆者撮影)

 

レッド・シリコンバレー

 深センは、毎日200社が起業するというアントレプレナーの聖地でもあり、インキュベーション施設が多数創設され、特にITやエレクトロニクスといった事業分野を中心に、試作、量産を引き受けるモノづくり企業、各種専門家、VCやエンジェル投資家といった必要な事業パートナーを結び付けています。特にこの地に優位性があるエレクトロニクス産業に関しては、「世界で一番早く、安く作れる」を合い言葉に、積極的に米国シリコンバレーやイスラエルのベンチャー企業にも売り込みを行っているとのことでした。

「起業家精神を持った優秀な若者を呼びこみ、起業経験者、投資家、専門家が審査をして、支援に値するアイデアと判断したならば、数億円のスタートアップ資金と格安で利用できる充実した施設、専門家の支援を提供して、2〜3年真剣勝負させる。」昨年訪問したイスラエルと同じようなエコシステムが、この街でも機能していました。深センは、受託製造からイノベーションを創出しようとする都市に、今まさに変わりつつあるようです。レッド・シリコンバレーと言われる所以です。

 

インキュベーション

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(清華大学のインキュベーション施設の展示:筆者撮影)

 

新たな金融特区の建設

 また、深センの西の外れ、前海という地区では、「香港と並ぶ金融センターを作る」を合言葉に大規模な開発が行われていました。

 新宿区と同じくらいの面積の埋め立て地に、18本の地下鉄を通し、200Mおきに駅を作り、オフィス街の他、公園、学校、病院、美術館、博物館、スポーツ施設、住宅、介護施設等の各種インフラを備えたスマートシティを造成、内地に比べて法人、個人税制も大幅に優遇することで、内外の金融機関と富裕層を呼び込もうという壮大なものでした。既にオフィス街はあらかた分譲済とのことでした。日本国内の東京湾岸開発とは桁違いのスケールで、今まさに新たな街が造成されている最中でした。

 何と言っても、街が造成される前に、計画を説明するためだけの巨大な展示館が建設され、習近平が訪れた際に撮影されたと思われる豪華な制作動画が流されるというのも、中国ならではの「おもてなし」なのでしょう。(続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(前海の開発地区の現状:筆者撮影)

| cpainvestor | 20:32 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
恭賀新年

sakanouenokumo

「坂の上の雲」松山城にて:筆者撮影

 

 新年あけましておめでとうございます。

今年も訪問して下さる皆様にとって、良い年となりますように。

 

年頭にあたり、毎年恒例の目標を記載しておきます。

 

<仕事面>

 お陰様で、無事、創業3年目に入ることができました。

昨年、事務所も交通至便な都内に移転し、手伝ってくれるスタッフも増え、段々と組織的な仕事ができるようになってきました。

 

 今年の漢字は、「昇」として、坂の上の高みをめざして、健康に留意しながら、地道に努力を続けたいと思います。ヤマト運輸の小倉さんではありませんが、「サービスが先、利益は後」の精神で、お客様の期待に応えていきたいと思います。また、スタッフにも、なるべく「学びの場」を提供できるような仕事を提供できればと思っています。

 

<家族面>

 家族関係の信頼回復はまだまだですが、こちらも一歩ずつでしょうか。

「思春期を迎える子供達とどうつきあっていくべきか」、本当に悩ましい課題ではあります。

 

<投資運用面>

 正直、起業してから、本業に手いっぱいで、あまり運用に注力してきませんでした。ただ、昨年は、長年こだわってきたバリュー株投資に、思い切って成長株投資を加えたところ、全体相場の追い風もあり、想定以上に良いパフォーマンスとなりました。

 このような年の後には、厳しい試練の年が来ることは、過去の経験則からも明らかです。今年は、キャッシュポジションをこれ以上下げることなく、ディフェンシブ株の比率を増やしながら、守りを強化していきたいと思います。

| cpainvestor | 20:50 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
我見、離見、離見の見

KURE

(護衛艦いなづまの後ろに見えるのが戦艦大和が誕生したドック(現JMU呉事業所ドック)。筆者撮影。)

 

 今年も残すところあと2日となりました。
心身共に健康で、今年も全ての業務を終えることができ、ほっとしています。


 年末には、久しぶりに広島に家族旅行に行くこともできました。今回、子供達の要望で私も初めて、呉の大和ミュージアムに行きましたが、大人も十分に見ごたえのある圧巻の展示内容でした。ただ、何より驚いたのは、戦艦大和を生み出した造船ドック(写真上)が今も現役で、IHI(現ジャパンマリンユナイテッド)に引き継がれ、稼働しているということでした。現在は日本郵船の大型貨物船が建設中とのことで、その造船技術はしっかりと受け継がれているとのことでした。海運不況の最中ではありますが、知恵を絞って、何とか地場産業として生き残ってもらいたいと思います。


 さて、この旅行の品川-広島間の新幹線での往復移動中、久しぶりにゆっくり読書をすることができました。前から読みたかったジャパネットたかたの創業者である高田明氏の「伝えることからはじめよう」を読んでみました。

 皆さんご存知、佐世保のカメラ屋を日本有数のテレビショッピング会社にまで育てあげた創業者の一代記ですが、その個性的なキャラクターもあって、とにかく面白く、また、学びのある一冊でした。このぶっ飛んだ社長の下で薫陶を受けた若い社員の皆様は、苦労も多かったとは思いますが、しっかり食らいついていけば、相当鍛えられたのではないかと、著書を読んでいて思いました。


 さすがにテレビショッピングの第一線で、常に数字と闘いながら、全国の顧客に商品を勧めてきた方だけあって、試行錯誤されてきたプレゼンテーションに関しては、とても含蓄のある言葉をたくさん書かれています。詳細は、本書をお読みいただくとして、私が非常に印象に残ったのは、「我見、離見、離見の見」という能の世阿弥の考え方を引用されていた箇所でした。

 

「我見」…舞台にいる演者が客席を見ている視点
「離見」…客席にいる相手が演者を見ている視点
「離見の見…自分自身の姿を、離れた場所から客観的・俯瞰的に眺める視点

 

 能で舞うときには、この「離見の見」で、「離見」に「我見」を一致させることが大切という教えだそうですが、高田氏はこれを自社のテレビショッピングにあてはめ、以下のように解釈されています。

「我見」…売る側が書品の特長や性能を説明して「これいいでしょう」と一方的に購入を勧めている
「離見」…テレビを見ているお客様の生活シーンを創造して「こんなふうに使うといいと思いませんか」と相手の立場で提案できる
「離見の見」…「離見」で気づいたことを、どのように伝えればお客様の心に届くか、伝え方の方法までを考えることができる

 

 「相手が自分を見ている目線で自分を眺めてみる」、商売においても、プレゼンにおいても、こうした基本が何より大切だという高田氏の指摘は頷けるものがありました。

 

 まるで、高田氏の面白い講演を聞いているようなお勧めの1冊でした。皆さんも年末年始のお休みにぜひどうぞ。

 

良いお年をお迎え下さい。

 

Itsukushima

(海から見た厳島神社。筆者撮影)

| cpainvestor | 10:07 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
セミ・リタイヤという選択肢

 

(写真は京都醍醐寺の庭園(紅葉きれいでした!)、2017年11月24日筆者撮影)

 

 

 日々忙しく働いていると、なんとなく自分の生活が充実しているようにも見えます。

ただ、急にスケジュールがキャンセルになったり、体調不良で臥せったりした際に、多くの方が自問自答するのではないでしょうか。

 

「今の自分がやっていることは、本当に自分が望んでいたことなのだろうか?」

 

 責任感が強く、人一倍、努力家の方ほど、気が付くと、「これをしなければ…」「これをすべきなのだ…」など、MustやShouldに覆いつくされていることはないでしょうか。

 

 3年前の私もまさにそういう状況でした。傍から見れば、日々忙しく働き、充実した生活を送っているようにも見えたのかもしれませんが、内情は人それぞれです。皆、心のどこかで、何かひっかかるものを持っているのではないでしょうか。

 

 私の場合、2年前にいくつかのきっかけが重なり、大組織を卒業する決断をしました。組織のペースで仕事をさせられるのではなく、自分のペースで仕事をしたいと強く思ったからです。その意味で、私の退職独立は、「人生の主導権を取り戻す」がテーマでした。

 

 ただ、ある日突然、そう思いたっても、実行するには、それ相応の準備が必要です。

 幸い、私の職場では、毎年(少数派ではありましたが)、一定数の独立自営業者を輩出する環境であったため、多くの先輩から学ぶことができたように思います。実際、私も退職前には、「自分のペースで仕事をしながら、人生を楽しんでいる」と思われる、目標にしたい先輩方何人かに話を聞きに行きました。皆、気持ちよく時間をとって下さり、しかも、「君も後輩に相談されたら、同じようにすると良いよ」と言いながら、ご馳走してくれました(笑)。

 

彼らからよく言われたのは、以下のようなことでした。

 

家族と健康の2Kを大切にせよ。これが揺らぐと全てが狂うので、家族の理解を得た上で実行し、健康・体力維持の努力をせよ。

これまでの友人関係、職場やお客様との人間関係を大切にせよ。関係維持のためには、時間と交際費はけちるな。

お金は一番ではないが、やはり大切。借金のある状態での独立は極力避け、ビジネスの固定費は最低限で始めよ。

 

 幸い、私は40歳での独立にあたり、実質無借金状態(住宅ローン残高<手元資金残高)であったため、退職・独立の決断ができたのは、事実だと思います。その意味で、社会人2年目から始めていたバリュー投資が身を助けました。やはり、若いうちから、無理のない資産形成を行うことは、どこかで自分の身を助けると思います。

 今、私が自分のペースで、好きな仕事に打ち込めるのも、バリュー投資なくしては、実現できなかったように思います。

 

 私も目標にしていた伝説のバリュー投資家、KEN氏が、10年以上の沈黙を破って、フィナンシャル・アカデミーで「ハッピー・リタイヤメント実現セミナー」を12月に行うそうです。

 

 KEN氏は、実業界の第一線でプロフェッショナルとして活躍される傍ら、株式・債券・不動産への投資を続け、50代にしてセミ・リタイヤを実行されました。組織にしがみつくでもなく、気力・体力のあるうちに自分が主役の人生を生きる。ある意味、多くの社会人の理想形のような気もします。お若い方、特にキャリア志向の若手にこそ、聞いてもらいたいセミナーだと思います。

| cpainvestor | 12:16 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
一帯一路 − 中国西安

 

 

 明時代の城壁に立つ永寧門(南門) 筆者撮影

 

 4月の中旬、中国の発展する内陸都市、西安を訪問してきました。西安はもともと、隋唐時代以前の都、長安であり、史跡豊富な場所ですが、近年は、中国政府が進めるシルクロード経済圏構想「一帯一路」戦略の中心都市として、著しい発展を遂げていました。

 西安中心部には、明朝時代からの城壁が残るため、特に城壁内部の旧市街は、史跡保護もあって開発が規制されているようでした。しかしながら、城壁の外部に一歩目を向けると、林立する高層ビルやマンション、次々に建設される道路や地下鉄など、インフラ整備も着々と進んでおり、おそらく、10年ほど前に、中国深センを訪れた際と同じような熱気が漂っていました。同行して頂いた専門家の方によれば、この西安をはじめ、重慶、武漢、成都といった中国内陸都市は、今まさに「高度成長時代」を迎えているとのことでした。

 

城壁を隔てて発展する新市街と保護される旧市街 筆者撮影

 

 「西咸新区」−ゼロから作り上げつつある300万都市

 

 それにしても圧巻だったのは、西安市と咸陽市の中間地点に新しく建設されている「西咸新区」という開発計画でした。日本の工業団地くらいのイメージをもって行きましたが、まったくスケールが違いました。

 ICT、ヘルスケアといった業種の集積を狙う企業誘致地区はもちろんのこと、貯水池をはじめとした上下水道、巨大な高層マンション、高速鉄道、道路、地下鉄といった交通インフラ、シルクロード経済の拠点となる陸の港湾施設、ディズニーが監修する総合レジャー施設、多数の大学を集積させる学園地区など、「ゼロから300万都市を建設する」計画が、国家と陝西省の肝いりで進められておりました。

 「需要は後からついてくる」ということなのでしょうが、日本人の私からするとバブルとしか思えない、巨大なオフィスビルやマンション、片側6車線の幹線道路等がものすごい勢いで建設されておりました。実際に数年前に来た方からすると、着々と企業集積は進んでおり、人口も増加し、土地の値段は数倍になっているとのことでしたから、まだまだこの勢いは続くのかもしれません。

 また、中国でも最近は、環境保護の重要性が大きく叫ばれるようになり、この西咸新区の計画展示においても、「(掘れば出てしまう)史跡をいかにして守り、自然環境を保護しながら、発展していくか」がテーマになっていたのは、これまで中国を訪問した際には気が付かなかった視点で新鮮でした。

 

西咸新区に建設された「陸の港」にある巨大コンテナクレーン コンテナは遠くロシアまで運ばれる

 

モバイル経済は、既に日本の先へ

 今回中国内陸都市を訪問し、こうしたハード面だけでなく、ソフト面で気が付いたのは、日本以上にスマートフォンが普及し、アリペイなどのモバイル決済があらゆる場所で使えるようになっていることです。もともと銀行が日本ほどに便利ではなく、偽札や地下経済が大きかったため、証跡が残るモバイル決済の仕組みは、課税当局の政府にとっても都合がよかったのでしょう。最近はアリペイの決済状況等を基にした個人情報が与信管理に使われ、高級ホテルの予約受付や、結婚情報サービスへのエントリーにおいても使用されるとの話に驚きました。この分野に関して中国は、既に日本よりずっと先を行っている感じがしました。

 

 

浦島太郎にならないために

 この2か月で、フィリピン、韓国、中国とアジアを3か国ほど回りましたが、その勢いと発展スピードには改めて驚かされるものがありました。まさに「百聞は一見にしかず」で、定期的に日本を出て現地に赴かないと、この感覚はつかめないような気がします。

 安全で物価が安く、食事のおいしい国内にいると、近隣諸国の劇的な変化に鈍感になってしまいますが、今回「日本だけが完全においていかれている」という激しい焦燥感にかられました。年金や国家財政がこれだけ悪化しているのに、このまま緩やかな衰退と平穏な日常が続く保証はどこにもないのだとつくづく感じました。

 この体験、知見を今後の自分のビジネス、生活にどう生かすかですが、まずはできることからということで、運用資産に占めるアジア株のウェイトを高めるところから始めていくことにします。また、本業関連でも、アジアに積極展開されている皆様との協業をいかにして図っていくかを考えていきたいと思いました。

 

世界史の教科書でお馴染み、秦の始皇帝陵の兵馬俑(これは本当に圧巻でした!)

| cpainvestor | 12:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
セブ島親子英会話

 

 長男の春休みに「英語を道具として使う意味」について考えてもらおうと、親子でセブ島のマンツーマン英会話に行ってきました。最近、セブ島の英会話スクールは、「バリューな英語スピーキング特訓場」として注目されているようで、日本人、韓国人の学生がたくさん来ていました。(これは全くそのとおりで、学校をしっかり選びさえすれば、日本にいるよりずっとお安くしっかり学べると思います。)

 常夏のセブ島は、東南アジア特有の渋滞と熱気に包まれていましたが、タイやインドネシアと違って、町中で英語が通じるのは、何ともありがたい環境でした。投資家目線で気が付いたことを書き留めておきます。

 

1.人口は1億人弱、平均年齢は若く、伸び盛りの環境である

 人口1億人弱で、出生率は3程度あり、どこのショッピングモールに行っても年寄りはほとんどいない(バリアフリー環境にないので、年寄が街に出てくることができないだけかもしれませんが)

 

2.カソリック教徒、英語が通じる環境は、アウトソーシング基地としてのポテンシャル十分

 国民の8割がカソリック、しかも少しでもまともな仕事にありつこうと思うと、英語力は必須。特に女性は、働かない男性以上に家計を支える担い手として、非常によく働く印象。多民族多言語であることから、学校の授業は国語以外すべて英語なので、英語を学ばざるを得ない環境。これまでは、労働者輸出が得意な出稼ぎ国家だったが、治安が良くなるにつれて(後述)、欧米豪のコールセンターなどのアウトソーシング産業の拠点として、インドと共に注目される可能性は高い。

 

3.インフラや治安は改善している

 ドゥテルテ大統領の人気は圧倒的で、汚職と麻薬撲滅のための荒療治(日本では、警察官が麻薬常習者を殺害することばかりがとりあげられるが、もともと死刑制度がない国であったが故に、その効果は絶大)は当面続くことが予想される。現地のフィリピン人英語講師は口々に「治安は依然に比べずっと良くなった」と言っていた。

 

4.グローバル企業のメガブランド強し

 他の東南アジア諸国同様、スーパーマーケットでは多国籍ブランドが強い(歯磨きのコルゲート、トイレタリーのP&G、ユニリーバ、乳製品のネスレなど)ローカルブランドでは、ビールのサン・ミゲル、ファーストフードのJOLLIBEEが人気か)タバコや甘い物、オイリーな料理が大好き、スマホは、盗難頻度高くこの地でも大人気。この辺りは、他の東南アジア諸国同様の傾向か。

 

  個別銘柄は予測不能ですが、金融、通信、タバコ、アルコール、甘味食品あたりに投資しておけば、経済成長を享受できそうな気がしました。写真は、マクタン島から出ているアイランドホッピングツアーに参加した際に撮影したシュノーケリングスポットです。こちらはセブ市内とは別世界の空間が広がっておりました。

 

raprap Philipin.JPG

 

| cpainvestor | 22:07 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
イスラエル紀行(3/3)

ユダヤの国民性

 

(エルサレム旧市街 嘆きの壁:筆者撮影)

 

 イスラエルという国家を考える場合、ユダヤの国民性というものを十分に理解する必要があるように思いました。現地の元政府高官の方から聞いた説明では、次の4つの特徴が挙げられておりました。
 

  1. マイノリティとしてのDNA
     世界中に離散したユダヤ人は、子供の頃から母親に「マイノリティであるからこそ、集団の中で平等に扱われるためには、何かに秀でなければならない」と教わるそうです。学術、芸術など、「自分自身の力で生きていくための術」を幼少期から徹底して叩き込まれるわけです。世界における人口比0.2%のユダヤ民族が、ノーベル賞受賞者の2割以上を占めるというのも、単なる偶然ではないのだと思います。                                                                                          
  2. 移民国家としてのダイバーシティ
     イスラエルは建国以来、世界中のユダヤ系移民を多数受け入れています。イスラエルにたどりついたユダヤ人は、どこの国の出身であっても、到着したその日から市民権を得て、ヘブライ語の集中講座を6か月間、生活給付金と共に受けられるそうです。その結果、母国語や文化的バックグラウンドが異なる多様なユダヤ人が同じ国内で暮らしていることになります。特に、近年のハイテク企業の興隆の背景には、ソ連崩壊後に受け入れた優秀なロシア系ユダヤ人とその子孫が大いに貢献しているとのことでした。

     
  3. 仮想敵国である隣人
     イスラエルの人口は、8百万人であるのに対し、周辺を取り囲むアラブ諸国の人口は、3.7億人を超えています。彼らは国家の存続のため、「知恵は最大の武器」を合言葉に、科学技術を振興し、防衛産業を発達させ、徴兵制を敷いています。「全世界に同情されながら滅亡するよりも、たとえ全世界を敵に回してでも生き残る」という危機意識は、国民に広く浸透しています。高校を卒業したばかりの人間が、生死を分ける現場で日々判断し、活動しています。20代前半でこのような修羅場を国民の多数が経験する国は、それほど多くないはずです。軍隊時代の修羅場に比べれば、スタートアップの精神的ストレスはたいしたことはないのかもしれません。

     
  4. 常識や伝統を疑う価値観
     「ユダヤ人が3人集まると4つ政党ができる」というくらい彼らは個性的で、上下の職位に関係なく率直に意見する文化が根付いています。たとえ軍隊であっても上官が判断を誤れば、部下は遠慮なく指摘をし、意見をする。「説明を受けたら質問をしないことの方が失礼」「常識といわれるものは常に疑ってかかる」こういった習慣が彼らには幼少期から身についているそうです。こういった文化的背景を持つ人々を部下に持つ上司は、日本人からすると相当マネジメントが難しいように感じますが、常に本音をぶつけ合う議論ができるからこそ、新しい創造的なアイデアも生まれ、それを実現するべく挑戦するという風土も育まれていくのでしょう。

 

 徴兵制があり、若者が修羅場を経験するという意味では、韓国もよく似た境遇にあるわけですが、「失敗を恥とは思わないチャレンジ精神」という部分で、両国の精神性は大きく異なるのかもしれません。

 イスラエルの場合、自分たちの親、祖父母の世代は、着の身着のままでイスラエルに渡ってきて、ゼロから砂漠を開墾したところからスタートしているわけです。この話を原点として考えると、事業の一つや二つ失敗したからといってめげることはないということでしょうか。

 「失敗の履歴がないのは、挑戦していないとみなされる」「失敗の数が多いほど、経験豊富だということで評価が高まるケースが多い」、現地のベンチャーキャピタリストのこんな発言が、大変印象に残りました。

 

 イスラエルには、ここまで記載したような「光」の部分もあれば、当然「陰」の部分もあるわけで、大変なカルチャーショックとすぐにはとても消化しきれない複雑な感情が沸き上がった内容の濃い旅でした。

 私も中小企業者として、これまで以上に前のめりで挑戦していこうと思う大きな刺激をもらいましたし、もっと国際政治や宗教、社会の諸課題に関心を持たねばと思わされた1週間でした。

 

 ただ、皆さんのイメージ以上にイスラエルは安全な国ですので、興味を持たれた方はぜひこの国を訪問して頂きたいと思います。

 

 なお、旅の事前リーディングとして下記の書籍はとても参考になりましたので、ご紹介しておきます。

 

「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか? 」

「イスラエルを知るための60章」

 

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イスラエル紀行(2/3)

スタートアップ・ネーション

 

(ハイファのハイテク工業団地 筆者撮影)

 

 イスラエルの人口はわずか800万人、面積は日本の四国程度、国土の9割は砂漠気候で、(最近はガス田が発見されたようですが)天然資源も乏しく、周りは仮想敵国だらけです。

 

 こんな政治・経済的には「ネガティブ要因の塊」のような国であるにもかかわらず、毎年600〜1,000社のスタートアップ企業が生まれ、ベンチャーキャピタル(VC)からの年間投資額は5,000億に迫ります。また、IBM、インテル、シスコ、Google、Appleなど世界のハイテク企業がこの国に研究所を持ち、次々と当地のベンチャーを買収し、ナスダック上場企業も60社を超えています。

 

 「この国でいったい何が起こっているのか」を、現地政府元高官、ベンチャーキャピタリスト、インキュベーター、現地ハイテク企業などから直接学ぶことが、今回の旅の目的の一つでした。

 

 イスラエルのイノベーションエコシステムとして、現地のイノベーション支援機関の方から説明を受けたのは以下の4つのセクターが1つのクラスターとして有機的に機能しているとのことでした。

 

  1. 政府機関:政府の役割を「民間がとれないリスクをとる」と定義し、国策としてスタートアップ企業を支援しています。特にICT、サイバーセキュリティ、バイオテクノロジー、フィンテックといった分野に研究開発補助金を積極的に提供しています。プロジェクト1案件当たりの補助金額は、最低でも数億円とのことでした。
  2. 民間セクター:国内外の資本を資金源とするVCが多数活動しているほか、自らコーワーキングスペースを運営し、スタートアップ企業の経営・資金を支援するインキュベーターが20社以上存在し、その存在感を高めています。
  3. 防衛産業:GDPの5%、世界ランキング15位に入る巨額の予算をつぎ込んでいる防衛産業からの民間への技術移転を積極的に進めています。例えば、イスラエルのハイテク企業の代表ともいえる、自動運転技術開発のMobileye(ナスダック上場、直近の時価総額は1兆円を超える)は、もともとミサイルの目標追尾技術を応用したものらしいです。
  4. 学術界世界ランキングの常連であるエルサレムのヘブライ大学、ハイファのテクニオン工科大などは、優秀なエンジニアの供給基地となっているだけにとどまらず、積極的に産学連携を進め、研究成果の民間移転と産業化を進めています。実際、大学の傍には、多くのグローバルハイテク企業の研究機関が集積しています。

 

 防衛産業が巨大であるのは、イスラエルの国の成り立ちに関係する大きな特徴といえるものの、たとえこの仕組みを真似したからといって、他国(例えば日本)でイノベーションが活性化するかというと、そうではないように思います。

 なぜなら、この国を訪ねてみて、改めてリスクを厭わずに挑戦する「ユダヤの国民性」について、多くのことを感じたからです。

 

(テルアビブのホテルから見た地中海:筆者撮影)

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イスラエル紀行(1/3)

 

先週はユダヤの国、イスラエルを訪ねてまいりました。

以下、吸収した学びを忘れないための記録です。

 

三大宗教の聖地 エルサレム

 

エルサレム

(オリーブ山からエルサレム旧市街を望む:筆者撮影)

 

 

 エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のいずれも聖地となっています。

 紀元前1,000年頃にソロモン王がユダヤ教の神殿を作って以来、エルサレムはバビロン、マケドニア、ローマ帝国、アッシリア、十字軍、オスマントルコと何度もその支配者が変わり、その結果、様々な宗教の神殿や寺院が入り乱れています(エルサレムの歴史はこちらのサイトが詳しいです)。

 

 ヴィア・ドロローサ(イエス・キリストの最後の道行き)には、世界中からたくさんの観光客が来ていましたが、一定の時間になると必ずコーランが流れますし、「嘆きの壁」では、超正統派と言われるユダヤ教徒が祈りを捧げていたりします。

 この複雑な宗教的背景から、国連は、エルサレムをどこの国にも属さない国際管理都市としていますが、第三次中東戦争以降、イスラエルの実効支配が続いています。東エルサレムの旧市街と西エルサレムの新市街を分ける道路付近の建物には、多くの弾痕が残っておりましたし、各所に銃を携帯した兵士が待機しておりました。

 

 イスラエルに住むアラブ系のイスラム教徒、キリスト教(カソリック)の神父、ユダヤ教のラビから等分に話を聴く機会がありましたが、語ることは三者三様、各々の言い分があるわけで、お互いに理解しあうのはやはり容易なことではなく、部外者が簡単に意見できない雰囲気がありました。

 

 エルサレムより東方、ヨルダン川や死海までの地域は、ウェストバンクと呼ばれる岩山と砂漠の荒野が広がっています。いわゆる「オスロ合意」以降、この地域は、パレスチナの暫定自治政府が統治していることになっていますが、電気、水道といったライフラインはイスラエルに依存している上、今も多数の難民キャンプが存在しています。聖書に出てくる旧跡が大変多い地域ではありますが、大々的に観光ツアーを組み、誰もが気軽に宿泊できるような場所ではないことだけは確かです。

 

| cpainvestor | 17:22 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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